しばらく飛んでいると、視界に沢山の山々が見えた。洞窟のような穴が開いていて、それがインプでは町や住居の役割を果たしている。
何時代だよ、と思うが中は意外と広い。でも、基本的に暗いので暗視をしないといけないのが何とも面倒くさい。
「よっ、と!」
少し進んだ首都・ドゥンケルハイトで着地する。スイルベーンとは変わらない人の多さだ。
「さ、行くぞ」
「おー!」
一応二人とも暗視魔法を使ってるが、前とは違って意外と町が明るいので正直あまり意味は無い。まあ、癖のようなもので二人ともつい使ってしまう。
とにかく、二人は呼び出し人が待つ場所へと向かった。
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「ここ?」
「ああ」
ユウキは上を見上げる。インプの町並みには似合わない城のような建物、インプ騎士団の本拠地だ。
「ボク、前からここ何の建物かわからなかったんでけど、騎士団なんだぁ!」
「そう。ってか前より立派になってるような・・・」
縦横数メートル大きい気がする、改築したな。
「入っていい?」
いつの間にかユウキはドアに手を掛けていた。
「本人じゃない人が勝手に開けたら、ヤバい気がする」
「あぅ、怖いよぉ」
ユウキはトウカの後ろに戻ってきてくっ付く。ここの騎士団の連中、頭固いからなぁ、あまり会いたくないし面倒臭い。
コンコン、と二回ノックする。ノックする回数でどういう客か、というのは無かったと思うけど・・・。
「すいませーん、ここの団長さんに呼ばれたんですけどー!開けてくださーい!」
結構適当な言い方でトウカは言った。この建物周辺は人気がないので、声が響く。恥ずかしい。
「・・・」
「・・・」
10秒くらいの沈黙が続く。気になってユウキが後ろから顔を覗かせた瞬間ーーーーーー、
バンッ!!!
「うわぁっ!」
物凄い勢いで扉が開いた。風が音を立てて通り過ぎる。ユウキは驚いてバランスを崩しそうになり慌てて手の力を強めた。
抱きついているユウキはトウカの背中に頬をくっ付ける。
「ビックリしたぁ、ビクってなっちゃったよ~」
「だいじょぶか?」
抱きついている感触が無くなったのでトウカは振り返って確認する。
「うん・・・」
すると結構驚いたのか、ユウキは両手で胸の辺りを押さえている。わしゃわしゃして撫でてあげたいが、我慢する。さっきから団長様の怒りがピリピリとここまで伝わっているようで怖い。
「手、繋ぐか?」
トウカが言うとユウキはそっと顔を上げた。目がウルっときている。驚いてそこまでなるか?
「あり、がと・・・トウカ///」
小さく呟くと、ユウキは恥ずかしそうに俯いて差し出されたトウカの手を握った。人肌と同じくらいの温もりを感じる。
「入るぞ」
ユウキの頭に手をポン、と置いて彼女の離さないよう手を握りながらトウカは中に入った。