何番煎じのハクスラローグライク乙女ゲーモブ転生(草臥れ男子高校生とド下ネタ駄犬) 作:ハクスラ民
「テメェまたぐらに脳みそ付いてんのか?!」
「うっさいですねぇ!こちとら溢れんばかりの“獣”欲を抑えきれないんですよーだ!」
ダンジョン。
光るコケが繁殖し淡く照らす洞窟内、その幻想的な風景をぶっ壊すような下品の応酬が繰り広げられていた。
「獣欲ってか、獣じゃねぇか!ケモナーランク付けで言ったら文句なしの天元突破やろがい!獣人どころか獣じゃないかい!」
「好きでこうなったわけないでしょ!あ~!!!!推しに腰ヘコ無様媚びしてぇ~!!!!」
「キッショ、マジでキッショ!年がら年中発情期かよオイ!?」
「獣だから発情期に決まってんでしょー!?頭パッパラパーか~?」
そこに居たのは人と犬。
パーカーにファンタジーを付随させたような現代的な服装なのかファンタジーな服装なのかよくわからん服を身に纏い、やけに物騒な形をしているナイフを腰に装備する草臥れた雰囲気を纏う少年。
モッフモフの白い毛並みにサイバーパンクの装甲を身に纏い、宙に杖を浮遊させる煌びやかな装飾品を着飾る駄犬…もとい狼。
一人と一匹がクソ程危険に満ち溢れるダンジョンの中、酷く醜い応酬をしていた。
「あーそうですか。そうですか。もういいや。ここに置いていこう。今日からお前は迷宮の子におなり。もううちでは飼えないよ」
「待って、待ってください。ごめんなさい。本当にごめんなさい。いい子になります。お利口なワンちゃんになるんでどうかそれだけは…。あっ、チ〇チ〇舐めましょうか?バター犬的な…へっへへっ」
「だからお前キショイて…」
「足でも肉棒でも舐めるんで…寧ろ舐めたいんで…」
「マゾ拗らせんなバカ」
溜息、バカなやり取りで無限に体力が吸われた。早々に切り上げ、ハッハッハッと興奮なのかイヌ科故のものかよくわからない息をする相方を放置してステータス確認。
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ステータス
名前:霧島 掘
性別:男
年齢:16
種族:ヒューマン
ジョブ:ローグレベル29
属性:ニュートラル・イビル
HP:224/224
MP:16/16
ST:178/178
能力値
筋力:175
敏捷:322+110
耐久力:100+110
知性:221
精神:162
信仰
運の女神テュケー 信仰ポイント0(5)
| ・幸運の女神Ⅲ | |
|---|---|
| 1 | ドロップ率「+3%」 |
| 2 | クリティカル率「+15%」 |
| 3 | 状態異常付与率「+5%」 |
| ・テュケーのコインⅡ | |
|---|---|
| 1 | 被クリティカル時、「+2%」の確率で攻撃回避 |
| 2 | 被クリティカル時、「0.2秒」間無敵状態となる |
スキル スキルポイント2(27)
| 『短剣術Ⅴ』 | 武器カテゴリ:短剣の与ダメージ「+50%」クリティカル率「+15%」 |
|---|---|
| →カスタム【異心】 | 武器カテゴリ:短剣による状態異常付与確率「+15%」 |
| →カスタム【迅速】 | 武器カテゴリ:短剣装備時、移動速度「+15%」移動によるST消費軽減「-10%」 |
| 『血狂いⅤ』 | 武器カテゴリ:短剣による近接攻撃時「状態異常:出血」付与 |
|---|---|
| →カスタム【赤錆】 | 武器カテゴリ:短剣による近接攻撃時「状態異常:錆化」付与 |
| 『ハイウェイスターⅤ』 | 移動速度「+50%」ダッシュ状態を5秒間継続で与ダメージ「+15%」 |
|---|---|
| →カスタム【悪路走破】 | ダッシュ状態時、フィールド系ダメージ「-15%」ST消費軽減「-25%」 |
| 『盗賊の連撃Ⅱ』 | 武器カテゴリ:短剣で使用可。「(武器ダメージ/2)×200%」の攻撃を「2回」行う。クールタイム:30秒 |
|---|
武器
惨たらしい【バタフライ・ナイフ】
武器カテゴリ/レアリティ:短剣/レア
要求レベル:25
要求ステータス:筋力150、敏捷272
武器速度:1.69
35-50 物理ダメージ
10-20 毒ダメージ
+25% 「状態異常:麻痺」付与する
+16.8% 「状態異常:出血」付与する
+1.15% 「状態異常:出血」の威力を高める
ルーン枠 2枠
・火のルーン
5-9 炎ダメージ
+12.6% 炎ダメージの威力を高める
・火のルーン
3-8 炎ダメージ
+11.3 炎ダメージを加算する
防具
頭部:盗賊のフード 耐久力+24、敏捷+20
胴体:盗賊のチェインメイル 耐久力+43、敏捷+25
腕:強奪のハードグローブ 耐久力+12、敏捷+20、近接攻撃によって敵を倒した時、ドロップ率「+11.7%」ドロップテーブル「+1」
