アドミラル・アーカイブ 作:3タナカモナカ
──シャーレを巡り、オデュッセイア反乱部隊の中で様々な憶測が飛び交っていた中……その渦中にいる当の本人はというと、今まさに砂漠で遭難していた。
「し、しぬ……」
乾き切った声が、焦げるような空気に吸い込まれていく。
シャーレが法的に正式稼働となってからほどなくして、いくつかのメールや手紙が届いていた。とはいえ、その多くはクロノススクールからの取材依頼であり、アロナの手によって丁重に処理されている。
先生としては受けても構わなかったのだが、しかしそれよりも優先すべき依頼が一通、彼の目に止まったのだ。
送り主は、アビドス高等学校の生徒だという奥空アヤネ。
キヴォトスに来てまだ日の浅い先生にとっては、その名前にも学校にも覚えはなかったが、文面から察する限り、彼女たちは今、かなり切迫した状況に置かれているらしかった。
地域の暴力組織によって、学校が占領されかけている。生徒たちだけで何とか踏みとどまってはいるものの、補給も限界で、弾薬も底をつきかけている──といった内容だ。
︎︎仮にそれが事実であれば、応じない理由はない。
先生は即座にシャーレを出て、アビドス自治区へ向かうことにしたのだった。
──そして、今に至る。
彼の目の前に広がっているのは、砂に埋もれた住宅街だった。
かつて人が暮らしていたはずの街は、今や廃墟と化していたのだ。歪んだ看板、崩れかけた舗装、抜け落ちた窓。人の気配もなく、生活の痕跡すらもすっかり風化していた。
︎︎廃墟と呼ぶにはまだ形を保っていたが、それはもはや“町”ではなく、“遺構”と呼べる有様だ。
加えてアビドスは、とにかく暑かった。
慣れない環境に加え、延々と続く陽炎のような景色に、先生の体力は着実に奪われていた。脱水の症状が出始めており、喉はとっくに乾ききっている。
︎︎風は吹いていたが、無情にも熱風だった。
ここにあるべき住人の姿は見えないし、声もない。ただ、太陽の焼け付くような光だけが容赦なく自分に降り注いでいる。
唯一の水筒はもう空だ。
︎︎自販機はいくつか見つけたが、まともに動作するものはひとつもない。大半が壊されており、残っている無傷の機体も通電していなかった。ダメ元で硬貨を入れたが、当然ボタンを押しても反応はせず、ただ無意味に財布を僅かに軽くしただけに終わった。
︎︎日陰もろくにない一本道を歩き続けるうちに、先生はあっさりと脱水症状に片足を突っ込んでいた。
︎︎背中の鞄に携帯していたシッテムの箱も、熱で壊れたら洒落にならないと、まだ鞄の中から出せずにいる。どういう仕組みなのか、電源とバッテリーさえあればアロナの声だけは聞こえるので、彼女の声を頼りに気力だけは保てている。
︎︎しかしそれも限界に近かった。少し休憩しようと、そのまま地面に腰を落とす。
このままミイラのように朽ち果てて終わるのか。
どこか他人事のように、そんな考えが先生の脳裏をかすめたときだった。
ふと、遠くから微かな人の気配を感じた。
視界の先に、ゆらゆらと揺れる人影──太陽の熱で歪む空気の中、それが幻か現実かも判然としなかったが、やがてそのシルエットは、焦点を結ぶように徐々に輪郭を取り戻していく。
次の瞬間、確かにそこに“制服の少女”が居ることが分かった。
ロードバイクに跨り、こちらに向かってくる彼女の頭では、獣のような耳がぴくりと揺れていた。
「ん、遭難者発見。……大丈夫?」
少女の声が届いたが、喉はもはやまともな音を発せなかった。
︎︎首を振る。カラカラに乾いた喉から漏れたのは、風がすり抜けるような掠れた息音だけだった。
少女は彼の様子を見て、ロードバイクから降りると、訝しげに彼のそばへ歩み寄ってくる。
「お腹でも減ってたの?」
