何番煎じのハクスラローグライク乙女ゲーモブ転生(草臥れ男子高校生とド下ネタ駄犬) 作:ハクスラ民
時は飛んで、学校。
あの後キリよくレベル30まで行けた俺達は帰還、あくせく宿題を終わらせて学校に来たところでさぁ!へへっと三下笑いで流しながら、教室でぺらりぺらぺら自作wikiの原案をまとめている。
wikiを作るならインターネッツの方が良いのはそうだが、インターネッツはインターネッツで鯖落ちやら電子トラブルの問題もある。あとスマホをダンジョンに持ち込むと破損の危険性:高だ。出来るヒューマンは電子対策を怠らない。
さて、あとなんかあったっけな…
(アレじゃない?最高難易度って書いとこうよ)
お、それもそうだな。アイビーに言われるがままペンを走らす。
…わかってる。わかってるよ諸兄諸姉達よ。何故駄犬が喋るのか?疑問に思うだろう。
(ちんちん(卑猥な意味を持たない))
シャラーップ!どうした急に!?
(ちょっと…呼吸がね?)
そんな呼吸止めちまえ。
う゛う゛ん゛、アイビー…前世人・今世駄犬は普通に人語が喋れる。何故って?知らん。転生特典じゃね?まぁ見た目完璧狼だし、バレたら普通にやばいので人前では犬語喋ってもらってるが。この世界でも狼が人語喋るのはアウトらしい。ダンジョンがあるのに?
まぁこの世界には動物と契約することでなんやかんやできるシステムがある。その名もバディシステム。なんやかんやって?なんやかんやだよ。説明がダルいほど色々ある。
コイツ…直接脳内に…!な状態もバディシステムの一つである念話だ。本来の用途は動物と人で意思疎通を図り、連携を高めるためのものだったりする。俺達は便利な遠隔通話機能として使ってるがね。距離無制限、使用量無制限のパケ放題(無料)だから便利な事この上ない。
そのおかげで一緒にいる時なんかは、駄犬に対してリアクションをしても『あぁ、コイツ、念話的なので脳内で完結できるのにリアクションが外に出ちゃう人なんだな』という目で済むという寸法だ。…もっと悲惨になってない?遠距離だともっともっと悲惨だからお口チャックだがね。へへっ(3敗)
さて、アイビーさんや。
(なんだいご主人)
どうして、俺は、ボッチなんだろうね…
(それはねぇ。君が入学して早々、人間関係やらを切り上げてダンジョンに潜りっぱなしだったからだよ)
「う、うぐぅ…」
机へと突っ伏してうめき声を上げる。
そう、俺は生まれ変わった第二のウハウハ人生を青い春ならぬ黒い春で過ごそうとしていた。なぜって?ダンジョンがあったからさ…。
この〈インソムニア〉の世界では原則的にダンジョンに潜れるようになるのは高校生からである。特殊な事情を持つ攻略キャラは普通に幼少期からダンジョンに潜ったりしてるらしいが、生憎生まれは普通のご家庭の為、ファーストダイブは今年の5月初めだった。
これでも早いというか、基本的に7月までにダンジョンに潜る為の試験やら講習やらを終えて夏休みから潜るのが定石と言われている。俺達?普通にRTAしたぜ。だってダンジョン速く潜りたかったんだもん。
そんなわけで本来入学したてで距離感を測り合ってる大切な時期を全てダンジョンに注ぎ込んだ為に俺はもう6月だというのに机に一人突っ伏しているのだ。
こんなんじゃ、黒い春に飲み込まれて我楽多になっちまうよ〜…。
悲しい…寂しいよバナージ(?)
(どうどう…今日じゃん。主人公ちゃんが来るの。主人公ちゃんに賭けよ)
え、あ、そーじゃんそうだわ。わっと顔を上げてカレンダー…うん、今日だ。
今日は〈インソムニア〉の顔役…主人公ちゃんが転校してくる日だった。フツーに忘れてた。いやだってゲームの世界に転生!とか言われてもフツーに人生過ごしてたら実感なくなくない?
(なくなくない。乙女ゲープレイヤーとしてイベ日暗記は必須科目よ)
そらお前はな。
にしても…教室を見る。なんか嫌な雰囲気だな?
