後日・・・の夕方。
「あ~、食べた食べた♪」
ユウキはお腹をさすりながらスイルベーンの町を歩いている。
その後ろを小さなウィンドウを出しながらトウカが追う。テンションが高いユウキは他のアバターと違って足音から違うので本人を見なくてもそれを頼りにすれば付いて行ける。
「ユルドが、もう・・・ない」
何回同じ言葉を言っただろうか。トウカ自身もわからない。
もしかしたら大食いかな、とは思っていたがまさか6×万ユルドも食われるとは。ほおばっている表情が可愛かったのでついついスイルベーンでも指折りの二つ星・三つ星レストランに連れて行ったのが間違いだった。
(領戻って、専用口座から卸さないと本格的にヤバイ)
もう五桁もないユルドは、ユウキと一緒に住んでいる限り足り無すぎる額だ。
「あ~~」
「どうしたの?」
立ち止まってユウキは振り向く。両手を後ろで組んで姿勢を低くして上目遣いで。
「なんでもない、いくぞ」
トウカはゆっくりとユウキの頭にポンと手を乗っけたあと、通り過ぎる。その後直ぐにユウキもくっつくように歩き出した。
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「もうクリスマスだね~」
「そんな時期か」
確かにスイルベーンにもクリスマスツリーや、そういう装飾をした店が多い。それにカップルも多いような気がする。
「トウカ、今までクリスマスはどうしてたの?」
近くのベンチに座って、ユウキは体ごとトウカに向ける。
「ん~、特に無いかな。普通にクエストやっている記憶しかないわ」
「え~!!もっと大切にしないと!一年に一回なんだよ!」
「まぁ、そうだけど・・・」
「そういうボクもクリぼっちなんだけどね。去年は1人寂しくケーキ食べてた。ハハ・・・」
「以外だな。誰かいるかと思った」
「いないよ~!でも・・・」
ユウキは静かにトウカの腕に絡んで、耳打ちするように口を近づけた。
「今年はトウカがいるから♪」
「・・・あのな、ユウキ。実はクリスマスにはちょっと」
予定があってこれないかもしれない、とトウカは言おうとしたが口が止まる。
「一緒に、クリスマス過ごせないの?」
小さな声でユウキはそう言った。瞳を潤ませて頬は少し紅くなっている。良く見ると、ほんの少しだけ口を開けて、震えを押さえているように見えた。
(そんなに楽しみなのか・・・)
毎年年末ギリギリに大掃除をして、年越しに間に合わなかったので今年は心機一転、早めに片付けようと思っていたトウカだがこんな顔されたらユウキを優先するしかない。
「いや・・・特に予定は無い」
「ほんと!?じゃあ、クリスマス一緒にいられるの!?」
さっきとはまるで違って今度は目をキラキラさせている。相変わらずユウキは可愛い。
「ああ、もちろん」
「やったー!!ありがと、トウカっ!!」
ALOが冬模様になっているので、ユウキがくっつけてきた頬もひんやりと冷たい。
いつの間にか雪も降ってきて、二人で空を見上げる。
トウカの肩に頭を置きながら、ユウキはゆっくりとトウカの手に自分の手を絡めた。