戦艦擬人化系生徒な先生と司令長官な先生が透き通る世界を守る話   作:SR-71改

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 どうも、SR-71改と申します。
 今回は『ウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮』キャンペーンストーリーから80年後のストーリーを描くという設定で、ゲーム『ブルーアーカイブ』『鋼鉄の咆哮シリーズ』の二次創作を執筆を試みました。なお作者はWSG2Pのキャンペーンを30周ほどやり込んだのですがブルアカにはノータッチ同然ですので、設定やキャラクター描写に誤りが生じる恐れがあることをお断りさせていただきます。
 既に一度投稿していた作品なのですが、気に入らない点や構成に悩んだ点から一度削除した上で、タイトル変更などを経て大幅に書き直して再投稿した次第です。
 苦手な方にはブラウザバックを推奨いたしますが、こんな駄文でもお付き合いくださる方がいましたら、先にお進みくださいませ。
 GOOD LUCK(ご武運を).



PRETITLE:プロローグ
PRE-0-000 <<AWAKENING(艨艟、覚醒の刻)>>


 記憶を手繰る。

 

『トラックナンバー2628から2670、更に接近!』

 

『ESSMならびに155mm砲攻撃始め!一発たりとも通すな!』

 

 記憶を手繰る。

 

『超兵器、暴走を開始しましたッ!!!』

 

『敵艦より多数の熱反応!レーザー攻撃と思われます!』

 

『電磁防壁、出力最大!各員、衝撃に備えよ!』

 

 記憶(戦闘ログ)を手繰る。

 

『敵艦より攻撃多数!超重力電磁防壁、ならびに艦橋部パルスアーマー、間もなく臨界に達します!』

 

『防御障壁────システムダウン!完全に崩壊しました!各部、損害多数ッ!!』

 

『もうこれ以上は駄目ですッ!副司令、艦長ッ──どうか撤退命令をっ───』

 

『いいや、まだだ!ここで我々が退いてしまえば、この世界は───』

 

 千切れそうな程細い糸を巻き取るように、記憶(戦闘ログ)を手繰る。

 

『絶対に、私は───私は、この艦を見捨てない!『█████』は、こんなところで終わりはしない!』

 

 誰かの声が、残響となって反芻される。

 炎と警告灯で赤く染まる視界。全身が張り裂けるように痛い。

 

『敵超兵器、撃破ッ!!』

 

『究極超兵器「██████████」艦上より、超高エネルギー体の発生を検知!!間もなく███ノイズ観測可能限界を突破します!!』

 

『爆発するぞ!!総員、対ショック・対閃光防御!!衝撃に備えろッッ!!!』

 

 そして私は、光の中に消えた。

 

 

 

 

 

───我々は望む、七つの嘆きを。

 

 

 

───我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

 

 

 


 

 

 

「───私のミスでした」

 

 鉄輪が軌轍を噛むような断続的な揺れに、私は目を覚ました。眼前のロングシートに、白い制服を血で染めた少女が腰を下ろしていた。

 母国(日本)の地下鉄や普通電車に似た車内。見たこともない海沿いの路線を走る車内は、白い朝焼けに照らされている。少女の背を隔てた車窓からは、十字架を思わせる旭が差し込んでいた。

 少女の表情は、陰りに覆われてよくわからない。その姿は齢にして17か18、子供から大人へと移ろい巣立っていく年頃のようにも見える。だが、その胸元は滲み出した紅に染められ、彼女を包む空気は壊れそうな儚さと脆さを感じさせるものとなっていた。

 

 この光景は夢なのか、それとも現実なのか。

 “誰の”記憶なのか、それすらも分からない。

 

「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況」

 

 あどけなさが残る声とは裏腹に、後悔の滲んだ口調が沈黙を破った。

 視線も体も動かない私の前で、その少女は独白のように言葉を続ける。明らかに異常な、この状況で。

 

 ()()()()()()()が、電車の車内に収まるわけがない。眼前の少女と同じようにロングシートに行儀よく座り、静かに電車に乗ることができるわけがない。

 私が乗ることができるのは、深く掘り下げられた船渠の底に据え付けられる、硬い船台だけであるはずなのに。

 

 なのに、今の私は自然と少女の話に引き寄せられてしまう。

 明らかな異常さを伴った今の状況を差し置いて、今の私がどうなっているのかも知らぬまま。この状態に抱くべき疑問を薄れさせ、話に引き込む『何か』が、そこにはあった。

 

「結局、この結果にたどり着いて初めて、███の方が正しかった事を悟るだなんて────」

 

