「あ!トウカ~♪」
三つの穴の前でイクサと待っていたユウキはトウカの姿を見て、手を振る。
しかし、後ろに知らない女の子がいることがわかり、目を細めた。
「誰?」
「あ~、敵の1人」
トウカがそう言うとユウキは直剣を向けてきた。イクサはまだ回復が終わってないみたいだったが睨み付けられる。
「敵なら、倒していいよね?」
「ちょ、ちょっと待て!話を聞けって!」
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「・・・わかった、許す」
浮気じゃないと、妻にわかってもらえた夫かよ。
ついついほっと胸を撫で下ろす。
・・・とりあえずユウキにはわかってもらえたらしい。
「敵だが敵じゃない・・・?」
イクサが呟く。
「そういうことになるな、ややこしいけど。イクサの回復が終わったら領主館に戻るぞ」
するとユウキが何か思い出したように人差し指を立てる。
「まだ四百人くらいいるんじゃなかった?」
「そういえば、ユウキは百人くらいしか倒してなかったな・・・。でも大丈夫だ」
ユウキの頭に手を置いて、最初来た入り口の方を指差す。
ガシャガシャガシャとイクサのよりも重たそうな沢山の鎧の音がこちらに近づいてくる。
騎士団だ。
ざっと二十人くらいいて、その内の1人が、イクサに近づく。
「団長殿、お怪我は?」
「気にするな。それより、お前も行って来い」
「はっ!」
団長イクサに一礼して、鎧の男は穴に向かって行った。
「残党はもう捕まってるだろ」
「・・・だね」
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領主館、領主室。
「本来は駄目だけど、トウカ君に頼まれたから今回は特別よ。表向きには処罰されたってことにしておくわ、皆顔を知らないだろうから」
「ありがとうございます」
カリンはリリスに深く頭を下げる。良かった、もしかしたら断られるかもしれないと思ったけど。
ちなみに罰を軽くする代わりに、今度一緒にショッピングをして、と頼まれた。まあ、それぐらいなら別にいいか。
ゆっくりと顔を上げるとカリンは一歩後ろに下がった。礼儀正しいなぁ、同年代の自分が何か恥ずかしいわ。
ちょっと羨ましく左隣にいるカリンを見る。
「トウカッ!」
右腕に絡んでいるユウキの力が強くなる。ボクがいるのに!と目で訴えてくる、可愛いなあ。
「帰るまでちょっと待て」
「う~・・・わかったっ」
頬を膨らませて見つめてくる。何か恥ずかしくなってきた。顔が熱い。
「ねぇ」
「!!」
耳に吐息を掛けるようにカリンの声が聞こえて、思わずビクッと驚く。
「今度、私の家に来て。勿論、1人で♪」
「え!?でも、場所知らないし・・・」
「今メール送ったから。よろしくね♪」
いい終わりにフウッと息を吹きかけられる。
「それでは、失礼します」
何事も無かったかのように真顔に戻り、カリンは領主室から出て行った。
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「本当にメールが・・・。どうやって打ったんだ?」
「どうしたの、トウカ?」
「ん、いや!なんでもない!!」