次の日。
トウカはソファに座ってコーヒーを飲んでいる。向かいのソファでユウキが跳ねているが、とりあえず見ない。
コップをテーブルに置くとタイミングを見計らっていたかのように、ユウキがこちらに来た。
「トウカ!これ見て!」
そう言ってウィンドウを出してトウカのほうを見た。
「・・・カップル限定クリスマス特別クエスト?」
説明欄にはカップルの男女で手を握りながら、モンスターを倒してくうんたらこうたら書いている。
「そもそも、俺らカップルじゃないじゃん」
「・・・・ぅぅ」
トウカの言葉にユウキは俯いて両手を握り締めた。そして気にするように時折トウカの顔を見る。
「・・・それでも、ボクはトウカと行きたいなぁ。ダメ・・・?」
ちょうど髪のせいでトウカからはユウキの表情が伺えない。しかし、時々こちらを見るときに目が合う。
その目は何となく悲しそうな雰囲気があった。いつもとは違って、触れたら壊れそうな弱さがある。
「トウカぁ」
磨り減ったような声で言った後、顔を上げたユウキは半ば無理矢理腕に抱きつく。もしここで断ったらどうなるのだろう、自分を失って泣きながら家を壊したりするのかな。・・・怖っ。
「わーったよ。やるよ、カップルとして」
「あ~り~が~とぉ~!!」
断らなくても泣きつかれた。ユウキは腕から離れて全身でダイブした。押し倒したトウカのお腹に抱きついて頬擦りしている。
「よしよし・・・」
適当に頭を撫でると、指で涙をぬぐいながらもユウキは口元を緩ませた。
「ところで、クリアした何が貰えるんだ?」
「ん?えーと・・・」
顔を上げて、ユウキはウィンドウを下げて確認する。透明なので反対からでも読めると思ったが情報保護用の魔法が掛けられていて読めなかった。
「賞金のユルドと、クリスマスセット・・・」
「賞金、いくらだ?」
「80万ユルド」
それを聞いた瞬間トウカは体を起こした。80万も貰えるなら昨日の出費を戻せるついでにお釣りも来る。
「本当に80万か?」
「うん、そう書いてるよ」
「よっしゃ、やる気でたわぁ!」
「ホント!良かったぁ~」
トウカが急に起きたのでそれでバランスを崩したユウキは再びダイブする。
「おいっ・・・!」
支えきれなくなって二人はそのままソファから滑り落ちる。ユウキが足をバタバタさせなかったおかげでテーブルのコーヒーは零れなかった。
「・・・トウカ?」
カーペットにうつ伏せのユウキが言った。両手は顔の近くでトウカの手と組んでいる。
トウカは手をユウキと絡めているが押し倒すような体制になっている。
「なんか恥ずかしいよ、トウカ・・・」
そう言っているユウキは目を横に逸らしている。トウカの方を見ることは無く気恥ずかしそうにしている。
(床ドン、みたいなやつか、これは)
気まずいのでトウカは手を離してゆっくりと体を起こした。ユウキに手を差し出してユウキも起こす。
「チューして欲しかったな・・・」
ちょっとモジモジしながらユウキは呟いた。もちろんトウカには聞こえていない。両手を組んで静かにトウカを見つめるが、この時はこちらを見てくれなかった。
「行くぞ、今日なんだろ?」
「うん・・・」
寂しげに変事をした後、ユウキは玄関に向かって歩いているトウカに付いて行った。
《quest3:カップル限定クリスマス特別クエスト》