魔王の仔ですが世界に光を優しい人になります   作:ジャック・オー・ワンタン

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第13話:その風に忠義を・・・

「全軍!市民の避難を完了させろ!対空攻撃も忘れるな!!」

 

僕らの読み通りエアリエルへ侵攻してきたソルバース・・・ここまで予想を的中させることは金輪際ないかもしれない。こんな予想は誰も当てたくないだろうが・・・と、悠長に言っている暇なない。気になる戦局だがウラヌスの素早い対応により非戦闘員の避難は完了し、城の至るところで自身の能力(スキル)を纏ったエアリエルの兵士達が弓矢を放って攻撃していた。

 

「流石は槍術と弓術に優れたエアリエルの兵ですね。」

「思ったけどエアリエルの兵達って女性のエルフ族が多いな。」

 

エアリエルの兵士達の力に関心するプルートを他所に僕は兵達の種族と性別に目を付ける。正直、エルフ族を見るのは初めてだ。にしても兵士はなんで女性が多いんだろうか?

 

「エアリエルは昔からエルフ族が住んでいた名残があるの。それとこの山脈は女性に加護を与える力があるとされているから兵達も女性が多いのよ。」

「そうなんだ。」

 

マーキュリーからそう説明を受け、納得する。・・・にしても弓と槍か。魔法以外でも何か使えるなら候補に入れてもいいかもしれない。まぁ、魔法もまだ教えて貰う段階だから僕の戦闘力は低いままだけど・・・。

 

「ウラヌス!貴方も城に退避しなさい!」

「母上!王子たるもの・・・兵を残して自分だけ退くのは嫌です。私も戦います!」

 

城のバルコニーにいる女王ミランダにそう返したウラヌスは僕らの傍らでソルバースの空飛ぶ帆船に弓を引く兵達を鼓舞する。

 

「ソルバースに我ら風の民族の力を思い知らせてやるのだ!!その風に忠義を!!」

「「その風に忠義を!!!」」

 

彼の鼓舞を受けたエアリアル兵は攻撃の手を強め、ソルバースの艦隊を次々沈没させていく。だが、それにも限界があるようで幾つかの部隊の本土上陸を許してしまう。

 

「ウラヌス様!ソルバースの兵が城下町に!!」

「よし!槍兵部隊!出撃!私も出る!!」

 

城へ迫ってくるソルバース軍にウラヌスは臆することなく自ら斧槍(ハルバード)を持つと槍兵を率いて城門から外へ飛び出した。

 

「あっ!ウラヌスが!出て行ったよ!」

「我々も加勢しましょう。マーキュリー殿準備は宜しいですか?」

「はいはい。やるわよ。」

 

マーキュリーは面倒くさがりながらもプルートに応えて杖を構えるとウラヌスたちに続く。一方、先陣切って突撃したウラヌスはソルバース軍の目の前で飛び上がると得物の斧槍を横殴りに振り回すと同時に緑色の風の斬撃を奴らにお見舞いする。その威力は絶大で前衛のソルバース兵を吹き飛ばし、放たれた風は少し離れた僕らにも届く程だった。

 

「うわっ!凄い風だ!今のはウラヌスが?」

「えぇ、彼の能力(スキル)”疾風”でしょう。」

 

疾風・・・正にエアリエル王族に相応しい能力と言うべきだろう。僕達も負けてられないな。

 

「くそっ!数人に突破された!!」

「お任せあれ!」

 

ウラヌスに答えるかのようにプルートが魔導書を開くと僕らの方へ向かってくるソルバース兵を落雷で戦闘不能にし、そこから残った兵士をマーキュリーが攻撃魔法で処理していく・・・

 

「君達、中々やるではないか。まさか自身の能力も使わずに魔法だけで解決とはな。」

「これでも幾らか修羅場を潜り抜けた身ですので。」

「ははっ!頼もしいな!」

 

プルートに笑顔を見せたウラヌスも負けじとやって来る敵を撃破していく。しかし、侵攻の手は緩むことは無く寧ろ勢いを増し、エアリアル側に段々疲れの顔が見えてきた。そして・・・とうとう

 

「ウラヌス様!城で後方支援を行っていた弓部隊の矢が尽きました!」

「くっ・・・遂に我が国の矢を全て使い切ったか。やむを得ない!弓部隊は全員槍を持って城の護衛に当たれ!」

 

後方支援を行っていた弓部隊の矢が無くなると同時にソルバースの勢いが増していく。

 

「ダメね。倒しても倒しても次々出てくるわ。」

「流石はフレア大陸一の軍事力というべきでしょうか。」

 

その勢いに流石のプルート、マーキュリーの2人にも疲れの色が見えてくる。・・・このままだとソルバースに押されてしまう。くそっ!僕も戦えたらこんな事には。考えろ!考えるんだ!今、自分に出来ることはあるのか?必死に試行錯誤しながら戦局を見守っていた時、僕達を更に追い詰める事態が起こった。

 

「あ、あれは・・・嘘でしょ!!」

「なんで・・・”ヴィーナス”の兵士が・・・ソルバースと居るのよ!!」

「な・・・に?」

 

エアリエル兵の声を聴き、僕達はソルバースの陣営を見るとそこには金色の鎧と斧や剣を持った兵達がソルバースと肩を並べて迫ってきていた。

 

「ヴィーナス公国軍?でも、なんで奴らが!?」

「あれを見る限りヴィーナスはどうやらソルバースと同盟を組んだみたいね。」

 

マーキュリーの言葉に絶句する。それってヴィーナスがソルバースと手を組んだって事じゃないか!なんでソルバースなんかと?

 

「何故、彼らがソルバースと手を組んだか分かりませんがこれでヴィーナスへ向かう必要も無くなったようですね。」

 

ヴィーナスの軍勢を見て、プルートはそう呟くと更に絶望的な報が耳に届いた。

 

「ウラヌス様・・・我々の城が・・・ヴィーナスの伏兵に侵入されてしまいました・・・。我々の・・・敗北です。」

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