団長室は奥に机があって、手前に応接用のソファとテーブルがある。トウカとユウキは同じソファ、イクサは武器を戻して向かいのソファーににそれぞれ座る。
「コホン・・・」
わざとらしくイクサは口で言う。いつも怒ってるのかと思ってしまうのは気のせいだろうか。
「お前・・・いやトウを呼んだのはオレではない。領主様だ」
「リリスさんが?」
「そうだ」
用意されたコーヒーをユウキは静かに飲みながら二人の会話を聞いている。見た目、コーヒーは明らかにブラックだが、ユウキは文句一つ言わない。結構苦いやつの気がするが、意外といけるんだな。
「領主直々に送るとなると手続きが長くて時間が掛かるからな。トウと面識のあるオレに頼んできたんだ」
「領主さんからのお願いなんて、トウカ凄いねぇ~!」
カップを置いて、口を開いたユウキはそのままトウカの腕にくっ付く。トウカは適当にハイタッチで相槌を打って体から離した。顔を上げるとイクサが自分を睨んでいた。
「オレの方がトウとの付き合いは長いのに・・・」
ボソッとイクサは呟いた。明らかな嫉妬だ。顔を少ししかめている。
「・・・で、団長さん用件は?」
「最近、領内である組織が暴れてるんだ。名は『メテオーア』、ドイツ語で『隕石』という意味らしい。ヤツらはウンディーネとの国境線一体を占拠していて貿易の邪魔をしている」
「・・・は~」
うんうんと頷きながらトウカは話を聞く。聞いたことの無い組織だが山の国境線を取ったということは結構な力を持っているのだろう。大人数であることも何となく予想できる。隕石っていっぱいありそうだし。
「オレ達騎士団も討伐部隊を何回か向かわせたんだが、良い結果が出ない。メテオーアは約500人以上いる大組織で、近々領主様に対して反旗を翻そうとしているという情報もある」
「で、俺に討伐よろしくと?」
「まあ、そういうことだ。頼めるか?」
「ん~、だるいなぁ~。まぁ良いけどさ・・・」
その言葉を聞いたイクサはソファから立ち上がって、両手をテーブルに付け顔を近づけ晴れやかな笑みを浮かべる。
「やってくれるのか・・・!」
「あ~、でも面倒臭そうなんだよなぁ」
トウカが言うとイクサの表情が再び硬くなる。隣のユウキは相変わらず口元を緩めている。場が何となく和んでいるのはユウキのおかげだ。
「そりゃあ、大人数だから時間が掛かるのは仕方ないだろう。それに・・・」
「それに?」
トウカが聞くと、イクサは三本指を立てた。
「メテオーアには『ドライ・トラヴァント』という三巨頭がいる。恐ろしく強いらしい。個々の戦力がサラマンダーのユージーン将軍を軽く凌駕する力を持っているとか」
「・・・・・・本当か?」
トウカの顔が変わる。鋭い目つきでイクサを見上げる。部屋の空気が重くなり物音一つしない。
「あくまで『噂』だが、恐らく事実だろうな。その強さを持ってして組織を統制しているんだろう」
「・・・ハッ」
クスっと笑って、トウカは立ち上がる。そして、目の前のイクサに手を差し出す。
「わかった、そいつらがどれくらいの強さか確かめてやるよ」
「・・・・・!その言葉を待ってたよ、トウ」
イクサは口元を緩める。そのまま、立っている二人はガッシリと握手する。
「もちろん、ボクも行くよ。トウかより強い人がいるかもしれないし、この剣の切れ味も気になるからね・・・!」
ユウキも立ち上がって握手しているトウカの腕にくっ付く。
「よし、決まりだ。この三人で、メテオーアを討伐する」
「おう」
「オッケー!」
この三人なら、十分な戦力だろう。相手がいくら強かろうが、不安な気持ちは全く無い。
「じゃあ、領主様に報告しに行くぞ。勝手には行けないからな」
「あー、リリスさんに許可取るのか」
「トウカ、領主も知ってるって、顔広いんだね~!」
「そんな広くないって」
そのままユウキの頬を撫でる。目を瞑って気持ちよさそうにしている表情は本当に可愛い。
「チッ・・・」
顔を逸らしながらイクサは舌打ちした。鋭い目でトウカを威嚇するように見ている。ユウキが媚びてると思っているのだろうか。
「怒るなってイクサ。美人なんだから」
トウカは空いている右手でイクサの腹筋を触る。適度についていてその盛り上がりを主張している筋肉は触り心地が良い。多分自分以外の人には絶対に触らせてくれないだろう。
「あっ・・・♪」
両手を後ろで組んで唇を噛んでいるイクサが何ともエロい。
「トウカ、ボクももっと撫でて~♪」
ちょっと疎かになってた撫でが不満なのか、ユウキがもっと体を近づけてくる。
「ッ、途中で止めるなよッ・・・!」
強い口調ながらも頬を赤らめてイクサも訴えてくる。少しだけお腹を前に出してきた。こういうところがイクサは可愛い。もし今告ったら落ちるかやってみたい。
「意見まとまったのに進まねーじゃん・・・」
結局トウカは二人をしばらく撫でることになった。