「トウカっ・・・」
返事を待っているセイバーが少しずつ顔を近づけてくる。ますますドキドキして、言いにくい。
「倒したら、な?ぎゅ~ってしてあげる」
「約束ですよっ!」
明るい顔だ。物凄く希望に満ち溢れている。
「じゃあ、とっとと行きますか」
「はい!!」
-----------
とりあえず松明の付いている道を選んで、遺跡の中を進んでいる。モンスターが出ることも無ければ、トラップも全く無い。
「お!」
曲がり角の先に部屋があった。が、明かりはついていない。
「怪しいな」
「怪しすぎます・・・」
「でも、入るしかないしな」
「そうですね」
また戻って他の道に行くのは時間が掛かるので、とりあえず中に入ることにした。
ボッ!と中に入った瞬間、部屋の灯りが着く。そして、ゆっくりと部屋全体に無数の扉が現れた。
左右の壁、天井、そして床。
「どれが正解なのでしょうか・・・」
「大分あるな、何かまだ増えてるし」
「こうなったら・・・」
セイバーは一番近くにある扉の前に移動した。
「一つずつ確かめるしかっ!ありませんっ!!」
バタン!と勢い良く扉が閉まる。
しかし、数秒後、天井の扉からセイバーが落ちてきた。
「くっ・・・!これは違うのか、なら次はっ!!」
今度は違う壁の扉を開けてその中に入る。
「・・・・・・・・」
さっきと違って、直ぐにセイバーが出てこない。
「お、当たりか」
セイバーが入っていった扉の前に行き、帰ってくるのを待つ。するとタイミングよく扉が開いた。ワープは無かったらしい。
「・・・恐ろしい物を見てしまいました」
セイバーは絶望した虚ろな目でそう言うと、ゆっくりと歩きながら他の扉に向かって行った。
え、そこの扉には一体何が・・・。
扉の中身が気になったので、ドアノブに手を掛けてあけようとしたその時ーーーーー。
「見てはいけません」
耳元で呟かれる。さっきとは全く違い魂が抜けているような声。思わずブルッ震える。
「どうしても?」
「はい。これを開けたらトウカが・・・・・」
「・・・・・・」
物凄く気になる。
が、今のセイバーの顔はヤバい。とにかくヤバい、というか怖い。
「わかった・・・」
とりあえず、手を離した。特に扉の奥からは何も感じないけど、何があるのだろうか。
「それでは、他のところに行って来ます・・・・」
----------
30分後。
「ハアハア・・・・・。まだ見つけられないなんて」
流石のセイバーも息が上がっている。何個あるんだよ扉。増えすぎだって。もしかして正解無いパターンとかかな。
目を瞑って一つ一つの扉を確認していく。
「何をしてるんですか、トウカ!」
セイバーに怪しいことしてると思われた。でも丁度扉の正解もわかった。
「セイバー」
「何ですか!」
何か怒ってる?
「実は・・・」
「???」
「ここの扉全部幻術だった」
「なん、ですと・・・・・!!」
セイバーは床に崩れ去る。ガクッとしている。今までの努力が全て水の泡になったのだからだろう。
「私の今までの頑張りは、全て・・・無駄だったと・・・!」
「気にするなって、セイバー」
しゃがんで言うと、セイバーはゆっくりと顔を上げてくれた。
「セイバーの頑張りがあってこそだよ。ありがとね」
やさしく頭を撫でる。サラッサラの綺麗な髪だ。これはユウキたちといい勝負になりそう。
「トウカ・・・///」
少し頬を紅くして、セイバーはそのまま撫でられる感触を楽しんでいた。