「……道に迷ってたんだ。水も切れて……お店がないか探してたんだけど……」
絞り出すような声で、なんとかそう答える。
少女は少し眉をひそめたあと、肩をすくめるように言った。
「ああ、この辺りにはもう、やってるお店なんかないよ。この廃墟地帯、元は住宅街だったけど、もう住んでる人はいない。もっと向こうの郊外に出れば市街地はあるけど……その様子じゃ、土地勘はなさそうだね」
彼女の口調は淡々としていたが、どこか呆れと、ほんの少しの心配が滲んでいた。
たしかにこの廃れた住宅街で、朽ちかけたブロック塀にもたれて座り込んでいる大人がいれば、誰だって怪しむ。先生もようやく状況が飲み込めてきて、少しばかり恥ずかしさを感じていた。
だが、それ以上に人間に会えた安堵のほうが大きかった。
少女は名乗った──〈砂狼シロコ〉、と。
彼女は鞄からライディング用のエナジードリンクを一本取り出し、先生に差し出す。
「飲んでいいよ。食べ物はないけど、お腹はちょっと膨れると思うから」
「……ありがとう……!」
生徒から飲み物をもらうという立場の逆転に、流石にほんの一瞬だけ躊躇いがよぎった。
しかし脱水寸前の身体は、水分の誘惑に抗えなかった。
生存本能が求めるままに、何のためらいもなく蓋を回して、ほぼ一息で中身を飲み干す。
「……っはー……生き返った……ありがとう」
その見事なまでの飲みっぷりに、シロコはわずかに目を丸くした。しかも、それが自分の飲みかけだったということを思い出して、彼女はほんのりと頬を赤く染める。
けれど、それを指摘することはせず、そっと視線を逸らした。
「……ううん、気にしないで。見た感じ、連邦生徒会から来た大人の人みたいだけど、学校に用があって来たの? でも、この辺りの学校は──」
「うん、そうだよ。アビドス高校に」
「そっか、久しぶりのお客様だね」
︎︎シロコは少しだけ驚いたように眉を上げたが、同時にその口元には穏やかな笑みが浮かんでいた。
︎︎それもそのはず。
︎︎頻発する砂嵐と深刻な砂漠化によって人の往来が途絶えたアビドスには、今や外部から訪れる者などほとんどいない。彼女が入学してからというもの、ここを目的地として訪れた来客など、数えるほどもいなかったのだ。それも連邦生徒会からとなれば正に初めてのことである。
︎︎もちろん先生は、そんな彼女たちの事情など知る由もない。シロコの反応を不思議に思いながらも、彼は特に踏み込んで尋ねたりはしなかった。ただ、エナジードリンクの礼として、財布から取り出した小銭をシロコの手に握らせた。
「別にいい」
︎︎困ったようにシロコは遠慮を見せた。だが先生は、気まずそうに視線を逸らしながらも、やや強引にそれを渡していた。
︎︎まともに現地の気候も調べず、長時間さまよった末に脱水症状で動けなくなり、最終的に生徒から施しを受けて助けられる──そんな自分の体たらくに、どこかしら恥ずかしさを覚えたのかもしれない。あるいは、それ以前に、彼の生来の性格として、恩にはきちんと礼をするのは当たり前のことだった。
「アビドス高校って、ここから時間かかるかな」
「自転車ならそんなに。私が乗せてあげていいけど……」
「本当? 助かるよ」
「ん……気にしないで。でも、その前に──」
︎︎先生は、案内してくれるというシロコの言葉に思わず顔をほころばせた。だが、その次の瞬間──空気が急に張り詰める。
「──そこに居るの、誰?」
︎︎シロコは背負っていたアサルトライフルを素早く構え、銃口をわずか数メートル先の廃屋へと向ける。その声色は変わらず穏やかだったが、纏う空気は一変していた。
︎︎先ほどまでとはまるで別人のように、全身から鋭い警戒心が溢れている。
︎︎狼の名を冠する少女が、迷いなく何処かへ狙いを定めていた。
