ソードアート・オンライン ブロッサムフィール   作:偽帝

77 / 87
第77話~シノンとバトルです~

「ここで良い?」

 

 

「・・・ああ」

 

 

スイルベーンから自分の家とは逆の方向・・・・・、蝶の谷近くの草原に来た。音を立てて風が吹いていて、髪や服をふわふわと揺らしていく。

 

 

「攻撃できなくなった距離まで詰められたら負けね。いちいちデュエル決めるの面倒だし。」

 

 

シノンはそう言うと、ロングボウをとり出した。大きくて、立派な形をしている。使い込まれてる感は余り無いが、シノンが愛用している感じは何となく伝わってくる。

 

 

「へえ、弓・・・」

 

 

弓を使うプレイヤー自体もしかして、初めて見たかもしれない。扱いが難しいといわれてるが、彼女なら簡単に使ってそうだ。意外と似合ってる。

 

 

「そう。トウカ、準備はいい?」

 

 

と言ってもう弓をこちらに構えている。早いって。

 

 

「いつでも・・・」

 

 

足にグッ、と力を入れる。最初に接近するのは駄目だな、確実に矢が来る。

 

 

「どうぞッ!!」

 

 

言い終えた瞬間、早速矢が飛んできた。予想通り。

 

 

(速っ!!)

 

 

直ぐにかわして、体勢を立て直す前に距離を取る。想像していたよりもずっと矢の速度が速い。

 

 

「ッ、遅かった」

 

 

シノンは小さく舌打ちして、もう一度弓を構える。

 

 

「普通の矢の速さじゃないって・・・」

 

 

とりあえず瞬間的に移動した山の上で、座ってシノンを見る。とりあえずは一段落・・・できるかもしれない。可能性は少ないけど。

 

 

でもシノンの種族はケットシー、視力がいいから見つかるのは時間の問題だ。

 

 

「・・・見つけた」

 

 

早いって!

 

 

「うっそっ!?」

 

 

シノンの口元がそういう風に見えた時には、もうこちらに矢が近づいていた。

 

 

グシャッ

 

 

タイミングを計って矢を握りつぶす。あ~、少しだけHPが減った。痛い。それよりも、200メートル以上離れてるのにここまで正確に飛ばしてくるとは。

 

 

「システムより上ってか・・・!」

 

 

ゲームの限界を超えた実力・・・・・・・・・良いね、面白い。

 

 

(刀を使う必要はとりあえず無さそうだな・・・)

 

 

こういう時は全力を持って迎えないといけないんだろうけど、この刀は実質二軍だしな。本当の方は使いたくないし。

 

 

「まあ、魔法だけで何とかっ」

 

 

シノンに向けて手を伸ばす。

 

 

桜御(おうぎょ)

 

 

瞬間、シノンの周囲に三角形、さらに逆三角形・・・六芒星が浮かび上がる。

 

 

「させないっ!!」

 

 

シノンの放った弓が六芒星の頂を貫通し、ガラスの砕ける音と共に魔方陣が発動する前に解ける。うわ、地味にショック。

 

 

「マジか・・・」

 

 

魔方陣を弓矢で阻止するなんて・・・、でももう次の仕込みはしてあるのだ。

 

 

天花(てんか)っ!!」

 

 

今度は雪を纏った小さな沢山の花がシノンを覆う、が・・・・・。

 

 

(また、駄目かな・・・・・)

 

 

そう確信したと同時に、案の定花を壊してシノンが現れた。よく周りを見てみると一つ一つの花に矢が刺さっている。

 

 

「どうやって、あんなに・・・」

 

 

1秒間で何本矢を射ているのか。しかも数ミリの狂いも無く、全て花の真ん中を。でも、全部射てくれたおかげで、もうシノンの弓筒には一本も無い。

 

 

(まぁ、時間は稼げたかな・・・)

 

 

後は戻って、力の無い攻撃をすれば良いか、と思いながら早速移動しようとした時、直ぐに足を止める。

 

 

(何でまだ構えている・・・?)

 

 

離れているが、シノンは矢のようなものを持ってない。なのにどうして・・・・・。

 

 

「!」

 

 

一瞬、シノンの手の近くで緑色の魔方陣が見えた。そうか、魔法でできた矢、か!

 

 

「たいしたもんだな・・・」

 

 

ゆっくりと透明な弓の姿が露になる。その発想は無かった、凄い。

 

 

風の矢(フレーチャ・ド・ヴェント)

 

 

先ほどとは比べ物にならないくらいの速さで、風の矢が向かってくる。

 

 

・・・・・・・・ッ!」

 

 

ドオンッ!!!!

 

 

命中した風の矢が、山の岩を砕き煙が舞う。下から見上げるシノンからも、どうなっているのか分からない。

 

 

「やりすぎちゃったかな・・・・」

 

 

ロングボウを下ろして、シノンはトウカのいた場所を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちだよ」

 

 

「ッ!!」

 

 

本能的にシノンは後ろを振り返り弓を構えた、が・・・・、既にシノンの頬には一線の傷が付けられていた。

 

 

「・・・・・私の負け、ギブアップ」

 

 

シノンは両手を小さく上に上げる。

 

 

「さっきのは危なかったよ~」

 

 

「絶対当てた、と思ったんだけどなぁ。どうやって避けたの?」

 

 

「ちょっと軌道をずらしただけ。これ以上は言えないけど」

 

 

「ふぅ~ん、ってその眼・・・」

 

 

「??」

 

 

シノンはゆっくりとトウカの頬に手を付ける。ひんやり冷たい。

 

 

「Ⅳ?」

 

 

「!!」

 

 

素早くシノンの手を振り解く。そして、片手で見えないように左目を隠す。

 

 

(どうしてこれが出ている・・・・・)

 

 

「それ、何かの魔法?瞳術とか・・・」

 

 

「え・・・・・」

 

 

言葉を濁す。この眼に関してはどうしても言えない。言えたとしても今は・・・・・。

 

 

「ま、言いたくないなら良いけど」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

(戻ったか・・・)

 

 

何回か瞬きする。多分元に戻ってるはずだ、長く続きはしないはず。

 

 

「と、とりあえず俺の勝ちだ」

 

 

「・・・ええ、特別に何でも言うこと一つ聞いてあげる」

 

 

「良いのか?」

 

 

「うん。特別っ、何かトウカのこと気に入っちゃったし」

 

 

「そ、そうか」

 

 

気に入ってくれたのならありがたい。何でも一つ、というならやりたいことは唯一つ・・・・・。

 

 

「じゃあ・・・・・」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。