シノンの言葉で、場が凍りついたように静かになる。
「・・・・え?」
ユウキはそっと、首をかしげてシノンを見ている。
「ちょ、シノンさんどういうこと?」
「い・じ・っ・て・る・の」
口パクで、シノンはそう教えてくれた。なるほど、確かにユウキはいじりがいあるけどこのままじゃ俺の命の危険が・・・。
「ねぇ、シノンさん。ちょっとだけ待ってて?」
笑ってない笑顔でシノンにそう言ったユウキ。よし、今のうちに脱出しよう。
横から逃げようとした時、ドン!と両手でユウキに阻まれる。一瞬ビクっと驚いたが、直ぐにユウキを見る。
「~♪」
「ハハハ・・・」
に~っと笑顔のユウキ。その顔がどんどん近づいてくる。目の前まで来て、その顔が耳の近くで止まった。
小さな吐息が掛かる。
「ねぇ、トウカ」
「・・・はい」
「ふたまた?」
「え?」
「ボクがいるのに他の娘にも手をつけちゃったの?」
「いやいや、誤解だって!」
「嘘。シノンさんボクより可愛いじゃん」
「え・・・まぁそうだけど・・・。俺はユウキが一番だから、さ!!」
「・・・ボクが一番なのになんで連れて来たの?」
もう駄目だ。何言っても駄目だ。
声が冷たいし、見えないけど病んでる眼をしてそう。
「はぁ・・・」
小さくため息を吐いて、ユウキは付けていた直剣の柄に手を伸ばしてゆっくりと握った。
(え、嘘だろ!?)
「いけないトウカにはちょっとお仕置きしないとだね。ボクが一番だってわからせてあげないとっ」
スーっと片手で抜いて、素早く持ち替え剣先をこちらに向ける。
(やばいやばいやばいやばいやばい!!!!!)
「~♪」
大きく直剣を上に上げる。
ユウキの顔は病み気味の笑顔だ。
「ッ!!!」
死を覚悟したので、勢い良く眼を瞑って、両手をクロスして防御の姿勢を取った。
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「トウカ~ごめんっ!」
「いや~本当に終わりだと思ったわ」
「私が言ってなかったら終わりだったわね」
「んぅ~、ごめんねトウカ。ボク勘違いしちゃって・・・」
「人の話は最後まで聞けよ」
「うん・・・」
ギリギリのところでシノンが「冗談よ」って言ってくれたので何とか助かった。それにしてもユウキのヤンデレは怖いなぁ。本当の恐怖を覚えるわ。
ぎゅっと服を摘まれながら、潤んだ目で許して?とユウキが懇願してくる。
「怒ってないから大丈夫だって」
「ほんとぉ?」
「ああ」
「うう~、ありがとぉ~」
腕に抱きつかれたので、頭を撫でる。
「ところでさ、その子・・・ユウキちゃんってトウカの妹か何か?」
向かいにソファに座っているシノンの言葉にユウキがピクン、と反応した。直ぐに顔をシノンのほうに向けて言い放つ。
「彼女っ!」
「違う、居候だ」
「あう~・・・」
「現実では知り合い?」
またまたユウキが反応する。
「家が近所っ!」
「都道府県違うと思う、多分」
「うう~・・・」
全く、いちいち反応が可愛いな、ユウキは。