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とりあえず一回落ち着いて、トウカは静かに息を吐く。
「今まではどうやってたんだ?」
結論を出す前にトウカは聞いてみた。
ユウキは腕を組んで少し上を向いた。
「えーとね、まめにクエストをやってたからそのユルドでホテルを点々としていたんだけど、もう底を突きはじめて・・・」
(今はまじめにクエストやっていないのか・・・。雇ってくれる所もありそうだが)
ユウキは人差し指を自分の頬に当てて話を続ける。
「それで!デュエルは泊めてくれる人を探す目的も兼ねてやってたんだ!そしたら君が来て、この人だ!って思ったんだよ!!」
ユウキはトウカを指差すと歯を見せて笑う。
トウカは口を開いて言った。
「お前今泊めてくれる人って言ったよな?なんで住もうとしてるんだよ」
「それは・・・」
ユウキは顔を下げて口を小さく開けて呟いた。
「トウカやさしそうだったから・・・」
頬を少し赤くして、チラチラとこちらの様子を伺うようにトウカを見る。
「そっか・・・」
(あー、また断れない方にもってかれたな)
ユウキの行動一つ一つが可愛いのでトウカは口を濁す。
はあ、と息を吐くとトウカは言った。
ここで断る人もいないだろう。
むしろいるのか聞いてみたい。
「わかった、良いよ。ただし暴れるなよ?」
「良いの?やったぁっ!」
ユウキは両手に上に上げてグッとガッツポーズを作るとトウカに抱きつく。
「うわっ!?」
両足でバランスをとれず、ユウキが抱きついたままトウカはベッドに倒れる。
何とかしてユウキを離そうとするが全く取れない。
力を入れているが、ビクともしなかった。
「筋力パラメータには自身あるんだ~♪」
「まじか・・・」
小さく言うとトウカは手を離して、体の力を抜いた。
(こうして放置しておけばその内離れてくれるだろう)
自分の胸に顔を埋めている機嫌の良いユウキを見た後、トウカは寝たフリをする。
多分数分で離れてくれる、そんな期待を持って。
二時間後。
「流石に離れろよ!」
我慢の限界に達したトウカは無理矢理体を起こした。
まさか二時間もくっついているとは思わなかった。
二時間も動かず同じ体勢を維持してると体が固まってきそうな感覚になる。
「はは、ごめん。寝るとこだった・・・」
そう言うとユウキはトウカから降りる。
小さく頭を下げてユウキはメニューを開いて時間を確認した。
「もうこんな時間・・・」
「くっついてたからだろ」
「そうだね・・・!」
互いに見合って、笑みを浮かべる。
(トウカに会えて、良かったっ・・・♪)
ニッと笑顔を作ってユウキは言った。
「じゃあログアウトするね。明日も大丈夫?」
「ああ」
「よろしくっ!」
小さく拳を合わせると、ユウキはメニューを開いてログアウトボタンを押した。
足元から少しずつ光だしてログアウトの準備が始まる。
トウカはその様子をぼんやりと見る。
膝元まで光が登ってきた時にユウキが「あ!」と口を開いた。
気づいたトウカも口を開く。
「どうしたーーー」
トウカが言い終えると同時に頬に唇の感触があった。
ゆっくりと顔を動かすと肩に両手をチョンと置いていたユウキがいた。
視線が合うとまた笑顔になってトウカの肩に顔を預ける。
「忘れ物、だよっ♪」
そう言うと、体が光に包まれてゆっくりとユウキの体は消えていった。
「・・・」
1人になった自分の家でトウカは頬を押さえながら少しだけ顔を赤くした。
次の日、
ベッドでいつものように横になっている。
「トウカーッ!」
ユウキの声で体を起こそうとしたが、ユウキは自分の真上から現れた。
「グッ!」
お腹に直撃してトウカは目を見開く。
もう少し上からだったら多分ダメージになっていただろう。
勢いが凄かった。
「別の場所から来いよ・・・」
トウカはゆっくりと動いてユウキを避ける。
ユウキは両手を足の間に置きながら苦笑いしている。
「ごめん・・・。それより!クエスト取ってきたんだ!」
ユウキはそのままベッドの上でメニューをいじり画面を出す。
「これこれ!」
ユウキはトウカの衣服を掴んで画面の近くまで顔を寄せる。
よしかかる体勢でトウカは視線を動かし画面を見る。
<{上級者向け}ヤマタノオロチ討伐>
「これ、誰もクリアできてないやつだよな」
「うん!だからボクたちならいけるかなって!」
自身下にユウキはトウカを見ながら言った。
超難関クエストと、前に聞いたことがあったが多分大丈夫だろう。
自分でもこの自身がどこからくるのかわからないがとにかく負ける気はしない。
「そうだな」
返事をするとユウキは腰に携えている直剣を握り締める。
「じゃ、行こうか・・・!」
《quest1:ヤマタノオロチ討伐》