「うおおおおおおおお!!」
通常の何倍もの威力になった煉獄はオロチを確実に仕留めて、やがて術者を飲み込もうとする。
トウカはコオオと炎の燃えるような音が頭の中から聞こえてくる気がした。
(ヤバイな・・・これ以上は飲み込まれるか・・・)
いつの間にかトウカとユウキの周りを囲むように炎風が舞っている。少しでも触れればダメージになるだろう。ユウキは心配そうな表情でトウカに呟いた。
「トウカ、だいじょうぶ?」
「いや・・・流石に危険だ」
「えっ!?」
トウカは刀を地面から素早く抜くと、ユウキの手を握って全速力で逃げる。できれば後ろを確認しながら距離を取りたかったがそんな時間はあまり無い。
一定の距離まで来たところでトウカは立ち止まり、振り返って体勢を整える。反動でバランスを崩しそうになったユウキを抱き寄せて、素早く一つのアイテムを投げた。
追っ手の様にこちらまで来ていた炎はトウカの投げたアイテムによって行く手を阻まれ、やがて消えていく。
トウカが投げたアイテムは炎に触れると同時に大きな花が横一線に現れ、壁のように広がって炎を遮った。
何らかの攻撃が当たるたびに花の模様が綺麗に光るので、場所が違えば戦闘をしているようには見えないかもしれない。
「これ、結構高い防御用アイテムだよね?たしか景色みたくも出来る・・・」
ユウキはちょこんと人差し指で立てながらトウカに言った。抱き寄せられていたのでそっけなく頬をくっつけている。
「良いんだよ。また買えばいいさ」
そう言うとトウカも接しているユウキの頬に頬擦りする。何ともいえないぷにぷにした感触がたまらない。いつまでもくっつけていたいと思う。
「これ音も完全に遮断するからオロチが倒れたかどうかもわからないんだよな。しばらく待つか」
「そうだねっ」
静かに返事をしたユウキはトウカの肩に手を伸ばしてゆっくりと座らせる。その後自分も座りトウカに体を預ける。
見る限りまだ模様が光ることがあるので、オロチはまだ倒れていないだろう。だがそれも時間の問題、恐らくアイテムの効果が切れる位にはもう終わっているはず。
刀を地面に置いて、トウカは目を瞑り少し休む。まだ十分に動けるが結構キツい。
十分に煉獄を操れるようにしないといくら術者にダメージがこないとはいえ、精神的に厳しくなる。
(いや、難しいこと考えるのはやめよ)
隣にいるユウキの温もりを感じていると考える気も失せる。トウカは少しだけ口を緩めて楽にしていると、ユウキがぽそっと言った。
「ボクたち、恋人みたいだねっ」
地面に置いていた手にユウキがそっと自分の手を乗っける。トウカは顔をユウキに向けてニッと口元を緩めた後、彼女の額を軽く突っつく。
「・・・なわけないだろ」
「あうっ」
突っつかれたユウキは口を尖らせて不満げながらも、乗っけていた手を絡めた。