ソードアート・オンライン ブロッサムフィール   作:偽帝

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第53話~本気で相手するのに値しないって言ってるんだ~

「うう・・・」

 

 

イクサは指だけ動かして、アイテムからポーションを出して飲んだ。

 

 

とりあえず、体を起こす。

 

 

「・・・・・」

 

 

太股の上に置いたアスカロンを見る。自分はまだ、この武器を完全に使いこなせていない。改めて努力が必要だと心から感じた。

 

 

「もっと強くならないと・・・!」

 

 

 

 

---------

 

 

「♪♪~」

 

 

ビュンビュン直剣を振り回しながらユウキは通路を進む。どうやら隣のイクサの部屋よりも奥にある作りらしい。

 

 

「お!」

 

 

明かりの点いている部屋に出た。よく見ると王室にあるような椅子に誰か座っている。

 

 

トウカと同じくらいの年齢の男で、黄色の髪に黒の角が耳の上辺りから生えている。

 

 

「勝負だァ!!!」

 

 

ユウキは直剣を男に向ける。響く声を聞いて、男はピクっと反応してゆっくりと目を開けた。

 

 

「あァ?誰だお前?」

 

 

コキっと右に首を鳴らして、男は椅子から立ち上がる。黒地に金の線が入った服が揺れる。

 

 

「ボ、ボクはユウキ!お前を倒しに来たー!!」

 

 

「知らねぇなァ、それにお前そんなヒョロくて俺を倒すって・・・」

 

 

ビュッ!

 

 

距離のあるユウキのところまで風が来るくらいの速さで、男は剣を振った。足元の地面が抉れる。

 

 

「俺はリク。ドライ・トラヴァントの1人だ。よろしくな貧乳」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

リクの最後の言葉にユウキは怒りが込み上げる。

 

 

それは火山の噴火と例える比ではない。

 

 

「その胸当て、隠すためだろ?バレバレだってn・・・」

 

 

 

 

 

「あったまきたあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

ユウキは思いっきり咆哮する。空気がピリピリして、フィールドが揺れる。リクは耳を塞ぐが全く。意味がない。丸聞こえだ。

 

 

「絶対倒すっ!!!!!」

 

 

フー、フー!!と歯を見せながらユウキは威嚇している。こうなると彼女を止められる人はいるのだろうか。

 

 

「おー、怖い怖い」

 

 

耳から手を離してリクはそのまま両手で剣を握る。次の瞬間、ユウキの目の前まで移動していた。

 

 

キンッ!!

 

 

自分に向けて振りかざされた剣を一瞬で払う。そして、音速の二連撃----。

 

 

「フン、甘ぇよ」

 

 

リクはそれを簡単にかわし、今度は横から剣を振るう。勢いに乗って加速がついている。

 

 

「ハッ!」

 

 

ユウキはそれを受け止めた。そのまま流そうとしたが、刀共々リクが消える。

 

 

「!?」

 

 

反応する前にリクは反対側にいて、さっきのユウキよりも速い速度で剣を振り下ろした。ユウキの左腕に赤い傷跡が作られる。

 

 

すぐに直剣を向けたが、案の定逃げられてしまった。リクは距離のある場所に着地してユウキを見る。

 

 

「・・・・・・」

 

 

ダメージを受けたことを全く気に止めず、人形のようにユウキは俯いた。

 

 

「どうした?怖くなったかァ?」

 

 

リクの言葉にも反応せず、ただ下を向いている。そのまま、数秒間の沈黙が流れる。

 

 

今のユウキは考えられないくらい不気味な雰囲気を漂わせている。

 

 

「今すっごく怒ってるけど、本気で戦うの、止めた」

 

 

力のない、魂の抜けたような声。

 

 

「あァ?」

 

 

「お前のその戦い方、嫌い」

 

 

「何言ってんだよ、お前」

 

 

「本気で戦うに値しない、って言ってるんだ。トウカ以上の人がいるかもしれないと思ったのに、期待はずれだよ・・・」

 

 

「・・・何言ってるかは知らねぇが・・・」

 

 

チッ、と舌打ちしてリクは剣を自分のユウキに向ける。そして直ぐに剣がマグマのように赤く光りだす。

 

 

「これで終わりだぜ」

 

 

「どうかな・・・」

 

 

「?、どういうことだよ」

 

 

ユウキはゆっくりと顔を上げる。直剣を持った手はだらん、力が入っておらず下がっている。

 

 

 

「お前ヲ、一撃で倒ス・・・」

 

 

虚ろで、どこか恐怖感を植えつける目でユウキは言った。

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