「風が気持ちいいですね・・・」
「そうだな」
適当に返事を返して、セイバーを見る。片手で髪を押さえながら風を感じている彼女の姿が、なんか絵になりそうなくらい様になっていた。
「どうしたのですか、トウカ?」
「いや、なんでもないよ」
話を終わらせようとしたが、セイバーは顔を近づけてくる。
「気になります、トウカ。言ってください」
「その・・・、セイバーさっき髪押さえてたろ?それが何か、綺麗だなって・・・、さ」
「っ!」
セイバーは目を見開いた後、少し下を向いて頬を紅くした。
「そんな、綺麗だなんて・・・恥ずかしいです///」
「でも事実だから。嫌だった?」
「い、いえ!そんなことはないです!!」
背筋をしっかり伸ばして、セイバーは言った。
「そっか、良かった」
「・・・////」
まだ恥ずかしがっているセイバーを見る。可愛いなぁ。
「そういえばさ・・・」
トウカはちょっと確認したいことがあった。アイテムの中からとあるものを出す。
「おおっ!!」
セイバーの目がキラキラと輝く。星が五個くらいある、凄い。
「これは前に作ったチョコシフォンケーキだ。食べる?」
「良いんですかっ!?」
口ではそう言っているが、ゆっくりと手がこっちに伸びている。
「ああ」
セイバーはシフォンの紙が付いている部分を持つと、小さな口を開けて頬張る。
「ん・・・美味しい!凄く美味しいです、トウカ!」
「ありがとな」
・・・生身の人間が、仮想世界の食べ物を食している。何故食べれるのだろう。すり抜けるとか思ってたんだけどな。
「トウカ!」
「まだ食べるとか?」
「・・・はい。我儘ですが良いですか?」
「いっぱい作ったから、好きなだけ食べな」
するとパアアと光が差したようにセイバーの表情がさらに明るくなる。
「では、いただきます!!」
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「ごちそうさまでした♪こっちに来てから何にも食べていなかったので・・・」
「そっか・・・」
アイテムの中にはもう作った物は何もない。何品食べたんだろう。少なくとも半日以上食べてない人が食べる量ではなかった。
「トウカ!また作ってください!」
「ああ、喜んで」
「できればもっと味付けのバリエーションを増やして欲しいです」
「え!?」
レシピ通りに作るのでは駄目らしい。
「とても美味しかったんですが、私はもっと濃い味の方が良いです!」
「は、はあ・・・」
味に厳しい。本当に暇な時しか作ってなかったから、今度はもっと作ることになりそうだな。
「では、行きましょう!」
さっきよりも元気になったセイバーは自信満々で歩き出した。