何番煎じのハクスラローグライク乙女ゲーモブ転生(草臥れ男子高校生とド下ネタ駄犬)   作:ハクスラ民

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お久しぶりですー!お待たせしました!スキルツリーとスキルのカロリーが高い!
あとテンポの為に削ったりしたのに全然1万字いった。おかしいな…


悲しいことに、これは現実でゲームでないから

「…はい(編集点)ということでね。一気に飛ばしましたけれども…」

 

「サクサク進んだわね」

 

さっくり飛ばされましたとも。だってねぇ…?まだチュートリアルだからね?そこで詰め込んでもアレじゃない?

 

(それね。とりま念の為の食堂キャラの嫌いなものチェーック!なーにが嫌い?)

 

 オムライス。確か過去のトラウマのせいで嫌いになったってやつね。美味しいのに…

 

(イグザクトリー…。バッチリのようだ、ネ!ン゛ッ ア゛゛)

 

 どした?断末魔?死ぬ?

 

(今ちょっとトイレ(人間用)でトイレ(犬)してるから。気張ってた声がちょっとね?)

 

 トイレ中ならトイレに集中せぃ!声漏らすな…!きたねェわ!トイレでスマホ弄る現代人とほぼ同じじゃねぇか。

 

(現代人だよ。でもトイレって暇じゃん?てかこの身体ケツ拭くの面倒くさいんだよね~)

 

 トイレしろよ…!排泄するところなんだよ其処は…!スマホ弄る場所じゃねぇよトイレは!てか、え?どうやって拭いてるの?犬じゃん。え?

 

(そりゃあ…ね?トイレットペーパーあるじゃん?それを地面に引いて~…ケツをこう…グリップを効かせて)

 

 それ下手したら床汚れる奴じゃないかよえーっ!お前…ホントお前さぁ…!

 

(いーじゃん。掃除はちゃんとできてるし。あとウンコしながらスマホをいじるのが腹痛いときの一番の現実逃避だってそれいち)

 

 それに関しては同意するけどさぁ…もういいよ…。

 というわけで(どういうわけで?)うるさいうるさい。口挟まない。進まないでしょ?(あい)

 俺達はつつがなーくチェックポイントを回ってる。特段イベントらしいイベントもない。

 食堂キャラの奴?アレはなんというか噂だ。全然遅刻してきたモブ達が図太く食堂で飯食ってるんだが、ソイツらが噂話をしていてそれを小耳にはさむというイベ。覚えとくと損はない。が、デッド・チョイスの時に気を付ければいいだけなのでそこまで気にしなくていい。

 

(とりあえず次は就職?)

 

 そそ。就職と…あと信仰も決めたいかな。ビルドについて説明しておきたくて。あと目標。

 

(目標?ログロじゃないの?)

 

 ログロだけどログロのレベル適正って30~40だろ?最高難易度ならせめて35以上は欲しい。装備も整えないといけないし、時間だって早い方が良いんだから、短期的な目標をガンガン積んで、夏休みで終わらせるぞ。

 

(夏で!?!?早くない?私的には1年掛かるかなって覚悟してたんだけど)

 

 バッカオメェ、ダチが辛いってのにノコノコ一年かけてられっかよ。てか一年掛けてたら死ぬよ?ストーリー的に。

 

(そりゃあ…いやそうだけどぉ。えぇ?ストーリー進めながらサブクエ的に進めるモンじゃないの?)

 

 馬鹿や…女郎?いやバカ犬でいいわ。ド低能ワンコめ…!イケメン共のクソッたれな話よりもお前の方が優先されるに決まってるわ。当たり前だろ。

 そりゃ関わんないと世界崩壊エンド多数あるけども、それだって勝手に自分達で解決しろやって話ですよ。なんで主人公ちゃんに縋る?他人に縋るな自分で助かれ。手だけ伸ばして雛鳥みてぇに口開けて助けを待つよりも足掻いて足掻いて、足掻いた末に助けを求めるなら助けてやらんでもないが。

 

(何?罵倒しながら好感度爆上げするのなんなん?急にSの才能に目覚めた?しゅき過ぎるが!?)

