顔を見合わせてお互いに頷く。トウカは刀を握りながらゆっくりと前に歩き出した。ユウキは援護に付かずその場で見ている。
シャアアアアアッッ!
龍に近い叫び声のヤマタノオロチの声の咆哮が部屋全体に響く。耳を塞ぎたくなるくらいの音量だが二人ともそれを気にしない。
七匹が体を動かしてトウカを囲む。歩くのを止めたトウカは上を見上げた。それぞれ違う属性を持っている蛇が七色の魔方陣を展開している。
見る限り、火・水・雷・風・氷・影・土・無の七属性。領主全員で向かっても勝てるかどうか。それくらいの強さがあるだろう。
魔方陣がゆっくりと光りだし七匹の蛇はそれぞれトウカの体に狙いを定める。しかしトウカは口元をニッとしてユウキに見えるように刀を上に上げる。
「ハアアアアアッ!!」
合図を確認したユウキは自慢の加速で、限界まで走ると羽を広げトウカの上を飛ぶ。助走の勢いが付いたまま七匹の蛇の体が集まっている中心部まで行く。
(あった・・・!)
よそう通り体の中心部と思われる部位には核の様な水晶体があった。本来なら何匹か守りにくるが今はトウカが七匹全部を相手にしているので来ることは出来ない。
刀を下に向けて両手でカッシリと握る。場所を調整してユウキは一気に急降下を始めた。
しかし・・・、ギリギリの所でユウキは直剣を止め、ホバリングする。
「うわああああああああ!!!!」
叫び声を上げるとユウキは物凄い勢いで羽を使い先ほどの場所まで戻る。てっきり倒してくれると思っていたトウカも様子が気になり一度後ろに交代する。
「どうした!?」
トウカが言うとユウキがガシッと抱きついて胸に顔を埋める。頬が高潮していて閉じている瞼からは涙がこぼれた。
指で涙を拭くと顔をヒョコっと出してユウキはトウカを見上げる。2、3秒じーっと見つめると口を開いた。
「アイツの弱点のところ、体の中心だからうにゃうにゃ動いてて気持ち悪くて・・・。それで怖くなって・・・」
ユウキの頭を撫でながらトウカはオロチのほうを見た。ここからだと体の中心は少ししか見えないが確かに背筋が一瞬ぞっとするくらい気持ち悪かった。
「うわぁ・・・。あれは確かに・・・」
トウカが呟くとユウキは抱きしめている腕の力を強めた。「グッ!」と声が出そうになるが何とか堪える。
「普段なら何とか我慢するけど・・・、トウカなら、その・・・弱いとこ見せても良いかなって・・・」
(あ~、ホント可愛いわぁ)
口元がニヤけていないか確認しながらトウカはユウキを撫でた。相変わらずサラサラの髪は触り心地が良い。
(別の方法で倒すしかないか・・・)
そう思いながらもトウカは撫でる手を止められなかった。