腰:盗賊のベルト 耐久力+15、敏捷+15
脚:盗賊のブーツ 耐久力+16、敏捷+30
防具セット効果
・盗賊の心得
移動速度「+20%」近接攻撃回避率「+10%」罠・鍵開錠「+15%」
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マジでしょっぺぇ。時計を見やればダンジョン潜ってからもう4時間も経っている。今日は休日でもう少し行けるが、それにしてもだ。
「しょっぺぇ~よマジ。まだレベル29とか…」
「ほっちゃんまだ29かぁ。やっぱ種族差
「いや、多分1.xxx倍とみた。もっと言うなら1.1xx倍。チェッカーないから大体だけど」
「そこらへんかぁ。でも検証としては八割九分実証かな。最高難易度だよ」
「ダメージの通りがしょっぱいところからわかってはいたが…つーことはボス2~3…か」
「ログロだと4体の可能性もあるね。ホント…ウソでしょって感じ」
はたから見ればよくわからないやりとりだが、俺達の間では通じるもの。なんせ言ってしまえば外の世界の用語なのだ。俺達が部外者かつ
顔を見合わせ、一人と一匹揃って溜息を吐く。つれぇよ…
「この世界のwikiは前世にしかないもんねぇ…。私らが調べ上げて作った人力wikiでもあんまりだし」
「ない物ねだりなんだよなぁ…しゃあない。30までもちっと付き合ってくれ。多分…今日中には行くと思う。レア泥恩恵もあるし頼むわ」
「そこはケツ蹴り上げて『行け』でしょ~?もうマゾの飼い主としてなってないなぁ…」
「今度、ドッグランに連れてってやるよ」
「ごめんなさい。やめてください。同族だけど犬に求愛されたり、腰振られるの結構メンタルにクるんです。人としてのメンタルがクるんです。頼んます。後生です…」
「はぁ…。マジで頼むからな?」
「んも―…ジョークジョーク。前世共有できるナカーマなんだから信じてって。とらすとみー」
なんとも言えない腐れ縁を引き連れ、気合を入れる。
俺、霧島 掘と犬…だったもの、アイビーはよくありがちな転生者ということになる。一人?一匹ちょっと間違えて動物になってしまっているが…それだけならまだ、まだいい。問題は転生した世界なのだ。
俺とアイビーが前世で別方向でやり込んだゲームの世界であり
〈インソムニア〉というゲームの、最高難易度世界であることだ。
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〈インソムニア〉
それは稀代のクソゲーだ。何をトチ狂ったのか乙女ゲーにその道のプレイヤーも真っ青なハクスラローグライクを足してしまった制作は、このゲームを以下のようなキャッチコピーで売り出した。
『眠れなくなるほどドはまりする』
実際、〈インソムニア〉は
プレイヤーとなる女の子(確定)は、ジョブを選択し、レベルをダンジョンで上げながら、時折ドロップする武器や防具、アイテムを死に物狂いで探し出し、自分だけのビルドを完成させる。
信仰する神によって付随する効果が変わり、武器や防具には接頭詞という知る者が聞けば「ウッ頭が…」となるものがある。
そしてその接頭詞、武器の改造に使われるルーンには「+27.2% 物理の攻撃力を高める」という聞いた者が発狂し「9kv8xiyi」としか言わなくなるようなものも存在する。ようは振れ幅が存在するのだ。
それにローグライクとしての完成度も高かった。ダンジョンは階層事に分かれているが、進むほどにマップが広がるため実質無限に探索できる。尤も居続けると階層の難易度がどんどん上がる仕様の為、進むか残るかはトレードオフの関係だ。
進めばそのまま安全に次の階層に進むことができる。残れば敵がより強くより数を増して大挙する。対応できれば旨テイストだろう。
特定ドロップの為に同じ階層に長く居続けると……お仕置きボスがポップする。このお仕置きボスが強いのなんの…、まぁ倒せれば莫大な旨テイストだ。
ダンジョンも豊富でDLCも充実している。
ハクスラローグライクとしては☆5だ。
しかし
このゲームは、残念ながらハクスラローグライクゲームではなく乙女ゲーなのだ。根本が乙女ゲーにある。
そしてこの乙女ゲーが〈インソムニア〉をクソゲー足らしめる所以だ。
まず、攻略キャラが普通にダンジョンで死ぬ。イベントで死ぬし、なんなら通常攻略ですら運が悪いと死ぬ。主人公がパーティーを組まないと攻略キャラは勝手にダンジョンに潜るのだが、そこでナレ死を遂げたりする。
面倒くさいことこの上ない。
また、選択肢…某ノベルホラゲーになぞらえてデッド・チョイスと呼ばれるものがあるのもクソゲー足る所以だ。
このデッド・チョイス、いわゆる特定の選択肢を選ぶとそのままバッドエンドに直行するのだが、このバッドエンドに行くまでがひたすら長いのだ。
どういうことか?
