「いざ・・・!」
落ち着いた声で、ザンダルが呟いた瞬間、イクサの視界から消えた。
「・・・・ッ!!!」
咄嗟の反射でイクサは振り返り、アスカロンを持った右手を動かすーーーー。
キィン!!
互いの武器がぶつかり音を立てる。
何種類もの鉱石を組み合わせて作ったイクサのアスカロンには一線の傷があった。
「何っ!?」
「所詮はその程度、ということだ。次は破壊してやる」
そのままイクサの前で踏みとどまり、ザンダルは刀を構える。刃を上に向け、そこに静かに指を置いた。
「
イクサは直感で危険と判断した。しかし、体を動かして防御に転じようとした時にはーーーーー。
右の鎖骨辺りに穴が開いていた。
「あっ、ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
左手で押さえる。ただただ必死に。
一体なにが起こった?
イクサは何とか顔を上げる。ザンダルは構えのポーズを取ったままだ。
(そうか、刀の幻影がッ・・・!)
歯を食いしばる。右手に持っていたアスカロンはいつの間にか地面に横たわっていた。
「・・・大分ずれたな、久しぶりだとこうなるとは」
ザンダルは刀を持っている手を下ろして、ゆっくりとイクサに近づく。
「グッ!!あああああっ!!!」
押さえていた手をイクサはゆっくりと離す。赤いエフェクトで埋められているが、明らかに一部分が無い。
そのまま何とか左手でアスカロンを手に持つ。
「もう止めろ。お前の実力不足がこの結果を生んだんだ」
「!!!!!」
目が見開く。否定できなかった。
事実、トウカとユウキの二人に自分は劣っている。
だから、この男にも勝てないのか・・・。
悔しい。
この依頼を頼んだ自分が、お荷物になるのか・・・?
そんなのは。それだけは・・・・・、
「嫌だ」
杖代わりにアスカロンを立てて、ゆっくりと体を起こす。HPゲージなんて見なくても残り少ないことは目に見えている。
「あくまで最後まで戦うというのか。その心意気だけは評価してやる」
ザンダルは刀でまた同じ構えを作る。
こんな近くだ、命中すれば即死ーーーー。
キッ、と覚悟を決めて顔を上げる。
(一瞬、ほんの一瞬・・・)
技が発動する瞬間を、イクサは静かに待つ。
「・・・・死ね」
ザンダルの言葉から数秒経った、その時ーーー。
(今だ!!)
力を振り絞って、イクサはアスカロンを持つ手に力を入れる。あの技は瞬きと同じくらいの速さだ、それを潰せるとしたらこのタイミングしかない!!
イクサは素早く両手で持って、ザンダルの腹部に突き刺した。
「何ッ!?」
「終わりだ。ペトラファイド」
「ッ!それは・・・!」
魔法の効果を知っているザンダルはイクサから離れようとした。が、もう既に魔法は発動していた。
ザンダルと接触しているアスカロンの先から、ゆっくりと彼の体が固まっていく。
そう、石化魔法だ。
あくまで一時凌ぎだが、そのころにはもう騎士団がきて取り押さえられているだろう。
「そこでゆっくりしてな、侍さん」
「グッ!!」
ザンダルは必死にもがいているが、意味も無くゆっくりと石化が登ってくる。解除を知らない彼は石化を解くことはできない。
「・・・危なかっ、た」
ザンダルの体が完全に石化したのを確認して、イクサはドサッとその場に倒れた。