 “正しかった”という言葉が、心を抉った。

 結局、その正しさを決めるのは誰なんだろう。正誤を決めるものとは、何なのだろう。

 

 戦いの中で、自らを加害者であると公言する者はいない。

 自らが被害者であると声高に語り、差し迫る脅威を過大な誇張によって敵視し、非難し、徴兵の対象として人民を扇動する。

 例えその発端が、一政治家による権益目当ての欲深さに由来するものだったとしても、反戦を謳う平和主義者は非愛国的と誹謗され、政権の失態を指摘する者は思想犯や売国奴として社会から指弾、淘汰されていく。

 全ての陣営が「正義は我らにあり」と定型句のように吹聴し、領土の占有を、資源の略取を、民間人の虐殺を正当化する。

 力なき国々は育ててきた平穏を踏みにじられ、戦火に焼かれる街には肉親を失った孤児が取り残される。

 

 殺らなければ殺られる

 

  Si vis pacem,(汝平和を欲さば、) para bellum(戦に備えよ).

 

 否応なく奔騰する戦火から身を守るには、その火に己が焼かれる前に、自らが行動に移すしかない。民と平和を守るために生贄が必要となるならば、他国の民でその犠牲を贖えばいい。

 大国の掌の上で翻弄され続けるくらいなら、自らが世界の支配者に成り代わってしまえばいい。

 

 あの男(ヴァイセンベルガー)は、そう信じた。彼の一派はその狂気に堕ちた。

 その結果、あの国(ウィルキア)は、そして故郷(日本)は───

 

「……今更、図々しいですが──お願いします、アトミック先生。そして、ヤマト先生」

 

 ノイズがかかったように聞き取れない言葉。

 彼女から漂う鉄錆の臭いの充満が、次第に濃くなっていく。

 

「きっと私の話は忘れてしまうのでしょうが、それでも構いません。何も()らなくても…恐らくお二人は、“あの人”と同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……」

 

 少女は不可解なことに、私を含めた「二人」に話しかけるかのような言い方をする。一体、もう一人は誰なのか。そして三人目、“あの人”とは何者なのか。

 

「ですから……大事なのは経験ではなく、選択。二人にしかできない選択の数々───」

 

 選択───これまで私たちが繰り返してきた、数々の選択の分岐点。

 歴史にIFなんてありはしない。だから私達は今この瞬間を戦う(生きる)

 戦っ(生き)て、戦い(生き)抜いて、最善には程遠くとも、少しでもマシな結果を目指せるように。

 

「責任を負う者について、少し話したことがありましたね。今まで……私にはわかりませんでしたが……今なら理解できます」

 

 一呼吸置いて、少女が語りだす。

 背後の陽光が強まり、逆光に滲む彼女の輪郭が白に溶けていく。

 

「大人としての、責任と義務、。そしてその延長線上にあった、███の選択。それが意味する心構えも。ですから……あの人が信じた大人である、お二人になら……」

 

 彼女は何かを、私達に託そうとしている。…一体、何を?

 

 これまで幾度となく背負ってきた、死にゆく者から託される最期の願いを、また一つ私は背負う。

 

 忘れてしまうかもしれないけれど、それでも彼女の言葉は、願いは、確かに“私”の心に届いた。

 

「この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……そこへ繋がる選択肢は…きっと見つかるはずです。だから先生、どうか……」

 

 その瞬間、()()()()が私の脳に強く響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒たち(みんなのこと)を……よろしく、お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 海。

 

 生命の原初たる茫洋の領域、その上に「それ」は在った。

 

 日は天頂に昇り、燦然と海原を照らしていた。

 細波が陽の光を白く反射する中、艦体を揺らす波のうねりは微かなものに留まっていた。新造時からは比べ物にならない桁にまで増大した排水量を持つ艦体は、濃黒灰色の艦体に鈍色の光沢を湛え、青く澄んだ海水にその錨鎖を浸していた。

 

 目覚めの刻を告げるような暖かさに照らされた彼女は、艦橋最上部の主砲射撃指揮所を取り巻く露天の防空指揮所で目を覚まし、むくりと起き上がって胸壁の縁に手をかけた。

 足場を確かめるようにゆっくりと起き上がった彼女は、自艦を中心に広がる海原を見渡すと、足元の海原と頭上の青天井が遥かな先で一つになる境界線を望んだ。目新しいようで、どこか懐かしいようで、今まで何度も見てきた光景のはずが、そこに確かな「初めて」を感じている。

 この世界に「はじめまして」と大声で叫びたくなるような感覚に浸った彼女は、胸いっぱいに新鮮な潮風を吸い込んだ。分厚い硝煙が発する血生臭さと煙たさを含んでいた戦闘海域とは異なった空気が、身体の末端まで酸素を送り届けてくる。目覚めて程なく動作も覚束なかった手足が、今はこんなにも軽く────

 

───手足?

