狼は声を上げることも無く、一瞬で消えていった。
3匹の狼の報酬画面が出てるが、トウカは目もくれない。どうせ少量のユルドと毛皮とかだろう。別に観なくてもいい。しかも、画面一つしか出てないし。
おそらく手を繋いでいるから、共同保存用?みたいなところに入ってるんだろう。ユウキは確認しながら何か指を動かしている。
「どりゃっ!」
決定らしきものを押したユウキを見る。紫色の髪の毛が光って、新たに耳が現れた。見た目からモフモフしているので先ほどの狼の素材から作ったんだろう。
もとから生えている尖った耳のようにピクピク動かすことは出来ず、飾りに近いがすごく魅力的だ。
「どう、トウカ?可愛い?」
直剣をしまったユウキは左手を猫のように丸くして、2、3回動かす。猫じゃなくて狼なんだが、多分あごの下をくすぐったりしたらユウキは喜ぶだろう。
可愛いとかわざわざ聞くなんて。どうせ可愛いしか帰ってこないのにあざといな。
「ああ、可愛いよユウキ。似合ってるぜ」
「ありがとう~♪」
早速、笑顔になったユウキのケモ耳を触るために手を伸ばした。両耳の間から触ってみたり形をなぞってみたり、色々な方法でトウカは触った。
「もっふもふだな」
軽く押しただけでも手にくっつくようなもちもちさ。生えている毛も指に絡むことなく一本一本が自分を主張している。
「んっ、くすぐったい・・・」
口ではそう言いながらもユウキはまだ触って欲しそうだった。そんな顔しなくてもしばらく感触を堪能するつもりだったんだが。
空いている右手で根元から上に掛けて繰り返し触っていく。これが一番感触を味わうことが出来る。
こちょこちょする時の手で撫でている時、先ほどとユウキの感じが違った。
「ひゃぁッ!・・・アッ・・・んんっ!」
感じてる!!??
ユウキは目を強く瞑りながら、指を口元において声を漏らさないようにしている。まあ、まる聞こえなんだけどね。
ドキドキドキドキ・・・心臓の鼓動が上がっていくのを感じる。それでも、今の反応をもう一回見たい。トウカは正直にそう思った。
さわさわさわ・・・・・。
もう一回触ってみると大きく肩を震わせたユウキは人差し指の先を少しだけ口に入れた。
「ひゃうううっ!、んんんっ!」
そして小さく目を開けると、トウカに言った。
「トウ、カぁっ!その撫で方ッ、むずむずするっ・・・!止めてぇっ!」
そう言われると、止めたくなくなる。トウカは黒い笑みを浮かべた。さっきよりも強く形耳を握って上下に動かす。
「んあっ!ダメぇっ!!」
ユウキは体当たりの要領でトウカを押した。手を繋いでいるのでユウキもバランスを崩す。
ドサッ、雪の上に倒されたトウカにユウキは馬乗りになる。いっしゅんマスクのようにトウカの顔を雪が覆ったが、直ぐに溶けてくれた。
トウカが目を開けると自分に馬乗りになったユウキがビクン、と体を震わせていた。口を一文字にして声を漏らさないようにしている。
(もしかして・・・?)
そういう風にしか見えなかった。どうやら飾りだと思っていたケモ耳には神経が通っていたらしい。けっこう敏感なんだな。
「ハアッ、ハアッ・・・」
体を使って大きく呼吸すると、ユウキは体を倒してトウカに密着した。あー、これ絶対な気がするんだけどなあ、微妙なのかなあ。まあでも、いやーいいもの見せてもらったなぁ。
クエストクリアがどんどん遅れていっているような気がするが、今はそんなことどうでもいい。問題はユウキが本当になったかどうかである。
(コイツが落ち着くまでじっくり考えるか・・・)
まだ体を使って呼吸しているユウキを見ながらトウカは考ることにした。