木だけはそこら中に生えているが、暗い。
なるほど、ユウキが怖くなるのもわかるかもしれない。現実だったらもっと怖いだろう。
「また怖くなってきたよぉ」
ユウキが再び体を密着させてきた。上目でこちらを見ながら止まって欲しそうに訴えてくる。
「誘ってきたお前が怖くてどうする・・・」
「だって~」
「ッ!?」
タイミングよくユウキが言い終わった後に何かの気配がした。反射でトウカは繋いでいたユウキの手を強く握ってしまう。ユウキは顔を少ししかめる。
「痛っ!」
「ユウキ、直剣を抜け。モンスターがこっちに来てる」
「こ、このタイミングに!?」
一応直剣を抜くが、ユウキは緊張感がなくてキョロキョロ見渡している。しかし、透視の魔法を使っているので正体はわかっていた。
狼形のモンスター3匹。尻尾に水色の炎が燃えているのでおそらくここの層にしかいない種族だろう。
「こっち来てるよっ!」
「わかってる、落ち着け」
「トッ、トウカ!」
「ん?」
「が、頑張ろうねっ!」
何だろう、今日のユウキはTHE・女の子だ。いつも以上に可愛い。
ちょっと言葉を交わしてる間に狼は目の前に現れた。歯をむき出しにして、こちらを威嚇している。
「こっ、攻撃する?」
顔をこちらに向けてユウキは問いかけた。
「いや、あっちから来るさッ!」
痺れを切らしたのか一匹の狼が目を光らせながらトウカに向かってジャンプしてきた。刀を伸ばせば届かない距離でもないがとっとと片付けたい。
「---氷」
トウカはそれだけ呟いて刀を狼に向けた。刃先の周りで小さな青色の魔方陣が刀身の半分くらいの氷柱に変化する。
ギフッ!
二本の氷柱が狼の両目を貫通して、一直線に飛んでいく。狼は音を立てて雪に落下する。目を失ってもなお嗅覚でトウカの近くに行こうとしている。
何かいつも見る狼のモンスターよりもしつこい気がする。絶対運営がシステムいじったな。
刀をチョンと小さく動かすと、先ほど飛んでいった氷柱が移動したかのように狼の上に現れ一直線に背中を刺した。
今度は声を上げることも無く狼は倒れ、消えた。
「おおっ!」
ユウキが口を開けて驚いていた。ああ、もうさっきのか弱いユウキじゃなくなってる。
ま、可愛いことには変わりない。
「ユウキ、来てるぞ」
「うんっ!」
元気な笑顔で返すと、ユウキは走ってくる狼に向かって直剣を振った。
草原で試した時のように、紫色の残像が波のように広がっていく。残像が狼の体に触れた途端、一瞬止まったかのように動きが鈍くなり、
気づけば、狼の体を真っ二つにしていた。
「何か、前より威力増してないか?」
「愛のパワーだよ♪」
「違うだろ」
二人は残った一匹の狼が接近してくることを気にもせずに会話を続ける。
「じゃあ何のパワー?」
「自分のパワーだろ」
「えー!?でも一緒に素材とったじゃん!やっぱ愛だよ!」
「いや、愛にはならないだろ」
その間にも狼はいっそう大きな叫び声を上げて力強く雪を踏んだ。他の狼とは比べ物にならないくらい高くジャンプする。
牙の生えそろった口を開けて、二人目掛けて距離を詰めようとしたーーー。
「「邪魔」」
二人の声と同時に二本の剣がクロスして、狼を突き刺した。
ちょっと適当です、ごめんなさいw