一歩、二歩ゆっくりと中に入っていく。なんてこと無いどこにでもある室内と同じだが、この一階には人が全くいないので静かだ。ある意味怖い。
~室と扉の上に書いてある部屋がいくつもあるが、目的の部屋は二階にある。ユウキの手を握りながらトウカは目の前の階段を登った。
立派な階段を登った二階には、入り口までではないが立派な扉が一つある。団長室だ。二階はこの部屋以外何も無い。
ドアの前まで来てトウカはユウキの手を離す。
「トウカ、ノックしないの?」
「しなくても中の人は気付いてる筈だ」
そう言うとトウカは両扉に手を付ける。扉は結構立派な作りだ。表模様も騎士団の雰囲気を醸し出している。これだけ凝ってるとさぞ金も掛かっている事だろう。
ギイイイイと音を立てて、トウカはゆっくりと扉を開けていく。中に入ろうとしたトウカにユウキが近づこうとした瞬間ーーーー。
『遅い!!!』
鋭い声が聞こえてユウキは反射的に後ろに下がる。同時に殺気も感じたので念のため直剣の近くに手を置く。しかし今の勢いで埃が舞っていて視界が定まらない。
「コホッ、コホッ・・・・・・」
片手を口元に当てて咳をした後、ユウキは体に被った埃を払う。
「・・・トウカ?」
「うう・・・」
扉の前まで戻ると両手でお腹を押さえているトウカがいた。近くに警告画面が出ている。街中での攻撃だからだろう。
「今すぐと書いてあっただろう!!」
「はい、すんません・・・」
力強い女性の声にトウカは頭を下げて、ゆっくりと立ち上がる。視界もはっきりしてきたところでユウキも近くに来る。
「・・・・・フン」
愛用のダブルセイバーを片方の扉の間に掛けて女は再びトウカを見る。
インプにしては珍しい銀の髪、少し褐色色の肌。四肢と胸部だけを鎧に包みうっすらと割れた腹筋が出ている腹部を大きく露出している。細長いヘソが何ともセクシーだ。
彼女ーーーー、インプ領騎士団団長のイクサははぁとため息を吐いて、飽きれた顔をする。
「あの時間なら来ないだろうなーって、予測できたでしょ団長殿」
「だ、団長殿言うなっ!同級生なんだからイクサでいい!」
その言葉にユウキは反応してイクサに問いかける。
「えっ!?どういうこと・・・ですか?」
ユウキは一応年上のイクサに敬語を使っている。絶対タメ口で言うと思ったんだが・・・、まあゲームの中なので年齢とかあまり気にしないか。
「学校もクラスも同じなんだよ。現実では生徒会書記でALOでは騎士団のトップ、ホント凄いわぁ団長殿」
「だからっ・・・!」
ユウキに説明しながらわざと『団長殿』と言ってきたトウカにイクサは怒ろうとしたが踏みとどまる。
「おー、良く堪えました~、よしよし」
「・・・ッ///」
トウカが撫でると、イクサはそっぽを向きながらも頬を紅くしてその感触を楽しんでいた。
「む~」
「怒るなって、ユウキ」
「・・・ぷぅ」
頬を触ってあげると、ユウキは渋々許してくれた。ユウキの嫉妬はガチでヤバい気がするので今までのように構ってあげないと。
目を瞑って夢見心地になっていたイクサはハッと我に返って、頭にあるトウカの手を振り払って腕を組んだ。
「だっ、騙されないからなっ!お前にはまだ説教が・・・」
トウカは続きを言おうとしたイクサの口を片手で塞ぐ。
「長くなりそうだからいいわ。それより用件を聞きたい」
トウカはそのまま手を下に移動させて、ヘソを指先でいじる。
「んぅっ♪」
声を漏らしたイクサは目を瞑って何かに耐えるようにしている。そんな反応するならこんな格好するなよ、エロいんだから。
「・・・じゃ、お邪魔しま~す」
力が抜けたところを見計らってトウカはイクサの手を握る。片手には自然とユウキがくっ付いてきたのでそのまま、団長室に足を踏み入れた。