魔王の仔ですが世界に光を優しい人になります   作:ジャック・オー・ワンタン

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第16話:魔王の修行

「もっと気持ちを集中させて!そうじゃないと魔力は溜まらないわよ。」

「は・・・はい!」

「喋ったらダメ!もう一度!!集中しなさい!!」

 

あれから数日後・・・マーキュリーに魔法を教えてもらうことになった僕は彼女の厳しい修行に挑む。現状僕は魔王の力である能力(スキル)の闇を使え、強力な力を使えるがまともに扱えず、せいぜいソルバースの兵士を一人倒すのがやっとの状態だ。その為、闇を扱えるようになるまで他の方法で戦闘を積んでいくしかない。しかし、僕は魔力が無い為、単純な剣術等の技術だけでは闇の能力(スキル)を扱う事はできない。

 

その為、先ずは魔力を鍛えるところから始める必要があるのだ。マーキュリー曰く能力をより効率よく扱うには魔力を使う方が良いらしくそれは魔王の力も該当するらしい。伊達に魔族を狩って研究してきた人ではないとよく分かる。

 

・・・という事でその魔力を上げる修行をしているのだがこれがかなりスパルタだ。なんせ今、石の上で胡坐をかいて心を無にしながら瞑想しており、その状態でマーキュリーが微弱な魔力を僕に送り込んでいるのだ。こうすることで僕にも魔力が宿り、魔法が使えるようになる・・・のだが。

 

「もっと集中しなさい!!!」

「は、はい・・・」

「だから喋らない!!!!」

 

めちゃくちゃ厳しい・・・正直、心が折れそうだけど強くなるためだ!!やらないと!気持ちを集中・・・何も考えるな!無心で・・・無心で魔力を・・・!!そう自分に言い聞かせていた時・・・

 

「これは!!」

 

マーキュリーの声が聞こえてくると僕の身体が薄い紫のオーラが纏う。なんだろう・・・凄く力が漲ってくる。

 

「・・・成功ね。テラ、貴方は魔力を手にしたわ。」

「ほ、本当?」

「喜ぶのはまだ早いわ。ここからが本番よ。魔力を得てもそれを使う術がないと意味無いわ。これから簡単な魔法を教えていくから使えるようになりなさい。」

「はい!」

 

魔力を得ることに成功した僕は次に魔法の習得へ移る。

 

「先ずは魔力で火を出す魔法よ。これは杖が無くても使える術・・・見てて。」

 

マーキュリーはそう言うと魔法を詠唱し、掌から光弾を放った。この魔法・・・マーキュリーがよく攻撃魔法で使ってたやつだよな。

 

「これが攻撃魔法のひとつ”ライト・ボール”よ」

「ライト・ボール?」

「そう。詠唱しなくても魔法は使える代表格の一つね。私は杖があるからそこから放てるけど。・・・さ。テラもやってみなさい。」

 

言われるがまま僕もマーキュリーの隣に立って目の前にある岩に掌を翳す。大丈夫・・・初めて使うけど僕にならやれるはずだ!集中して・・・掌から光を・・・!

 

「ラ・・・ライト・ボール!」

 

攻撃魔法を詠唱すると僕の掌は白く光って小型ながらも光弾が放たれるとそれは標的の岩を容易く砕くとマーキュリーは静かに眉を上げて驚く素振りを見せた。

 

「や・・・やった!やったよ!マーキュリー!」

「・・・えぇ、やるじゃない。最初にしてはね。」

 

マーキュリーは優しく微笑んで僕の魔法を評価してくれる。彼女の出した光弾より小さいものの威力はそこそこある。これで使えたらある程度は戦える筈だ。

 

「テラ・・・。貴方は魔王になって大変だろうけど。魔法のセンスはあるわ。」

「えっ?」

「か、勘違いしちゃダメよ。魔法のセンスがあるってだけで強くなるなんて言ってないわ。」

 

不器用だなぁ・・・そう思いながら僕は笑みを浮かべながら「ありがとう」と返すと彼女は少しだけ頬を赤くする。

 

魔力と攻撃魔法を会得した僕は魔王として強くなる。しかし、一方でソルバースの侵略作戦は刻一刻と進んでいるのだった。

 

◇◇◇

 

一夜明け・・・屋敷に戻ってきたプルートとウラヌスは各国の状況を僕らに伝えてくれた。

 

「そっか・・・皆、危惧はしているけど様子見って感じなんだ。」

「はい、警戒はするようですがソルバースの動向次第で協力を考える方針の様ですね。」

 

結論を言うとフレア大陸の各国は皆、エアリエル同様に様子見の姿勢を見せたという。ただ、ソルバースのやり方に対してはただ指を咥えて見ている訳ではなくその時が来たら身構える・・・とのことだった。

 

中にはエアリエルに落ち度があったから領土を奪われたのではないか?と厳しい言葉を投げかけた国もいたらしい。・・・まぁ、それを言った人は王ではなく戦ったことがない貴族らしいが。

 

「皆、あまりにも呑気すぎる!こういうものは先手を取らないと勝てないというのに!!」

「まあ、都合と言うのがあるのでしょう。殆どが戦いを知らない貴族達の考えではあるのですが”マルス王国”、”ダフニス王国”、”トリトン王国”の三国は同盟を組んだそうですのでいざという時は助けになるかもしれません。」

 

愚痴を零すウラヌスの隣でプルートはそう言う。・・・貴族ってどこの国もそんな人が多いよね。ソルバースはそんな感じじゃないけど戦闘経験は皆無に近いのは共通している。自分達の言いたいことは言って後は高みの見物・・・全くいいご身分と言っても過言じゃない。

 

「まだ行ってない国はあるの?」

「一つだけあります。ここから北に上がった”アナンケ共和国”です。」

「アナンケ!?アナンケってあの神木”オーソシエ”があるあの?」

「君、なんでそれは知っているのだ・・・。」

 

僕の植物マニアセンサーにウラヌスは思わずそう返してくる。治癒能力のある神木オーソシエ・・・植物好きなら知らない人はいない超メジャーな木だ。あぁ、それを見れる機会があるなんてよだれが出てくるよ!えへへへ・・・

 

「いずれにしてもアナンケへ行くのは変わりないわね。」

「えぇ、翌日には魔王様、マーキュリー殿も行くとしましょう。」

「うん!行く行く!絶対行く!」

「君はオーソシエが目当てだろう?絶対!!」

 

こうして僕達はアナンケ共和国へ向かうことになる。目的はオーソシエ・・・じゃなくて首相にソルバースの件を伝えて協力を仰ぐこと。

 

忙しくなるな・・・当分、屋敷にある植物を愛でることは出来ないみたいだ。

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