chapter1でとある攻略キャラのデッド・チョイスを踏んだとしよう。ちなみにこのchapterはダンジョンを一定数攻略又は一定条件を満たすことで進むようになっている。
ではこのデッド・チョイスのバッドエンドはどこで発生するのか?
chapter4で発生するのだ。
ダンジョンの攻略数にして最短で5つ。そう、ダンジョン5つ攻略した時点で唐突にバッドエンドムービーが挟まりゲームが終わってしまうのだ。
ハクスラローグライクを遊んでいた諸兄達は阿鼻叫喚した。乙女ゲー?おまけでしょおまけなんて笑っていたら、唐突にバットエンドで終わり、進行不可になるのだ。諸兄達が苦心してため込んだレア武器、レア防具、レア接頭詞、変数の最高値…それら全てがバッドエンドでなくなるのだ。もちろん、親切設計でデッド・チョイスを選択する前に戻ることもできる。数十、下手したら数百、もしかしたら数千かもしれない。そんな費やした時間を虚無にすることでだ。
そしてこのデッド・チョイスも最高にクソだ。誰が攻略キャラの好きなもの、嫌いなものから過去のトラウマを割り出せというのだ。嫌いなものの話をし始めた時点でバッドエンドに直行するとかどうなってんだお前。心理学者でも無理ゲーだぞ。
そう、この〈インソムニア〉というゲームは
そんな最高に最低なクソゲーの、しかも乙女ゲーになんで存在するんだと言われている最高難易度:ナイトメアの世界に生まれ落ちてしまったというわけだ。神は…いないのか?
最悪な世界だ。泣けてくるぜ…。
前世、俺はこのゲームのハクスラローグライクの部分に惚れプレイしていた。そして乙女ゲーの部分で挫折した。
そしてアイビー…前世の名で蔓壁 弦という幼馴染の女はこのゲームの乙女ゲー…厳密には攻略キャラに惚れプレイし…そしてハクスラローグライクの部分で挫折した。
俺は生粋のローグライク好きで、アイツは生粋の乙女ゲー好きだった。利害の一致だ。
俺達は二人で通話アプリを開いて、協力しながら互いの苦手な部分を乗り越え、プレイしてきた。
乙女ゲーなんてと思っていた俺は、隠しステータスから台詞の端々に仕込まれた地雷や伏線、どの日にどのキャラクターと出会うとどんなことが起こるのかをみっちり叩き込まれた。マジかよ乙女ゲー奥深いな…。
俺も俺でローグライクの何たるかを叩きこんだ。どうしてそこまで沼るのか?という答えを徹底的に教えてやったのだ。
そして俺もアイツもクリアし、祝賀会を上げ…二人そろって死んだ…と思う。そこら辺の記憶が曖昧だ。二人とも成人して酒飲んでたから、全く記憶がない。とりあえず二人そろって死んだと思う。
そしてそして、この世界にモブキャラAとモブ犬Bとして生まれ変わったのだ。
俺達二人は、このクソったれな世界に生まれたことを悲観しつつも前世知識をフルに使って生き残ることを最優先にダンジョンに潜っている。この世界、レベルなんて高ければ高いほどいいし、強くてなんぼだからな。
なぜそんな強さに執着するのかって?
「「バットエンドの大概が世界滅亡エンドだからだよ」」
2025/11/21 修正
ちょっとステータスのスキル振りで計算間違いあったので修正。
スキルポイント0(29)→スキルポイント2(27)
『血狂いⅢ』→『血狂いⅤ』