「トウカ!」
目の前のユウキは恥ずかしそうな顔をしている。中々目を合わせてくれない。
「あっ、あのねっ」
そう言うと顔を上げてじっとこちらを見る。
「これっ!」
バッ!と何かを向けられた。
「ん・・・?」
よく見てみると、頑張ってラッピングしたような小さな箱だった。
「きょう!バレンタインだから!チョコ、作ったんだっ!」
「おお、ありがとな。開けていいの、かな?」
「うん!」
ソファに座ってゆっくりと紐を解く。箱を開けると不格好ながらも愛情が感じられるチョコがあった。
「料理したこと無いから大変だったんだ・・・、変な形でしょ」
「でも、俺のために作ってくれたんだろ?」
「うんっ!!トウカはボクの大事な人だからっ!」
「ありがとな~、ユウキ~」
片手でユウキの頭を撫でながら、チョコを持って一口。
「・・・・・うん、あまい」
「ホント!?美味しい!」
「美味しい」
普通のチョコ、なんだけど。凄くユウキの愛情が伝わってくる、不思議なチョコだ。
「ッ!!!!!????」
食べ進めていると何かやわいものを噛んだ。シャクシャクする、何か生臭いような・・・、凄い嫌な感じがするなぁ。
あ、わかった。このチョコマグロ入ってる。
「チョコにマグロとか入れたら美味しいかな~って思って入れてみたんだけど、どう?」
「・・・・・・・」
あ~・・・美味しいチョコの部分が口の中で次々にマグロと融合していく。正直、吐き出したい。致命的でしょ。普通はチョコに魚類入れないでしょ、流石に。
でも、せっかくユウキが作ってくれたんだ。飲み込まないとっ・・・・・。
ゴクン、と飲み込む。危ない危ない。あと数秒でリバースしそうだった。
「美味しかったよ、でも俺はチョコにマグロ入れんのは好きじゃないなぁ」
「あぅ、そっか・・・次は気をつけるね」
他の魚類が入る可能性があるなぁ。全力で阻止しないと死ぬ。
「うっ・・・、ちょっと水飲んでくる」
マグロチョコ食べたままログアウトするのも気持ち悪い。
「お返しはトウカをちょうだい!」
「やだよ」
ゆっくりと水を飲む。あーマグロ消えねぇ、手ごわい。
「何か他のにするよ」
「おっけー、楽しみに待ってるねっ!」
「抱きつくなっ」
「良いじゃんっ、いつものことだしッ♪」
「飽きないか?」
「飽きないよっ、んん~トウカぁ♪」
来ました頬擦り。すかさず撫でないと。
「♪♪」
「何か眠くなってきた」
「んぅ、もっと撫で撫でして~」
「どうしよっかな~」
「お願い~、トウカぁ」
「よしよし」
「っ♪、トウカ好きぃ~♪」
チョコの味はともかく、幸せなバレンタインデーでした。