何番煎じのハクスラローグライク乙女ゲーモブ転生(草臥れ男子高校生とド下ネタ駄犬) 作:ハクスラ民
〈インソムニア〉には乙女ゲーにあるまじき暴挙として、ハクスラローグライクの部分の為だけのDLCが二つ存在する。
攻略キャラが増えない。ましてや既存のキャラに別衣装や別のスチルが追加されるわけでもない。本当に、ほんっとうに…!ハクスラローグライクの部分だけの追加コンテンツだ。じゃあなんでほんへもそこだけで売らなかったんだよ。
そんなハクスラローグライクの部分で追加されたコンテンツは[Soul of Hero]と[Twilight Stone Monument]…直訳すると[英雄の魂]、[黄昏の石碑]だ。他の追加コンテンツは水着DLCとかハロウィンコスDLCとかそんな感じなのに、気合を入れよう違くない?アレなの?別々の人が作ってる?委託でもしたの?いいのそれで?
まぁそれはともかくとして…
[英雄の魂]で追加されるジョブは二つ。ネクロマンサーとエインヘリャルだ。前者はアンデッドを操るサモナー型…のクソ尖ったビルドとして。エインヘリャルは前衛のウォーリアーから派生した撃破ビルドと呼ばれるものがとくに有名になったものだ。
[黄昏の石碑]では、アルカナテラー、エクリプスドラグーンの二つ。アルカナテラーは大アルカナという21種あるアルカナデッキからランダムに効果を発動する運ゲービルド、エクリプスドラグーンは遠近、物理と魔法、全てに対応出来るという珍しい構成から勇者ビルドとして親しまれてきたものだ。
そんな4つのジョブのだが…正直どれも癖が強い。やりやすさで言うなら、ネクロマンサー>エクリプスドラグーン>エインヘリャル>アルカナテラーといったところで、マシなネクロマンサーですらビルドが極端な傾向にある。
ただ慣れるとクソ強いんだよなぁ…
「それじゃあ特殊ジョブについて説明するんだけど…どれもこれも癖が強い。運用や慣れ…あとは大器晩成だったりと難しいけど扱えるなら強いみたいなのが特徴なんだよね」
玄人であることを要求してくるのがDLCの基本みたいになっている。追加された武器や防具もそうで、変態的なのだと[敵討伐数が素数に到達する度、移動速度・能力値・ダメージ・攻撃速度ランダム一つ上昇]とかいうのも存在する。アルカナテラー素数ビルドという運ゲーの極みはハマればラスボスすら消し飛ばせる頭おかしい事が出来るものの、ランダムステアップに最低20回は勝たないといけないという地獄が待っている。
攻撃速度を20個当てると爆速アルカナラッシュと呼ばれるものを出来るようになるのだが、最短で行っても敵を71体は倒さないといけない。それに攻撃速度だけだと火力は足りないし、移動速度を上げないと囲まれて死ぬ。針穴に糸を通し続けるような運ゲーの末に脳内麻薬ドッバドバになれるのがアルカナテラー素数ビルドだ。
そんな運ゲービルドはさておき…
「他の人のサポート必須ってことかしら」
「そうだね。一人でやると結構辛い。…んじゃ説明しようか。まずはネクロマンサーについて。大きな特徴として倒した敵をアンデッドとして召喚できる特徴を持つ。ようは敵を倒せば倒すほど味方が増えていく仕様になってる」
「……もしかして、アンデッドの使役がない初動が重要ってことなの?」
「察しが良いね!そういうこと。まぁ初期状態ならスケルトンっていう一番弱いアンデッドを召喚出来るんだけど…弱いから序盤が本当に辛い。代わりに強い敵を倒せれば強いアンデッドを生み出すことが出来るからそこが利点かな」
「序盤の動き方が重要なのね」
「そう。次はエインヘリャル。ウォーリアーに近いんだけどネクロマンサー同様、敵を倒せば倒すほど…階層を跨ぐとリセットされるんだけど…に強化されていくって特徴を持つ。敵を倒せば倒すほどメリットが大きくなるんだけど…」
「やっぱり初動が遅れるのね」
「そう。それに加えて、ダンジョンの最下層ってボスしかいなかったりするから最下層はほぼ無強化状態で戦わなくちゃいけないってのもある。どれだけダンジョンの道中でアイテムやら強化出来るものを集められるかが勝負になってくるってのがエインヘリャルだね」
「初動が遅いのが共通なのかしら」