「え?」
「私が声をかける前からずっと、こっちを……あなたを見ていた。知り合いなのかと思って放置してたけど、その様子だと知らない相手みたいだね」
︎︎困惑する先生に、シロコはライフルの銃口を廃屋の方へ向けたまま言う。しかし、その先にあるのはただの空き家。風が吹いて砂埃が舞うも、先生の視界には誰もいない。
︎︎だがシロコは確かに気配を感じていた。それは、このアビドスで学校を守るために日頃から危険と向き合ってきた彼女の感覚が、研ぎ澄まされた末に得たものだった。
︎︎その真剣な眼差しに、先生はあえて彼女を止めようとはしなかった。誰かがこちらを見ていたことも、今もその人物が本当にそこにいるのかもわからない。
︎︎だが、彼女の警戒心が正しいとすれば──自分が何者かに注視されていた理由は、ぜひとも知りたかった。
︎︎困惑と疑問が混じった顔のまま、先生はシロコが「誰か」が居ると断じた方向に建つ廃屋を見つめる。
︎︎十秒、二十秒と時間が過ぎる。
︎︎雲ひとつないアビドスの空から照らされた陽光が、二人の肌を突き刺す。
︎︎この環境に慣れているシロコは暑さも日照りも気にしていないようだが、先生の額にはじわりと汗が滲み、それが頬を伝って地面に落ちた──そのときだった。
「──失礼、私にあなた方を害するつもりはありません」
︎︎ふと、廃屋の裏から見知らぬ少女が現れる。
︎︎ジーンズにTシャツ、その上にフード付きのジャケットを羽織っていて、特に目を引くような装備や装飾はない。外見的には地味な部類に入るが、整った顔立ちと、風に揺れるブラウンの前髪は印象に残る。
︎︎シロコは警戒を解かず、その少女に静かに問いかけた。
「目的は? なぜ、この人を監視していたの」
「おや、監視とはまた物騒な物言いですね。ただアビドスへ向かう途中、そちらの御方が座り込んでいるのを見かけましたもので。如何様に声をかけようかと、少し様子を窺っていたに過ぎません」
「アビドスに?……あなた、この子のこと知ってる?」
「いや、初めましてだよ」
「ああ、これは申し訳ない。私はオデュッセイア海洋高等学校の吉川と申します。今日はお休みを頂けたので、かねてより噂に聞いていたラーメン屋を目当てに足を延ばしてみた次第です。どうぞ、お見知り置きを」
︎︎その様子はあまりに普通で、拍子抜けするほどだった。
︎︎一時は盗賊団かと身構えていた先生は、警戒していた自分を恥じるように息をついた。
︎︎だが──吉川と名乗った少女が砂を踏みしめ、一歩、また一歩とこちらに近づくたび、シロコの雰囲気は鋭さを増していく。
︎︎彼女の言動はあくまで礼儀正しく丁寧で、ライフルの銃口を向けられている状況にも関わらず、冷静なままだ。その奇妙な余裕が、むしろシロコにとっては引っかかっていた。
︎︎銃の引き金に指をかけているというのは、即座に発砲が可能な状態ということ。それを理解していないはずがないこの街の住人にしては、あまりにも落ち着きすぎている。
「あの……? 怪しい状況なのは承知しておりますが、私に戦意はありません。できれば、その銃を下ろしていただけないでしょうか」
「シロコ」
「……ん」
︎︎警戒を解いたわけではなかった。
︎︎だがシロコは、思いのほか素直に先生の言葉に従っていた。
︎︎ん? と、彼女は自分の挙動に疑問を抱くも、明確な理由は浮かばず、内心で小さく悶々とする。
︎︎一方で、生徒を疑うような真似はしたくないという信条のもと、先生はすっかり安心したように吉川と会話を続けていた。
︎︎その姿を見て、浅はかだと思うか、優しさと見るかは人によるだろう。
︎︎だが少なくとも、吉川という怪しげな少女が何者かは別として──シロコは、先生のその在り方については「信頼に足る」と、その様子を見てそう判断した。