主人公ちゃんこと『城咲 凛』ちゃんがとある事情により、この[探聖学園]に転校してくる。転校理由?凛ちゃんがとんでもねぇパゥワを持ってるためだ。具体的に言うと経験値倍率上昇etc…
そのパゥワによってウチじゃ扱いきれないドラゲナイした凛ちゃんの地元の学校が学園にパスしてきたのだ。カワイソ…。
学園も学園で、うっひょいレアキャラじゃーん。と強欲で傲慢なツボ的サムシングで利用する気マンマンであり、攻略キャラ(学園でカーストトップ達)を宛がうという転校したての子になかなか鬼畜なことをしてくる。
なんで宛がうのか諸説あるが、学園側としては攻略キャラなんて無駄にプライドが高いうえにヨイショしないといけないカス(偏見)であるため、それなら経験値ブーストする主人公ちゃんをくっつけて浅い階層でキャッキャさせつつさっさと卒業しろクソガキ共ってことなんだと思う。
さて、賢い諸兄諸姉達はとっくのとうにお分かりだろうが、高校生というものは大体5月末で人間関係がだいぶ構築される。そんな中、6月のはじめに、それもちょっと学園的に特別扱いされるような子が現れるとどうなるだろうか?
答えは簡単、孤立する。乙女ゲーによくあることらしいが、序盤でちやほやされるってあんまりないらしい。最初はみんな塩対応で、それを徐々に攻略するのが醍醐味なんだとか?
ねぇ有識者さん?
(まぁそうだね。ただリアルってなると、今の状況みたいな転校したてで針の筵な子にそんな塩対応とか可哀そうすぎるでしょって思う)
同感。そんなわけでこの雰囲気の悪さはまー、思春期のかまたり(誤字ではない)というやつだ。大体の高校生はカーストと特別扱いを気にするからな。いわば学校は小さな社会だ。そこに政府(先生)が特別扱いする人を突っ込む…中世的に言えば、市民街に貴族を投入する暴挙だ。そら排他されるというもの…悲しいけどそれが人間なのよね…
なので俺とアイビーで話し合って、主人公ちゃんに絡みに行こうというわけである。
(ボッチ同士仲良くしよう的な魂胆もあるっしょ)
シャラーップ。御だまりなさい。でないと今日のご飯はささみドックフードだよ。高級な奴で缶詰に入ってるペーストみたいなやつ。
(ごめんなさい。人並の食事させてください。ドックフードって食べてると悲しくなるんです。ペーストの奴を犬食いするとすごく悲しくなるんです。自分が犬であることを自覚して興奮する以上に、なんというか…惨めになるんです。上手に手を使って食べたいんです。でもフォークもスプーンも美味く握れなくて、結局犬食いになるんです。鼻先にドックフードが付いていて、それを舌で舐めとる仕草に絶望するんです。人としての尊厳がゴリゴリ削れていくんです。お願いします。お願いします…)
うむ。わかればよろしい。
悲しいことにイヌ科に生まれてきてしまった事のトラウマを刺激してやると面白いくらい大人しくなるが、聞くエピソードがこっちにもダメージが来る重めエピソードばっかなので諸刃の剣なのだが…まぁマゾでも耐えられない痛みはあるということで…。
(ごめんね)
うん、ごめん。俺も悪かった。
ちょっちデリケートな話題に触れてびみょい雰囲気になった俺達はなんときなしに時計を見た。
もうすぐじゃん。
(え、もうすぐ?)
マジだよ。時間。
とか言ってたらリンゴンリンゴンと鐘が鳴り、教室に先生が入ってくる。
そして、やはりホームルームでのお知らせとして
主人公ちゃんもとい転校生が来たのだった。
~~~~~~~~~~
「初めまして、城咲 凛です。よろしくお願いします」
なんとも簡素な挨拶を終えた主人公ちゃんに対する周囲の反応は…
うーん…!針の筵!
まぁそうだ。噂として流れてっからね。なんか贔屓もとい特別処置で転校してくる子がいるって。
皆の視線を意訳するとだ。
なんで特別扱いされてんだよ
うっわ陰キャっぽいわ。なんであんな奴が
こんな感じかな?
(あと『ちょっと押せばヤレそう』とかも追加で)
生々しいこと言うなよ…まぁ何人かそう思ってそうな奴いるけどさ。
しゃあねぇなぁ。ここはいっちょ俺が絡みに行ってやるかぁ~!
