TS悪役令嬢は特大武器で無双したい   作:路紬

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特大武器系貴族令嬢、飛竜を木っ端みじんにする

「はあ、はあ、はあ。やっと撒けましたね」

 

「本当……。先輩たち凄いんだから。アリスの人気の凄さを改めて実感させられたよ」

 

 私達は走りまくったあげく、ようやく入学式の講堂へと逃げることに成功した。しかし大変だった……先輩たち、凄いしつこいんだから。

 

 入学式が行われる講堂は大きく、すでにたくさんの新入生たちで賑わっている。

 

「流石名門校……。毎年、こんなにも人が入るんだ」

 

 クラリッサはその様子を見て驚いていた。その気持ちも分かる。私だって新入生の数にちょっとビビっている。

 

 なるべく平穏に、ストレスフリーに特大武器をぶん回したいな……。でもこんなに生徒がいるなら、特大武器をぶん回したら嫌でも目立っちゃうのか。

 

「ねえねえアリスに聞きたいんだけど、さっきアリスが使っていた武器ってどこで作ってもらったの? あんな大きい武器見たことないわ!」

 

 その中で特大武器に興味を示してくれるクラリッサは、私にとっての癒しだ。私の中のエレナお姉様の絶対性がほんのわずかに揺らぐくらいには。

 

「お母様が王都中の鍛冶屋に打診して作ってもらったらしいよ。でも詳しいことは分からないんだよね」

 

「え? なんで?」

 

「いや、それはちょっと色々ありまして……」

 

 それについてはババアとひと悶着あったのだ。そう、ババアは私に特大武器を作らせた鍛冶屋を決して教えなかった。

 

 理由は一つ。私が通い始めるから。

 

 全く余計なことしかしない人だ。私がそうそう通うわけないじゃないか。よしんば通ったとして週に15回くらいしか行かないに決まっている。本当だよ……?

 

「お母様に愛されているのね。とってもいいことだと思うわ」

 

「どこが……? 私は早く二本目の特大武器を……」

 

 作ってほしいと口に出そうとした瞬間だ。

 

 講堂の外側で巨大な爆音が轟く!

 

「え!? な、なに!? なになに!?」

 

 クラリッサは動揺しながら周囲をきょろきょろと見ている。それは周りの生徒達も同じだ。

 

 次の瞬間、巨大な獣の咆哮が轟く。耳をつんざくような咆哮。私はそれを知っている。

 

「魔物……? あ、そうかこの世界」

 

 そういえばラブマギでは、王子様のカッコいいアピールをするためのイベントが起きたりする。例えば魔物の襲撃とかだ。

 

 今起きているのはそれだろう。原作でも語られている事件であり、原作の大筋に絡んでくる事件でもある。なにせ、この魔物の襲撃イベントは何者かによって仕向けられたものだから。

 

 原作主人公のエレナお姉様は不運にも魔物の襲撃に巻き込まれて、間一髪のところで王子様に救ってもらっているはずだ。

 

 今のエレナお姉様には無用の心配なんだけど、それでもこの講堂にいる人たちが心配だ。

 

 けど、入学式ならさっき言った王子様の他に、色んな原作ヒーローたちがいるからそこまで大事にはならなさそうだけど……。

 

「ギャオオオ!!!」

 

 講堂の入り口をぶち破って飛竜が襲来してくる。この世界、王子様上げのために飛竜みたいな、他の異世界ファンタジーならそこそこの強い魔物がぽこじゃか現れる。

 

 いや、実際この世界でも結構強いらしい。王子様がそれ以上に強いから霞むだけで。

 

「ひ、飛竜!? あ、アリス逃げましょ!? は、早く先生たちに報告しなきゃ!」

 

「ふむ……飛竜。飛竜なら問題ないかも。あれなら思いっきりやれそう」

 

「な、なにをぶつぶつ言っているの!? 早く逃げないと危ないわよ!!」

 

 クラリッサが涙目になりながら、そう訴えてくるが、何も問題はない。

 

 むしろ、あれなら入学試験の時に出せなかった星砕きの本気が見られるかもしれない。それにこれは一大事だ。流石に世間体を気にして、特大武器を振らないという選択肢はない。

 

 みんなを助けるという名目上、私は私で思いっきり特大武器をぶん回せるチャンスだ!!

 

「ごめんクラリッサ! ここで見ていて! すぐに片づけるから」

 

「へ……? な、なにを!? きゃあ!?」

 

 私は椅子の背もたれを蹴って飛竜へと一直線にカッとんでいく。そうだよこれこれ! これをやってみたかったんだよ!!

 

「来い! 星砕きっ!!」

 

 魔道具を起動。手元に星砕きを召喚した後、私は星砕きを構える。

 

「せーのっ!!!」

 

「ギャッ!?!?!?」

 

 野球のバットを振るう感覚で星砕きをフルスイングする。瞬間、飛竜の頭部は木っ端みじんとなり、三メートルを超える巨躯は一瞬にして粉々になった。

 

「すご……。あ、アリスってすごい」

 

「おいあれってハーゼンブルク家のご令嬢じゃないか!?」

 

「あれが噂のアリス様!? な、なんて凛々しいお姿なのでしょう……! お近づきになりたいわ」

 

「アリス・ハーゼンブルクが助けにきてくれたぞ!! これで安心だ!!」

 

 私の背中で上がる歓声。ああ~~~~最高。そうそうこういうのだよこういうの! これがあるから気持ちよく特大武器をフルスイングできるんだ!

 

 最も、この後のことについては何も考えていない。主に後処理や事後に流れる噂について。貴族令嬢らしくないとか、はしたないとか、色んな噂を立てられて目の敵にされることは見えているが、今は気にしないでおこう。

 

 なにせ……まだまだ獲物は沢山いるのだから。

 

「いち、にー、さん、しー、沢山! こんなにもいるなんて心躍るね!!」

 

 吹き飛ばされた入り口の瓦礫に、片足を乗せながら私は獲物の数を数える。

 

 外にはまだまだ魔物がいる。王子様がやってくるまでは存分に暴れられるチャンスだ。私が暴れなきゃ、みんなが危ないからね! それに私、特大武器をぶん回したいし!!

 

「さて、ミンチになりたいやつからかかってきなさい! 存分に遊んであげるから!!」

 

 私は瓦礫を蹴り飛ばして、飛竜たちに突撃する!!!

 

 

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