「多分ね。それじゃあ次。アルカナテラー。一応後衛なんだけど…これはちょっとランダム要素が強いかな。俗に言う運ゲー」
「運ゲー」
「そ、21種ある大アルカナっていうのを駆使して戦うんだけど…効果の発動が選べない…つまり21種の中から抽選で決まるんだよね。そのせいでほしい効果が発動するかわからないってのがメリットでもありデメリット」
「デメリットはわかるけど、メリットになるのかしら?」
「なる。ようはそれ以外の効果発動しないってことだからね。ダンジョンで手に入るアイテムの一つに[抽選されなかった効果をもう一度再抽選する]ってものがあってぇ…それを手に入れるとアルカナの効果…ランダムな分強力な技が連続で発動するようになるんだよね」
「あぁ…だから運ゲーなのね」
「そーなの。だからまぁ人を選ぶというか…事故が起こるかもしれないってのを許容できるかどうかってところがある。次はエクリプスドラグーン。中身はめちゃくちゃシンプル。銃剣っていう専用武器カテゴリを使って遠近、物理も魔法も出来る万能ジョブ」
「強い…と思うのだけれどちゃんとデメリットがあるのよね?」
「そう。デメリットはやっぱり、遠近、物理と魔法の両立しようとするとどれも中途半端になる事。ただビルド次第で両立できるようになるから、他よりデメリットは薄いかな。強いて言うならステータスの基礎値を全部伸ばさないといけない」
「筋力値とか敏捷値とか…知性もそうなのよね?」
「そう。物理なら筋力と敏捷、魔法なら知性と精神、で前も経つなら耐久力もある程度必要っていう全部の能力値が必要だから大器晩成型かな。此処、ジムで筋力値と敏捷値、知性と精神は図書館で上げられるんだけど…塵積チリツモというか継続力が必要だねぇ…」
「なるほど。でも物理と魔法が使えるのは便利そうね」
「実際便利。物理が効かない奴とか魔法が効かない奴なんてザラだからねぇ…」
「ふむ…」
考え込んでいる…わかる。その気持ちわかるよ…。どれにしようかめちゃくちゃ迷うよね…
(中盤まで変えられないしそりゃ悩むよー。ま、私はイッヌだからゴースト一択だったけど)
そらそうよ。イッヌ、大体の武器持てないからジョブのスキル使えんじゃん。素手前提のゴーストか大体の武器に対応してるエインヘリャルの2択じゃん。剣でも咥えるか?
(咥えるなら推しの剣(意味深)が良い)
クソデカ思念で送る言語じゃないだろ。イヌ語か?
(ワンワンワン!ヘッヘッヘッ…くるる…アウッアウッ)カクッカクッ
思念で腰振るんじゃねぇ殺すぞ。テメェの毛全部刈り取ってやろうか?
(ごめんて…んでも私も学校行きたいの我慢してんだからちょっとは構ってよー)
お前を学校に通わせたら風紀がほぼぬ◯たしになるだろ。いやだよ攻略キャラに対して『孕〇オラァ!』とか言ってる絵面見たくない。
(そんな節操なしじゃないわい!するのはほっちゃんと推しだけさ…!)
…中国…犬肉…調理っと
(待って)
渾身の待ってが出たので発言を許可しよう。被告人、前へ
(裁判なん…?…裁判長!今のは私なりのデレなのですが許されませんか!)
デレ………?どこが…?
(いや、デレでしょ。こんなことやるの好きな人だけだよ、キャッ♡ っていうピュアな乙女ンタルじゃん)
どの口フレンズなの?ただの嫌がらせ宣言にしか聞こえなかったけど。電車の中で身動きとれない中、耳元asmrで犯罪予告食らった気分だからね?今からお前を殺しますと同義だから。それがデレはビビるよ。ビビる。
(いや〜、わかって?イッヌで生まれてさ〜。人生?犬生ほぼオワタだったの助けてくれたじゃん。そんでイッヌでもレベル上げて種族変更すれば人間出来るって言ったじゃん?)
言ったね。いや、腐れ縁でも知ってる奴がいやいや犬生してて、かつ人より短い寿命怖ひって泣いてたらそら助けるでしょ。それで見捨てるのはさぁ…
ダメじゃん
(はーッ!見てよこれ。これだよこれ。アッツ、メッチャアッツ。瞬間的に色欲ボルテージがグンって上がったわ。今ならラスボスノーダメで倒せる。あとフェロモンムッワアァァってなった。もう色気ムンムン。私の幼馴染神過ぎるでしょマジで。人になったらいの一番に純潔奪って、人生もらったるぜ。ゼハハッ!)
