ソードアート・オンライン ブロッサムフィール   作:偽帝

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第48話~もっと技名は大切にしようか、ユウキ~

夕方になるころ、イクサがふと思い当たったような顔をして、膝から離れた。

 

 

「悪い、用事を思い出した」

 

 

「用事?」

 

 

「ああ、作文を書き終えてなかった」

 

 

「はー、大変だな」

 

 

「でもやるしかないからな、一回落ちる」

 

 

「んー」

 

 

返事を返すとイクサはログアウトしてしまった。とりあえず空になった体を岩によしかける。

 

 

「お前も起きろ、ユウキ。夜になったら来るかもしれない」

 

 

「わかったっ・・・!」

 

 

顔を避けるとユウキは足を上げて、そのまま立ち上がる。コイツ絶対運動神経良いな。リレーでアンカー任されるタイプだろうな。

 

 

「とりあえず、グロース山が中心拠点らしいから目の前をぼんやり見てれば良いだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

30分経ったがイクサはまだ戻ってこない。まあ、予想通りだ、真面目に作文を書いているのだろう、そのために今も脳をフルパワーで使っているはずだ。

 

 

もう日が落ちそうだが、まだ視界はハッキリしている。山の後ろに太陽が重なり、なんか縁起がよさそうな景色を醸し出している。

 

 

「♪♪」

 

 

鼻歌を歌いながらユウキは直剣を振り回して舞っている。三連、五連、七連撃。砂のように細かな光が現れては消えて、幻想的だ。

 

 

「どう!?」

 

 

褒めて欲しそうなドヤ顔で顔を近づけられる。目のキラキラが凄い。

 

 

「凄い凄い」

 

 

「軽いよーっ!!」

 

 

怒られた。

 

 

「ならこれはどうだっ!」

 

 

片手で合掌のポーズをして、ユウキは構えた。ふざけてるようにしか見えないが、本人はいたって真面目にやっているつもりである。

 

 

そのまま一歩前に出るとその場でジャンプする。

 

 

ヒュオオオオオッ!!

 

 

着地するまでのほんの数秒間、ユウキは空中で直剣を振り回した。正直、目で追えないレベルの速さだ。

 

 

「どうだっ!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

なんて言えばいいのだろうか。凄いを一つ増やしてみるのは・・・・駄目だな。どうしよう。

 

 

「何て技名だ?」

 

 

「え?ん~と・・・・・」

 

 

ユウキは考え込んだ。どうやら誤魔化しに成功したらしい。

 

 

「千切り!!」

 

 

「千切り?」

 

 

「そう!キャベツ切れそうだったから!!千切りできないけど・・・」

 

 

由来がヒドい。威力は意外とありそうだが、色々残念だ。今度千切りは教えてやろう。

 

 

「てっきとうだな~」

 

 

「い、良いじゃんっ!」

 

 

「まあ良いけど・・・」

 

 

他の技にもこんな適当な由来の技があるのだろうか。ちょっと気になるな。

 

 

トウカが立ち上がると、山の一部分が小さく光った。

 

 

「危ないッ!」

 

 

こちらに向かってきたそれをユウキは一瞬で気付き直剣で粉砕する。

 

 

「弓矢か?」

 

 

「うん。腕良いね~」

 

 

「固まって後数人はいるな」

 

 

一度場所がわかれば、後はそこを暗視すれば何人いるかなんて容易にわかる。トウカはアイテム欄から小さな六角形のアイテムを出した。

 

 

「ユウキ、これをあそこ目掛けて打ってくれ」

 

 

「ん、了解~」

 

 

もしかして何でもはいって言うんじゃないだろうか、この娘は。しっかりと躾けないと。

 

 

ユウキは直剣を光らせてトウカからアイテムを受け取る。そして空中に浮かせて、剣の真ん中で思いっきり打った。

 

 

「ふぁいあーっ!!!」

 

 

綺麗なフォームで打ったアイテムは綺麗な円を描いて、そのまま弓矢を飛ばした奴がいる辺りに落ちた、瞬間ーーーーー。

 

 

ボオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ!!!!!

 

 

 

爆炎が一帯を包み込み、数秒で煙が昇っていく。風に流されて煙が消えていくと現れたそこは完全に焦土と化していた。

 

 

「凄い威力だね」

 

 

「ああ。ボス以外のモンスターは即死するからな、これ」

 

 

ちょっとした裏ルートで手に入れた高威力爆弾。ちなみにまだ沢山あるぞ。

 

 

「まだ、来ないの?」

 

 

「作文苦戦中なんだろ」

 

 

二人は敵の攻撃が無かったかのように、景色を眺めていた。

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