 

 そこまで来て漸く、彼女は先刻の夢で見た内容を思い出すとともに、慌てて自らの身体を確かめた。

 

 手、指、前腕、上腕。足、膝、大腿。頭、鼻、頬、耳、胸………

 

 思いつく限りの全身の部位を触り尽くした彼女は、()()()()()()()()()()()()人間の五体が、確かにそこにあることを知った。

 彼女は何が起きているのかも分からないまま、手にして早々持て余した体を預けるように、再び指揮所の縁に手をかけた。

 

 ふと、足元に何かを感じた。

 視線を落とした先には、見覚えのあるマークが薄い白銀で刻印された、白い板状の物体が落ちている。何故今まで気づかなかったのか、まるで自分の体が落とした影の中から現れたかのようなその物体に、彼女は恐る恐る指を触れた。

 

 金属とプラスチックから成る硬質な感触、側面の電源ボタンと音量ボタン、照り返し一つ返してこないほど黒く染まった画面、その端に設けられた丸形のトップボタン。外見の上では民生品と変わらず、何ら変哲のない、それでいて強度はミリタリースペックを満たしていると思われるタブレット端末。

 裏側には国際連合の象徴──北極を中心とする正距方位図法で描かれた、放射状に伸びる8本の経線と北緯60度までの緯線3本を含む地球儀を、2本のオリーブの枝で囲む紋章───が刻まれている。

 新品よりも真新しく感じられるタブレットを前にしながらも、彼女はそれに対して言い知れぬ懐かしさと馴染みを感じていた。要領を知っているような手付きで電源を入れた彼女は、淡い青白色のスプラッシュスクリーン上に澄んだ青で表示された国連の紋章──ちょうど国際連合旗とは対を成すような色彩──に出迎えられた後、プログレスバーが空白を満たしたところでユーザーネームとパスワードの入力を求められた。

 

 

Username:    

 

Password:    

 

 

「…………」

 

 思い出されるのは、電車の中の記憶。そして、自らが光に消える前に聞こえたあの言葉のみ。彼女はその言葉に導かれるように、ユーザー名とパスワードの入力を進めた。知らないはずのユーザーネームですら、その言葉を鍵にするように脳裏から引き出され、タッチパネルへと入力される。

 

 

Username:Flagship_BBGN-1945_YAMATO

 

Password:

我々は望む、七つの嘆きを。

我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

(……どんな意味の、言葉なんだろう)

 

 表示されたENTERを何気なくタッチした、その瞬間のことだった。

 

「あがっ……!?」

 

 全身に電撃が走るような激痛が生じた直後、発作を起こしたように身体が痙攣を始めた。滝のように汗が吹き出し、服がべたりと皮膚に張り付く感触を生じる。眼前のタブレットを見つめる目の焦点が定まらない。内耳から脳にかけて、突き抜けるように甲高い異音が鳴り響いて止まない。

 脊柱と頭蓋に何か鋭いものが食い込んだように、全身の筋肉と神経が悲鳴を上げ、溶けた鉛や水銀のようなものが肉体に流れ込むような感覚とともに、全身が重くなっていく。

 へたり込んだ身体はいつしか横倒しになり、タブレットを持つ右手の指に力が入らなくなっていく。流れ込んだもののせいで、呼吸すらもままならなくなっていくのが分かる。

 

 このままでは、体内が凝固して死ぬ。

 

 朦朧とする意識の中、そんな危機感を抱いた彼女だったが────

 

(───……これ、は……?)

 

 取り落としたタブレットに表示されていたユーザーネーム、そしてその下に表示された文言。

 

──……接続パスワードを承認。

 

──現在の接続者は護衛艦『やまと』────確認しました。

 

──S.C.H.A.L.E.統合ネットワークへようこそ、ヤマト先生。

 

 それを見た瞬間、彼女は自らの全てを思い出した。呼吸すらも窮迫していた喉から絞り出した声で、彼女はその号令を大音声で叫び上げた。

 

「機関始動っっ!!!!!」

 

 その瞬間、艦底に鎮座するガスタービン機関が主機関始動に先駆けて目覚めを迎えた。

 膨大な体積の圧縮空気が燃焼器内で燃料と混合されて点火され、排気温度500度を超える高温高圧の燃焼ガスとなって出力タービンを回転させる。電磁クラッチを介してシャフトに接続された発電機によって生み出される電力は、IPS(統合電気推進方式)によって艦内全域に張り巡らされた電力網へと導かれ、まるで酸素が全身の毛細血管を巡るかのように各部の機能を復旧させていく。

