「じゃあな、トウ」
領主館を出たところで、イクサにそう言われる。
「また通常業務か?」
「ああ。それにもっと強くならないと・・・!」
「そっか、頑張れよ」
「ああ!」
互いに拳を合わせる。
騎士団舎の方に歩きかけた時、イクサが振り返った。
「ユウキ!いつか戦おうな!」
「オッケー!!」
イクサの言葉にユウキは手を振って答えた。仲直りしていたのか、それとも最初から仲なんて悪くなかったのか・・・。
「さ、俺らも帰るか」
「うん!」
二人は羽を出して、家に向かって加速した。
--------
「ぷはぁ~♪」
さっきからユウキはソファーにダイブしたままのんびりとごろごろしている。
もう夜の十時過ぎ。
早くログアウトして、本格的に寝たいが絶対許してくれないだろう。
「あ~」
とりあえず、ユウキと同じソファーの端に座る。ついさっきまで自分が山に爆弾投げてたなんて考えられない。
「トウカ、ぎゅー♪」
隣からくっ付かれ、頬擦りがきた。何か久しぶりな気がする。
「ぎ、ぎゅー・・・」
ユウキを両手で受け止めるように抱きしめてみる。
「あぅ、トウカ///」
頬を紅くしながら、じっと目が合う。ぎこちなく口元を緩めているユウキもまた可愛い。
「ごめんな、あんまり構ってやれなくて」
「ううん、いいよ////」
ユウキはこつん、と額を当てる。
「もうちょっとしたら、今日はもう落ちるわ」
「わかった。また明日ね///」
完全に恋人同士の会話だ。
とりあえず、このままずっと撫でることにしよう。
《メテオーア討伐》clear!
---------
シルフ領・古森。
トウカとユウキがログアウトした後、一瞬ここで何かが光った。
奇跡的に誰にも気づかれなかったため、静かな沈黙が続いたままだ。
「ここは・・・?」
光から現れたであろう華奢な少女はゆっくりと立って周りを確認する、が暗くて何も見えない。
「ハッ!」
持っている剣を力強く振り下ろす。剣は地面にめり込み、衝撃で周りの木が次々と倒れる。
少女の剣を確かに振った。両手でグッ、と握っている、が他人からしてみれば剣なんて見えない。
何を持っているのか?と思うだろう。
「家・・・」
倒した木の先に、民家らしきものが少女には見えた。
もう一回目を細めて見てみたが、家で間違いない。
状況が全くわからないので、とりあえずここがどこかをあの民家で聞いてみよう、と少女は思った。
少女の目指す民家・・・トウカの家は今誰もいない。
灯りが点いたままなのは仕様なので、人がいると思われても仕方が無い。
「!」
民家に行くために一歩前に出た時、横向きに強風が吹いた。
少女はシニヨンの黄色い髪を片手で押さえる。あまりの強さに目を細めてしまう。
青いドレスに装飾された銀の鎧も風にフワリフワリ、と揺れる。
彼女の名は・・・・・・・・・・、
セイバー。