お互いに違う方向の壁を掘っているが、一向に進まない。というか、硬くて中々崩れてくれない。
「なぁ、強化用の鉱石ってどんな色だ・・・?」
トウカの足元には小さな石ころや、砂粒のような鉱石が沢山落ちている。色もさまざまなので、もしかしたら目的のものがあるかもしれない。
「えーと、金色だったはず」
ユウキの言葉を聞いて、トウカはピッケルを置いて、しゃがんで金色のものを探す。無くしそうな位小さな物も含めると、意外といっぱいあった。
何十個かあった金の鉱石を手に持ち、トウカはユウキの近くに行ってそれを見せた。
ユウキも持っていたピッケルを置いてトウカの手のひらにある鉱石を顔を近づけて見る。
10秒くらい見つめた後、ユウキは顔を離す。そしてトウカのほうを向いて言った。
「うん、これ・・・だけど、量が足りないかな」
「だよな、どれくらい必要なんだ?」
トウカが聞くとユウキは少し俯いて、小さく言った。
「いっぱい・・・。ごめん、ボクも詳しい量はわからないんだ」
「そっか、まだ時間はあるから気長にやろうぜ」
ポン、とユウキの頭に手を置いた後、トウカはまたピッケルを持って掘り進める。
「お~!」
ユウキも元気良く返事を返して、作業を再開した。
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(魔法で一気に崩したらどうだろうか・・・)
ふとそう思ったトウカは片手でピッケルを持ちながら、もう片方の手を壁に付ける。そして軽く衝撃波程度の魔法を放った。
すると、小さく穴の開いたようにその部分の壁が崩れるが下を見てみるともうどれがどれかわからないくらい砕けていた。
(やっちまった・・・)
「ダメだよ、トウカっ!」
その声にトウカが振り返るといつの間にか目の前にユウキがいた。相変わらず距離が近い。
「ここは結構脆い地質だから、魔法だと直ぐ粉々になっちゃうんだよ!ピッケルで地道にやらないと!」
ユウキはトウカの唇に人差し指を当ててゆっくりとなぞると、ツン、ともう一度触る。相変わらずユウキの指はすべすべで気持ちいい。
「わかったよっ」
ユウキの人差し指をどけて空いている片手でユウキのほっぺを掴んで、撫でる。
「遊ぶな~っ!」
「いいだろ、別に」
両腕をバタバタしているユウキが可愛いので、このままいじっていたい気もあるがまずは鉱石を探すほうが優先だ。
正直、ユウキを堪能するのはいつだってできる・・・はずだし。
ユウキの頬から手を離して、トウカは振り返りさっき崩した壁を足でどかす。その間「ん~」、とユウキのもっと構って欲しいと言いたげな声が聞こえたような気もするが振り返るのを堪えた。
数秒経ってユウキも作業をしだした音を聞いた後、トウカもピッケルを壁に向かって振った。