 

 分断されていた制御系が自らのもとに帰順し、一つのものへと回帰していく感覚────いや、正確にはこの艦そのものが彼女の体であり、彼女そのものだったのだ。

 身体と艦体が一つに繋がり、これまでの不快感は引き潮のように身体から抜け落ちていった。立ち上がった彼女は額の汗を手で拭いながら、呼吸を整えて指揮所から眼下を見渡した。

 

 強いフレアの与えられた艦首に輝く、国連軍の青い徽章。前部甲板に埋め込まれたVLS群、背負式に2基配置された巨大な三連装主砲塔。第一主砲塔から前部副砲にかけて反り返るような傾斜(シアー)を与えられた最上甲板の『大和坂(やまとざか)』の上で、天守閣のように聳立する艦橋の最上部に自分がいる。艦橋の背後に添えるように立てられたトラスマストの後方には、巨大な煙突を挟んで特徴的なメインマストが構えられており、艦上構造物を取り巻く対空兵装群は槍衾のように砲身を突き出して空を睨み続けている。

 両舷最外郭のシールド付き機銃群の間に噛み合わせるように埋め込まれた大型VLSを収めるスポンソン、更にそれを喫水線下に延長したような分厚いバルジが生み出す艦中央部のシルエットは、前弩級戦艦のタンブルホーム型船体を思わせるテーパーのかかった艦影によって重厚さを醸し出し、「戦艦」という艦種が持つ特有の存在感を水平線の彼方まで行き渡らせるような威容を誇っていた。

 いつの時代でも戦艦は、国家が誇る技術力と軍事力の象徴であり続け、象徴的な威厳の源泉たる存在だったのだ。

 

「そうだ、そうだよ……わたしは、私はっ───」

 

 そして彼女は遂に、自分の名前を口にした。

 

「私は『やまと』。護衛艦の『やまと』なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やまと型超重原子力イージスシステム搭載ミサイル護衛艦

 

BBGN-1945 超重原子力ミサイル護衛艦『やまと』

 

 

 

 

 

 国際連合世界平和維持機構軍所属・独立機動打撃群(タスクフォース)『星屑の艦隊』の旗艦を担い、人呼んで“史上最後にして最強の戦艦”とすら形容されてきたミサイル戦艦。

 その艦歴は、旧大日本帝国海軍連合艦隊に所属した、同国最大にして最後の超弩級戦艦の艦級─すなわち大和型戦艦の一番艦・戦艦『大和(やまと)』に起源を持つものと伝えられている。

 

 日本の隣国たるシベリアの小国家・旧ウィルキア王国で発生したクーデターに端を発する第二次世界大戦において、同国を脱出したウィルキア王国近衛海軍第二艦隊に接収された『大和』は、改装された姉妹艦たる大和型戦艦三番艦・空母『信濃(しなの)』とともに世界各地を転戦、王族から政権を奪取したウィルキア帝国の侵略攻勢に立ち向かってきた。

 

 数々の超兵器や帝国軍の大艦隊を打ち破った本艦は、ウィルキアや北欧に黒衣の悪魔として伝承されるワルキューレの一柱に因んで、“Ráðgríðr(ラーズグリーズ)”との異名を戴くに至っている。

 

 終戦を迎えた1945年以降、『大和』はウィルキア国王マンフレート・フォン・ヴィルクの言に基づいて結成された有志の集い『第零遊撃部隊』にその身を置くこととなり、ミサイル護衛艦としての改修を経て東西冷戦下の世界を守りつつ、今日まで戦い続けてきた。

 小惑星『ユリシーズ』落着を経た21世紀以降も、混乱する世界の中で『大和』改め『やまと』はあらゆる敵を相手取りながら、危機に瀕する世界を陰ながら支え続けている。

 

 大戦終結から80年余りを経た、某年12月31日──

──北極圏で再び蘇った究極超兵器との死闘を経て消失したはずの護衛艦『やまと』は、今この瞬間、学園都市『キヴォトス』中央行政区・District-of-Utnapishtim(ウトナピシュティム自治区)の沖合350海里への転移を経て、覚醒を果たしたのだった。

 





 はい、趣味丸出しの駄文であることは自覚しております。ここまで読んでくださった方には深く感謝申し上げます。評価、感想、ご意見等ございましたら、なんなりとお申し付けください。
 それでは。

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