だからなんで犯罪予告なの?怖いよ、普通に怖い。あと急に黒ひげにならないで。いやだよ幼馴染が黒ひげになるの。てか、俺付き合うならライバル悪役令嬢枠のデカパイお嬢だから。
(ハ?いやいや…あんな没落して貧乏になる予定の女よ?てかチチなら私も負けんが?倍以上あるが?)
乳の数で張り合うなよ…。いやあの人の貧乏になるけどなんだかんだ根っこにあるノブレス・オブリージュの精神変わらないというか…負けてもちゃんとライバルで居てくれるの好きだなって。
あとキャラデザ
(くうっ…!早く人間になりたい…!私が手塩にかけた男をポッと出のデカパイに奪われる前に…!)
育てられた覚えもねぇよ。勝手なこと言うんじゃねぇ。
(いーや!育てたもん!私が居たから料理も洗濯も掃除もするようになったもん!)
そりゃお前何もしないってかできないじゃん。
(ペロペロは出来るよ?)
じゃあ床でも舐めて…いや普通に汚れそうだからやめて
(じゃあち〇ち〇(卑猥な意味を持つため伏字)を…)
俺にバター犬の趣味はねぇ
(ジッサイ、人化したらケモ度高めのド性癖ウーマンだからね?狼獣人よ?凡そ考えられる属性の中で“勝ち”の部類じゃん)
中身でマイナスされてんだよなぁ…
(くぅ…マジで人化した時にぎゃふん言わせたるからな…覚えとけよ。バチクソ性欲煽るぼでーで頭爆発させちゃる)
もういいよ。勝手に頑張ってくれ…
(へーい。これイッヌの時の身体の状態引き継げんのかね?運動して絞ったらモデルボディになるか?)
唐突に肉体改造計画を立て始めたイッヌを頭の片隅に押し込めつつ、主人公ちゃんに考えを聞きやしょう。
「へい城咲さん!考えは決まったかい?」
「そうね…ネクロマンサーが良いわ」
「ほう…その心は?」
「まず後衛で貴方の言うようにナニカに特化せる事が良いというのが伝わったから、候補として挙がったのはガンナー、ウィザード、サモナー、ネクロマンサー、アルカナテラーね。そこからランダム要素が強いアルカナテラー、ビルドが多いと聞くガンナーを除外したわ。運任せに出来るほど実力があるわけでもないし、進路の多さは逆に選択肢を狭めることになりそうだから」
「ふむふむ。確かにアルカナテラーは論外として、ガンナーは色々やること多いからね。後衛ならウィザードを選びそうなものだけど…」
「ウィザードはそうね。動き方に狭さを感じたのが理由の一つかしら?敵からワープで逃げつつ遠くから敵を倒すだけだと、固い敵や足が速い敵に追いつかれた時の対応が難しいと思った。あとはMP管理の難しさね」
「MP管理は慣れだからなぁ…」
「えぇ。多分慣れる事が出来れば早いのでしょうけど…それなら戦闘の幾らかをミニオンやアンデッドに任せられるサモナー、ネクロマンサーの方が良いと感じたわ。あとは~、好みね。色々と召喚できるサモナーよりもアンデッドに纏まってるのが良いと思ったわ」
「ほう…なーほーね。OK、それなら―…そろそろチャイム鳴るから先生とかに見つからないよう移動しながら話そうか」
「わかったわ。…バックレてよかったのかしら?」
「良いの良いの。だって学校側が仕事しなかったのが悪いんだから…それ盾にすれば勝てる。まぁあの焼き狸さんはお咎めなしになるだろうけど」
「お咎めなしになるのね」
「外面perfectだからね…」
「裏表が激しいのかしら?」
「裏表よりはもう多重人格のレベルだけどね。アレ」
乖離がすげぇというか、よく押し留めてあんな胡散臭い男で我慢できてるよ。中身知ってからもう涙ぐましい努力としか思わなくなったもん。そこまでして外面守りたいか?
「今度はどこに行くのかしら?」
「鍛冶場と科学炉、あとはついでにごにょごにょしてネクロマンサーになろう」
「凡そ学校にあっていいものではないわね。あとごにょごにょって?」
「ごにょごにょさ!……ちょっと秘密にしてもらえるとね?あと鍛冶場と科学炉はダンジョン潜る上で大事になってくから…あとは移動教室の場所とか色々紹介しようか」
「お願いするわね」
「あいよ」