「トウカ、わしゃわしゃして~」
「へ~い」
トウカは両手で言われたとおりにする。そういえば、ユウキにはアホ毛が生えてたんだな。二本も。髪はサラサラでつやつやだ、独占できることが嬉しい。
「/////」
あ~、可愛い。服装がマッチしてどこかのお嬢様みたいだ。もし執事として雇われたら生涯働きたいと思う。
「トウカ、ぎゅ~してっ!」
「ん~」
人にして~というわりには自分からしてくる。いつもと服が違うのでふんわり良い香りがする。香水とかじゃない、何と言うか特別な匂いだ。
「トウカぁ///」
抱きしめているので、ここからはユウキの後ろ髪しか見えないが、確実にトロけた顔をしているだろう。ユウキの背中と頭を撫でながらトウカは何となくメニューを開いた。
「?」
開いてみるとメールが一通来ていた。友達が少な・・・いや、あまりメールを使わないのでちょっと新鮮だ。
内容を確認した瞬間、トウカは嫌な顔をした。
「うわ・・・、アイツからか」
「トウカ?」
一気にテンションが低くなったトウカ。ユウキは一度離れてトウカを見る。目にやる気が無かった。例えるなら夏休み前日なのに宿題を何もやってないような目だ。
「どうしたの?」
「いや、領に戻れって・・・。このタイミングでかよ」
「じゃあ明日でも良いんじゃない?もう夜だしさ」
「・・・・・」
明日行ったらダメージ食らうのは間違いないだろう。持っている剣でどつかれる。まぁでも特に用件も書いてないし、良いか。
「じゃ、明日行くにするか」
「おっけー!」
ユウキは元気に返事を返す。呼び出しは自分だけだがユウキは付いて来る気満々だ。もし、大事でも戦力として十分活躍できる。
ベッドに押し倒されて犬のようにくっ付かれる。鼻をくんくん動かしてくるので本当の犬みたいだ。
何か、面倒な事の様な・・・。そんな予感をさせるメールだが、トウカはいちゃつける今だけ忘れる事にした。
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次の日。
「トウカおはよー!!」
休日の朝八時からこのテンションのユウキは本当に凄いと思う。睡魔とか無いんだろうな、多分。
「うす・・・」
家の草原で走り回っているユウキに軽く挨拶する。
「インプ領に戻るんでしょ?」
「ああ。でもサラマンダーの上を通らないといけない。ルグルーも竜の谷も時間が掛かるよな・・・」
「そうだね~」
近寄ってきて後ろから抱きつかれる。朝が弱いトウカにこの行動はつらい、バランスが取れない。
「離れろ、今は駄目だ。眠い」
「わかった~」
意外とすんなり離れてくれた。
「っ!」
トウカは腕を伸ばして、欠伸をする。目が開くまであと二時間くらいは掛かりそうだ。流石に二時間待ってたら当の呼び出し人に殺される。
「全速力でサラマンダー領を飛んでけば一時間ちょいで着くはずだ」
「オッケー!」
ユウキは既に羽を広げて待っていた。トウカも直ぐに羽を出す。
「行くぞ!」
「オー!」
十分に助走を付けて、二人は飛んでサラマンダー領を超え目的のインプ領へ向かった。