「ここ?」
「ああ、ここ」
シノンは家を見上げる。
「意外と立派ね。まぁボロそうな予想はしてなかったけど」
「維持費でうん十万ユルド使うんだぞ、この家」
「へぇ。スイルベーンから近いから?」
「それもあるし、俺種族違うからそこでも金取られるんだ」
「大変ね」
「ああ。でも資金はあるから問題ないさ」
「そうなの?クエストとか?」
「ん、まあ・・・。前にコツコツ溜めたのとうちの領主、知り合いだからそこからの収入とでさ」
「ねぇ、それってどれくらい?」
「え?口では言えない額だよ?」
「じゃあこっそり教えて」
そう言われたので、シノンに耳打ちする。
「ッ!?」
一瞬シノンの両目が$に変わった!ヤバイ、お金の力って凄いな!
「それ、ほんと?」
「もちろん。うちの領主さん毎月結構な額、振り込んでくるから」
「・・・・・金の亡者ね。今度武器買う時呼ぶから」
「え」
シノンは結構ガチで高そうなもの頼んできそうだなぁ、怖いなぁ。
「っと、話はこれくらいにして家に入りましょうか」
「ん~」
返事を聞いて、玄関のドアを開けようとして一瞬動きを止める。
この感じは・・・・・・・・。
ユウキがいるな。
扉の向こう側に確実にいる。
「ちょ、シノン後ろ下がってた方が良いかもしれない」
「え、何で?」
「反動で俺が後ろに倒れるかもしれないからさ」
「???」
シノンは何を言っているのか理解できていないようだ。ま、そうだろうな。普通の人なら誰もいない家って思うよね。
でも俺にはわかる。今確実にユウキが玄関で待ち伏せしていることを。
扉越しからでもこんなに感じ取れる。ユウキは俺が開けた瞬間抱きつきダイブしようとしている。
(あ、でもいなかったら恥ずかしいな・・・)
念のため暗視しよっと。
静かに魔法を使って、扉をよく見る。少しずつ扉が透けていき、予想通りユウキの姿が見える。
「トウカっ!」
「!!」
暗視を感じ取られた!恐るべし絶剣!
元気な声と共に、勢い良く扉が開き両手を伸ばした笑顔のユウキが現れる。
「おかえりぃーっ!!」
「ぐっ!」
ぎゅっと抱きしめられて、バランスを失い床に倒れる。
「寂しかったよぉ~、トウカぁ」
「ちょ、ここですりすりするなっ!」
と言ってもユウキが止めてくれるわけもなく・・・。
「んん~♪」
「ちょ、人呼んでるからストップ!」
「人?」
ユウキは近くにある靴を発見して、見上げる。
「わぁ!猫耳!君誰?」
「私は・・・・・・・・・」
数秒間口を開けたまま何かを考えた後、口元を緩ませてシノンは言った。
「トウカの彼女♪」