「っと、ふれあいはこれくらいにして・・・」
リリスはそう言ってトウカから離れ、真ん中に移動する。グレンはまだ離れない。ああ、胸がっ・・・!
「イクサちゃんから聞いてると思うけど、メテオーアという組織を殲滅してもらうわ」
重みのある言葉だが、さっきのように圧が無いのでユウキとイクサはフッと体が楽になる。直ぐにユウキはトウカの手を取った。
「おう小っちゃいの、お前にトウカは渡さないぞ~」
「む~、トウカは渡さないもんっ!あと、小っちゃくない!!」
この中でユウキが一番背が低いが、全力で否定している。ピョンピョン小さく飛びながら。ユウキは小さいのも魅力の一つだと思うんだけどなぁ。
「威勢は良いが、既に負けてるところがあるじゃないか♪」
グレンはさらにトウカに胸を押し付ける。同時にユウキの手を握る力が強くなる。いい感触と痛い感触が同時にトウカを襲う。
「おっ、大きくなるもん!!」
「ほぉ~、どうかな~?」
二人の間で今までに無いくらい火花が散っている。場所が場所だから安心だが、普通のフィールドなら直ぐに勃発していただろう。
胸で戦いが起こるなんて、恐ろしい。
「二人とも、止めなさい」
リリスの落ち着いた声で二人の火花がパッと消える。言葉一つで行動を止められるから、領主って凄い。いや、他の領主によっては止められないかも・・・。
「う・・・」
ペコッとユウキはリリスに頭を下げる。が、トウカの手は離さない。むしろここで離されたら逆にユウキを疑ってしまう。
「へいへい・・・」
軽い口調でグレンも返事を返す。結構あっさりしている性格なので、リリスもそれ以上は言わなかった。
で、結局グレンも離れない。
・・・背後からの胸の感触も案外悪くないかも。
「それで、話の続きだけど貴方達三人で戦力としては大丈夫よね?」
「はい!!自信を持って!」
「そう・・・。信じていいのね?」
リリスは次にユウキに視線を向ける。
「・・・・・・ッ、はいッ!」
自分にくると思っていなかったユウキは数秒あたふたして、ようやく言葉を搾り出したみたいだった。
握られている手が若干震えているように感じた。もしかして、リリスさんを先生みたいに見てるのか。
「ユウキ、ちゃんだっけ?」
「は、はいっ!そうですっ!!」
「トウカ君をよろしくね。あと、イチャイチャし過ぎには注意してね」
「そっ、それはどうなるかわかりません・・・」
「・・・正直ね、気を抜いたら私がトウカ君とっちゃうからね♪」
「ま、負けません!」
・・・・・・本人の前でなんて話をしてるんだ。赤面だよ、全く。
ユウキは純粋に好きって言ってくれるし、行動の一つ一つが可愛い。合格。
リリスさんは美人だけどちょっと悪女っぽい部分があるからなぁ、何と言うか、丸呑みにしようとしてるというか・・・、そんな雰囲気が時々ある。でも合格。迷うなぁ、ってそんな話じゃないか。
「じゃあ、勝負ね♪どっちが早くトウカ君をものにできるか♪」
「ボクが勝ちますよ!」
「いや、アタシが先だし」
「オレも負けません!」
二人が新たに参戦したようだ。どうすればいいのだろう、一向に動けないし、出発できない。
今、まさに領主室で四つの火花が上がろうとしていたーーーー。