合間にトウカは顔を上げる。空は大分遠くだが、もう夕方なのがわかった。かすかにオレンジ色の空が見える。
あれから掘って掘って、ようやく野球のボール三個分まで溜まった。確認したらユウキもオッケーを出してくれたので量が足りたのだろう。
「何とか間に合ったけど、帰る?」
「ん~・・・」
ユウキに言い寄られながらトウカは考えた。今から帰れなくもないが、上でプレイヤーに出くわしたら面倒だし、町まで戻る頃にはもう夜になっているだろう。
「今日はここで一晩過ごそう。夜が明けたらここから脱出する」
言葉を聞いて目を輝かせたユウキは両手をちょこんとトウカの肩に置いて顔を近づけた。
「ってことは、一緒に寝れるの!?」
「・・・まあ、そういうことだな。交代で見張りをして、寝よう」
「オッケー♪」
――――――――
取りあえず、掘った金色の鉱質を端に置く。まだアイテムとしてしまうことは出来ないらしい。
そして布団を二つ出してピッケルをしまう。
「一つで良いよ!」
「いや、狭いから・・・」
「一緒に寝れば良いじゃんっ!」
「・・・」
頬を膨らませてユウキは徐々に距離を詰めてきたので、布団を一つ戻す。ユウキはニコニコしながら鎧を外して、新たに簡単な格好になった。
いつも身にまとっている服装とは違って、パジャマのようなフリフリの付いた可愛い服を着ている。
「何をそんなに期待してるんだ?」
「トウカと一緒に寝れるから♪嬉しいもんっ♪」
「そっか」
トウカはいつもの格好で布団に入り、仰向けになって片手を目の辺りに置く。いつの間にか空は暗くなっていてチラチラと星が光っているのがわかる。
「ん~♪」
嬉しげにユウキも布団に入ると、片方のトウカの手に絡み付いて離れない。
「じゃ、俺先にログアウトするわ。三時間くらいで戻るから」
「うんっ!」
元気な返事を聞いて、トウカはメニューからログアウトボタンを押した。
――――――――
約三時間後。
再びログインしたトウカは目を開けようとした、が。何となく体が重く感じた。ほんの少しだけ瞼を開けて状況を確認する。
すると、背中に布団を被ったユウキが自分の上にまたがっていた。完全に暗くなっているのでハッキリとはわからないが頬が紅潮しているようにも見える。
(何やってんの!?)
取りあえずトウカは寝たフリをしてユウキの行動を見ることにした。
「トウカぁ、ボクもう我慢できないかも・・・」
両手を胸の辺りで絡ませながらユウキは普段からは創造できない魅力的な声で言った。その後ゆっくりと体を下ろしてトウカとの距離を詰める。
(・・・一体どうなってるんだ?)
トウカはログアウトしているということなので、気になっても目を開けることが出来ない。とてつもなくもどかしいが、我慢するしかない。
「もうチュー、しちゃうね・・・♪」
ユウキは両手でトウカの顔をはさむようにした後、ゆっくりと自分の唇を近づける。彼女の小さな吐息が顔にかかる。いい加減目を開けたい。
(ヤバイ、これは・・・何かヤバイ!!)
唇と唇が合わさるまで、あと6ミリ。