魔王の仔ですが世界に光を優しい人になります   作:ジャック・オー・ワンタン

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久々の投稿です!


第20話:ルナ・アペニン

僕はルナを見て、絶句する。なんで・・・どうして君がこんなところに!!君は戦いを好む人じゃなかった筈だ!!

 

「魔王様?彼女とはお知り合いですか?」

「・・・知り合いも何も・・・親友だよ。」

「ご親友ですと!?」

「嘘!!」

 

ルナとの関係を知ったプルート達は衝撃を受けた。

 

「では何故その親友殿がここに?」

 

ウラヌスは彼女を見てそう尋ねてくるが聞きたいのは僕の方だ。なんでこんな形で再会することになるのだろうか?

 

「テラ君、久しぶりだね。」

「なんで君がソルバースといるの?どうして!!」

「私だってこんなことしたくないの!!」

「おい!」

 

今にも泣きそうなルナをソルバース兵が制止する。・・・まさか、こいつら!!

 

「汚いぞお前らッ!!ルナは関係ないだろ!!!」

「戦いに綺麗も汚いも無い。陛下は貴様を討伐する為なら手段は選ばないのだ。例え子供、女性を犠牲にしようとな!!」

「・・・テメェら!!ふざけんなよ!!」

 

ソルバース兵の言葉にウェヌスも怒りを表す。彼女だけじゃない。プルートやマーキュリー、ウラヌスもルナを戦いの道具にしていることに怒りを見せていた。

 

「怒らないで。テラ君。」

「でも・・・」

「貴方ともっと植物について色々話したかったな。もっとポーションの作り方とか・・・」

 

無理して造った笑顔で彼女はそう言ってくる。・・・ダメだ・・・やめろ!!君のそんな顔は見たくない!!

 

「僕もそうだよ!」

「うん、だから・・・死んで!!」

 

震えた声でゆっくり僕に杖を構えると先程の光の弾を放ってくる。しかし、直ぐにプルートが僕の目の前に立つとそれを自身の魔法で相殺し、直後にウラヌスとウェヌスが突撃して次々とソルバース兵を蹴散らした。

 

「本気で行かせてもらうぜッ!!」

 

ウェヌスは自身の能力(スキル)である砂風を得物のメイスに纏わせると空高く跳び上がり、勢いよく地面へ振り落とすと辺りに砂の竜巻が起こって更に別の兵士らを巻き込んでいった。

 

流石は狂戦士と言ったところか・・・あの小さな体で大きなメイスを軽々と持ち上げて能力を使い、敵を叩く。プルートやマーキュリーと違い、能力を全面的に使ったパワープレイだが裏を返せば魔法とは違って知識ではなく力だけで何とかなるのが利点だろう。

 

「魔王様!下がってください!」

 

プルートの声で我に返り、正面を向くとルナが放つ光弾を次々と相殺していく。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・どうして?どうしてテラ君を殺させてくれないの!!!」

「何故、そこまでして魔王様のお命を?貴方はご親友なのでしょう?」

「貴方には関係ないわよ!!早くそこを退いて!!!早くしないと・・・お父さんが!!」

「お父さん?」

 

彼女がハッとなって自身の口を塞ぐ。

 

やっぱりそうだったのか!!ソルバースはルナの父を・・・

 

「ルナ!アペニンさんが何かされたのか?」

「違う!違うの!!」

「違くないだろ!だったらなんで・・・」

「嫌ぁぁああっ!」

 

発狂したルナは我を忘れると杖から巨大な黒い弾を生成し始める。

 

・・・なんだよあれ!今まで見たことがない魔法だぞ!?なんだよ。あの禍々しい黒い弾は!

 

「あれは・・・新月!?」

「新月?」

 

マーキュリーの放った名前に僕が首を傾げるとプルートが代わりに説明してくれた。

 

「古代に造られた禁断の魔法です。魔王の力である闇に匹敵する力を持つのですよ。」

「闇の能力に匹敵する力を!?それって代償とかは?」

「・・・新月の魔法を詠唱したものは闇と同様・・・力に呑まれると自我を失うと言われています。」

「そんな!ルナ!ダメだ!」

「いけません!魔王様!」

 

ルナに駆け寄ろうとした僕を慌ててプルートが止める。

 

「離してくれ!ルナが!!」

「お気持ちは分かりますが危険です!!」

「二人共!危ない!!!」

 

マーキュリーがそう言った瞬間、新月の弾が僕とプルートに迫ってくる。・・・まずい!!この距離じゃ避けきれない!!このままだと・・・うわっ!潰される!!思わず目を瞑って無意識に力を込める。

 

皆を・・・守らないと!!

 

必死に願い、魔王の力を開放すると黒いオーラが僕の身体を包みこむと黒い稲妻を纏って強大な力へと変わった。

 

「魔王様!」

 

プルートの声を他所に僕は新月を片手で掴み取ると渾身の力で握り潰して辺りに闇の力を含んだ衝撃波を放った。

 

衝撃波はソルバース兵全員を地面に伏せて気絶させるとやがて小さくなって消滅していく。・・・今のなんだ?よく分からないけど僕、魔王の力を最大限に使ったのか?

 

「マジかよ。あのでっかい黒い弾を握り潰したぞ。」

「あぁ、あれが魔王の力なのか?」

 

新月を相殺した僕にウェヌスとウラヌスは驚いた顔でこちらを見てくる。それは彼らだけでなく背後に居たプルート、マーキュリーも無言で目を見開いている程だった。

 

「なんで・・・」

 

ソルバース陣営で唯一残ったルナの声で我に返る。・・・ルナ!

 

「なんで負けるのよッ!!」

 

焦りと悲しみ、怒りに満ちた声で僕に怒鳴る。・・・やめてくれ!これ以上は!君は戦ってはいけない!!

 

「ルナ、もうやめよう。僕達と来てくれ!」

「なんで私がテラ君と?お父さんを見捨てろっていうの?」

「違う!君のお父さんも・・・アペニンさんも助ける!」

 

手を懸命に伸ばす僕にルナは涙を流して顔を背けると杖をこちらに構えて再び新月の黒い弾を生成し始めた。・・・ダメだ!やめるんだ!!

 

「よせ!ルナっ!」

「魔王様!危ないッ!」

 

プルートに歩みを止められた直後、新月は爆発するとルナを吹き飛ばしすと彼女の体は草原道から外れた崖へ落下する。

 

「ルナッ!ルナァァァッ!!」

 

崖の前で蹲った僕は皆一人、親友の死に涙を流す。その涙は草原道に吹く微かな風によって何処かへ流されていくのだった。

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