***
「(あれがシャーレの先生、か……あの呑気な顔といい、警戒心のなさといい。どう見ても我々に楯突くような存在には見えなかったが、提督はどうも不安らしいな)」
︎︎主にシロコの野性的な警戒心が引き金となり、一触即発の空気が漂った三人だったが、先にその場を離れたのは吉川だった。
︎︎いくら目的地が同じ方向とはいえ、あの張り詰めた雰囲気の中で得られる情報は限られているし、ちょっとした誤解が戦闘に繋がる可能性も否めなかった。
︎︎だからこそ彼女は、「街で会ったら何か奢ってください」と軽口を残し、自然なかたちで距離をとったのだ。
︎︎そもそも、吉川がシャーレの情報収集を任されたのは、オデュッセイア反乱部隊内で自由に動かせる人材が極端に不足していたことが理由だった。上司であり、数少ない友人でもあるアリアが彼女を選んだのは戦力としての信頼もあったのだろう。
︎︎だが当の本人は──その任務の意味と方法に、いまだ戸惑いを隠せずにいた。
「はあ……海の塩の匂いが恋しい。なんだって、この場所は砂漠しかないんだろうか」
︎︎呟きながら、吉川はわずかに肩を落とす。
︎︎乾いた空気は肌に刺さるようで、何もかもがパサパサする。特に気になるのは、顔まわり。化粧水も乳液もつけられず、保湿どころではない。
︎︎既に海の上が恋しくて仕方がなかった。海は不便だし自由は限られているが、砂漠とではあまりにも環境が違いすぎる。
︎︎先生がアビドスに向かったと分かった時、彼を尾行することで精一杯で、身だしなみまで気を配る余裕などなかったのだ。そもそも自分は諜報向きの人間ではない。むしろ、自分で考えて行動するよりも、誰かに従う方がよほど楽だった。
︎︎自分はこういった"潜入任務"は性に合っていなかったらしいと、改めて吉川は感じていた。
︎︎それでも、アリアに命じられたからにはやるしかない。別に彼女に不満があるわけではないし、アリアが間違っていると思ったこともない。ただ、この乾いた砂の街と、自分の不出来さへの苛立ちは、どうしても消えなかった。
「……」
︎︎シャワーを浴びたい。化粧水をつけたい。できるなら今すぐ帰りたい。そんな願望を胸の奥に隠しながら、吉川はひとり、砂漠の町を歩いていく。
︎︎進行方向は先生やシロコと同じだが、もし後方から追いつくような形になってしまえば、あの少女のことだ、きっとまたピリついた空気を纏うだろう。それが厄介で、ほんの少しだけ進路をずらし、遠回りになる道を選んでいた。
︎︎アリアは”休息がてらに情報収集してきて”などと軽く言っていたが、まさかなし崩しで広大な砂漠で知られるアビドス自治区に向かったとは予想外だっただろう。吉川が「先生を追ってアビドスに来ました」と連絡を送ったとき、すぐに困惑気味の返信が返ってきたことが、その証左だった。
︎︎D.U.に滞在しながら先生との接触機会を窺い、ついでに近隣の春葉原あたりで買い物をしつつ噂を拾えれば──と、軽い気持ちで考えていた矢先のことである。
︎︎想定外すぎる展開に、少しだけ、吉川は肩の力が抜けていた。
「……奢ってもらえるなら、スイーツがいいかな」
︎︎誰に届くでもない独り言を呟きながら、吉川は十数分前のやり取りを思い返していた。
︎︎強烈な日差しが、乾いた風とともに頬を焼きつける。
──自分がオデュッセイアの生徒であると口にしたとき、先生は分かりやすく目を見開いた。
︎︎わずかながらも動揺が表情に滲んだのを、吉川は見逃さなかった。本人としては隠したつもりだったのかもしれないが、鉄仮面のアリアと長く行動を共にしてきた吉川にとって、それほどの機微を読み取ることは難しくなかった。
︎︎その一瞬の反応だけで、シャーレがオデュッセイアの状況を把握しているという確信が持てた。