ホームルームが終わり、若干の沈黙が降りる中、静かに自分の席に座っている主人公ちゃんに声を掛けた。
「あ、あにょさ……」
「あにょ…?」
空(天井)を仰ぎ、静かに瞑目した。
………先生、俺、死にたいんですよ
(死なないで。生きるのよシ〇ジ君)
でもミ〇トさぁん…俺もう無理だよ。無理だって。こんなのどうやって立て直すんだって言うんだよ。助けてくれよ。救いの手はないの…?
(そこになければないですね)
クソがっ…!ダ〇ソー店員め…!ちったぁ探す努力してくれよ!
(探してもないのに、そうやって言い募る人が居るからおざなりな態度になってくと思うんだよね。by前世接客業バイト経験者)
わかってるよ!わかってるさそんなこと…!でも信じたいんだよ…!あるかもしれない希望に縋りたくなるのが人間だろう?あることを願っているんだよ!そこにあるって信じたいんだよ!それ以上の労力が掛かることに絶望するから、そこから目を逸らしたいんだ!俺に…!
「希望を捨てろと言うのかよ…!」
「えっと……よくわからないけど希望は捨てなくてもいいと思うわ」
「あっ…」
(声出てて草w)
草に草を生やすな(戒め)
とんでもねぇ醜態を晒したことに顔面真っ赤にしつつ、改めて言い直した。
「えーっと…」
「……」
やっべ。普通に何言うか忘れたというか考えてなかったわ。カンペ、誰かカンペ―!ちょっディレクター段取り悪いよ〜。
(しょうがないにゃぁ)
見抜きは良いんで…てかお前の場合AVがアニマルビデオになっちゃうじゃん。
(うっさいやい!いいでしょセクシィポーズだよ!?)
セクシィポーズ(犬に大ウケ)
(あーあ、ここにあるカンペをビリビリに破こっかな)
ごめんなさい。今日はステーキにします。
(ひゃっほい明日はホームランよ!)
お財布に結構なダメ―ジを与えて、カンペを錬成してもらう。えぇっと…?
「やぁ、此処は探聖学園だよ」
「知っているわ」
村人A的な始まりなのぉ?
「初めての場所でにっちもさっちもいかなくなってる君に、今日は案内をしてあげよう」
「えぇっと…ありがとう?」
この村人Aちょっと厚かましくない?結構押しつけがましいこと言ってんだけど。
「今日から君も探聖マスターさ!」
「…わーい?」
ほら見ろよ主人公ちゃんの困惑な顔をよォ!あっかわい…ビジュめちゃくちゃ良くてヤバ…やはり主人公か…。若干、乗り切れないテンションで律儀にわーい言ってくれるの天使かよ…
「授業をすっぽ抜かして学校案内だ!…っておい!」
「いいの?」
「良くない良くない。普通に良くない」
テメェ初手不良生徒に仕立て上げようとするんじゃあないよ!
(残念だったなァ…ほっちゃん。これは乙女ゲー的に必須なんだよ…。ここで授業無視して学校回らないと回収できないフラグがあるからね)
あ、そっかぁ()
ふーっ…なるほど。なるほどね。OK
信じて、いいんだよね?
(とらすとみー)
………わかった。
「授業…バックレます…!」
「えぇ…?」
「責任は…俺に全部おっ被せていいです…!後生です…!どうかバックレてください…!」
「………良いわよ。必要だから…なのよね?」
フゥー(⤴)!天使ィ~!!マジ天使ィー!
「ちょっとね…ホント…ちょっとね」
濁して言うしかない…。なんせ俺はハクスラローグライク専門で乙女ゲー部分は相方のラジコンにしかなってなかったからだ。まぁ?ちょびっと乙女ゲーの心得的なの叩きこまれたから多少、ホント多少できるのだが、やはりその道のプロに任せた方が良いというもの。
というわけで…頼んます。乙女ゲー師範。
(うむ。よろしい。私に全て任せなさい。とりあえず学校の設備紹介も兼ねてぐるっと回って、絶対寄らないといけないところ逐次連絡するわ)
ういっす。おなしゃーす。
というわけで、主人公ちゃんを不良ルートの第一歩の手を引くことになった。
まぁ大体のこういうコミュを結ぶゲームって主人公授業サボりがちだし多少はね?