「「・・・・・」」
二人は、先ほどからずっと歩いているが一向に景色が変わらない。進んでいるのかもわからない。シルフの森が意外と距離があるのは知っているが流石に長すぎではないだろうか?
一旦、歩くのを止めて二人はその場で立ち止まる。まだ日が出ている内に迷うことになるとは。
ユウキは疲れたのか、地面に倒れこんで手足を広げる。そして目だけでトウカを見て言った。
「ねえ、同じところ回ってない?」
「そうか?」
トウカが返すと、ユウキは体を起こしてピンと人差し指を立てた。
「ん~、まだわかんないけどそんな感じがするなあ・・・」
「・・・」
ユウキの話を聞きながらトウカは周りの木々を見る。特に怪しい物も無ければ、尾行の形跡も見当たらない。
その間にユウキはゆっくりと立ち上がってトウカの傍による。
「行こ、トウカ!」
「ああ」
ユウキの後に続いてトウカも歩き始めた。
「またここ・・・」
数分歩いたが、また同じ場所に辿り着いた。うわあ~と力ない声と共にユウキはぐたっと倒れる。
「また迷ったのか・・・?」
トウカは周りの木々をもう一度見る。先ほどと同じ場所なので見る必要はないと思ったが、念のため見渡す。
「トウカ~、そんなことしても駄目だよ~。迷ったんだよボクたち~」
語尾を延ばしてだらけモードに入ったユウキが言った。ユウキの言葉を聞きながら、トウカは歩いて一つ一つ木々を見ていく。
(・・・!)
一本の木の前に来たところでトウカは足を止める。さっきも見た普通の木。
上下に見た後、顔を近づける。すると真ん中の部分が波のように歪んでいた。
「幻術・・・」
トウカが小さく呟くと寝っ転がっていたユウキがピクン、と反応する。体を起こしたユウキはトウカの立っている方を見た。
距離が違うので微妙なところだが、少し歪んでいるのが確認できた。自分の刀を抜き片手で持って、狙いを定める。
「もっとうまく化けて、出直してきな・・・!」
歪んでいる部分目掛けトウカは刀を突き刺した。真ん中に綺麗にヒットし、木だったそれの姿が変わる。
「グッ・・・!」
木に化けていたのはスプリガンのプレイヤーで、苦しそうに歯を食いしばっている。
力を振り絞って自身に刺さっている刀を掴もうとするが、その直前に光と共に消えた。
「無理だって、そんな程度じゃ」
トウカは刀を下に振り下ろして整えると、の近くに元に行く。
「敵はまだいるぞ」
直剣を勢い良く抜刀して、ユウキは口元を緩める。
「そうみたいだね・・・!」
スプリガンの男がいた地点からゆっくりと辺りの風景が変わっていく。幻術がゆっくりと解けていく。
すると、他に3人のプレイヤーが三方に姿を現した。恐らく合同パーティーで行動していたんだろう、全員種族が違う。
囲まれたトウカとユウキは互いに背中を合わせる。
「・・・行くよ!、トウカ!!」
「ああ!!」
二人は一瞬背中をくっ付けると目にも止まらぬ速さで敵に向かって行った。