︎︎連邦生徒会との明確な指揮関係までは分からないが、あの連邦生徒会長が自ら創設した組織だ。関係値は深い。少なくとも反乱事件の概要程度は伝わっているはずだ。
︎︎実際、オデュッセイアは連邦生徒会直轄の施設を破壊し、クロノスによる報道もあったのだ。知られていないわけが無かった。
︎︎しかしそれがどのような情報であれ、確定を得られたことは、吉川にとって十分に価値がある。
︎︎仮に先生が反乱の件を知らなければ、それはそれで行動は単純になった。だが、知っていると分かった今は、ただ単により適切な接し方を考えればよい。
「……怪しまれるほどではないけれど、反乱の関係者という疑いは持たれて当然。さて、どうやって取り入ろうか」
︎︎足を止め、吉川は小さく息を吐いた。
︎︎焼けたアスファルトの先、揺らめく陽炎の向こうには、まだ静かな砂漠の町が広がっている。
︎︎アビドスの生徒らしき少女の存在はともかく、先生との最初の接触としては悪くない。
︎︎次に会うときは、もう一歩踏み込んでみる価値がある。
︎︎オデュッセイアの件を把握しているか否かという根本的な情報は得られた。加えて、先生の人となりも、おおよそ見えてきた。
︎︎次に知るべきは、連邦捜査部シャーレがオデュッセイア反乱部隊にとって有害な存在かどうかだ。
︎︎もしそうであるならば、早急な対処が必要となる。
︎︎吉川は、想定にある反オデュッセイア反乱部隊の共同作戦チームを、あくまで例え話として「多学籍連合軍」と呼んだ。各学園の戦力を一つにまとめ、向こうに回せば艦隊壊滅は必須のシチュエーション。アリアがこれ以上過激な手段を取らないようにと、忠告のつもりで話したものだった。
︎︎だが、その後にアリアが漏らした言葉──“その旗手にシャーレの先生が就くかもしれない”という可能性──は、吉川にとって避けるべき最悪のシナリオだった。
︎︎SRT単独よりも厄介な事態だ。計画達成までに立ちはだかる敵は、少なければ少ないほどいいのに。
︎︎自治区も学園も異なる生徒を束ねる素質が彼にあるかどうかは、情報の少なさから現時点では判断がつかない。ただし、シャーレの活動を妨害するにしても、自分ひとりでは限界がある。
︎︎しかも彼は自分たちと違い、ヘイローを持たないただの大人であり、銃弾一発が致命傷になり得る存在だ。拉致監禁程度ならともかく、怪我を負わせるような手荒な真似は極力避けたい。
︎いずれにせよ、どう対処するかを決めるのはアリアだ。吉川の役割は、その判断材料となる情報を一つ残らず集める事である。
「お腹すいたな……ラーメン食べよう。後はそれから考えればいいか」
︎︎その呟きは、気分転換も兼ねた決意表明のようなものだった。
︎︎シロコの質問に対して、アビドスに来た理由を「ラーメン屋を目当て」と答えたのは単なる方便にすぎない。だが、その方便は事前にクチコミサイトで評判を確認していたからこそ成立した。もし先ほど、もう閉業している等と言われてしまっていたら、言い訳のしようもなかっただろう。幸い、あの時のシロコの反応からして、まだ営業中であるらしい。
︎︎店の名は「柴関ラーメン」。
︎︎味の良さはもちろん、店主の人柄が温かく、満足度が高いという評価が多く寄せられていた。
︎︎普段はラーメンを食べることは無かったものの、シロコや先生への説明としても辻褄が合うし、何より辛口で有名なサイトで高評価を得ている店となれば、訪れてみる価値はある。
︎︎元よりアリアからは”休息がてら”と言われているのだ。任務のことはいったん頭の片隅に置いても、決して誰からも文句は言われないだろう。
︎︎そんなことを考えながら、彼女はアビドスの中心市街地へと一直線に駆け出した。