 

 お前の好みに合わせて言ってみただけだが?また俺、なんかやっちゃいました?

 

(あ、ごめん。最後のでちょっと萎えた。心のち〇ち〇(卑猥な意味を持つので規制)萎えちゃった。中折れ)

 

 はぁ?ンだてめぇ…こっちがデレてやったくせによォ~!

 

(ほっちゃん、キレた…!いやまぁ本音で言えばマジで好き。大好き。でも照れ隠しで『また俺』持ってくんのはちょっとどうかと思う。でもでも好感度は天元突破してっかんね。もー、攻略キャラよりもほっちゃんですわ。ほっちゃんしか勝たん)

 

 まぁそう褒めそやすなって。てか見てるこっちもキツイっちゃキツイんだからね?しんどいよ?ダチが悲しい感じで犬やってたら。トイレ行く時に毎回悲壮な顔すんのやめない?

 

(だって辛いんだもん。まぁわかるよ。私もそっちだったら辛いわ)

 

 だからさっさと人に成ろうぜってことよ。つーわけで。

 

「今から君にはごにょごにょ…もとい就職面接してもらいます」

 

「就職面接。学生なのに?」

 

「学生なのに。まぁ3年生でやる人はやるだろうけど」

 

 残念ながらDLC職業のネクロマンサーは本編職業のようにテキトーにボタンカチカチしてたら成れるような職業ではないのだ…。ちゃんと条件を満たして面接を受けてもらわないといけない。

 

 それでは、ネクロマンサーになるにはどうしたらいいかわからず将来の不安に押しつぶされそうな画面の前の君達、特に大学3年生や4年生!4年生はバカ程焦った方が良いと思う(6月)が…そんな、みーなーさーまーのーたーめーにー

 

(オイ馬鹿やめろ!あとその文言は大学生全般に致命ダメージよ)

 

 焦れ、若人。正直何やって良いかわからないならどこの大学にも就職支援課みたいなのあるんだからそこいきな。あとはゼミの先生ね。元大人のアドバイスだよ。

 

(手垢に塗れたアドバイスだなぁ)

 

 手垢がついたものほど真理なことはないよ。話を戻して~

 

「就職対策講座~てってってーてってっててー」

 

(ふっる。てってってーとかいつよ?)

 

 2010年くらいじゃね?まぁそれはさておき…

 

「君にはこれをプレゼント!これで君も就職マスターさ!終わり!」

 

(はっや)

 

 取り出したるは人骨!それも腕の骨!まるで伝家の宝刀のように取り出してそっと城咲さんに渡す。まぁ…ハテナが浮かぶよね。わかる。でも必要なんだよ。

 

「それは所謂スーツみたいなものだと思って。ネクロマンサーの」

 

「ねくろまんさーのすーつ」

 

 わかるぅ…わかるよ。嘘でしょ…ってなるよねぇ。でもそうなんだよ…!それがスーツ代わりになるんだ…!

 

 説明しておくと…。ネクロマンサーという職業は正直なところ迫害の対象だ。職業はゲーム的な要素が強かった為、迫害というイメージはないが、フレーバーテキストやらでちゃーんとハブられていたりする。ローグも白い目で見られる。カナシイネ。

 

 それで迫害されたネクロマンサー達がひっそりと集まり、互いに手助けして生き残ろうと助け合う互助団体みたいになったのが今から向かうところであり、就職面接をしてくれる『魂の夜明け』という…まーその、なんというか…

 

 うん、端的に言おう。暗黒教団だ。

 

 二言目にはすんごく暗黒教団だ。

 

 自分達を迫害した人達を~とか、世界は混沌で満ち溢れるべき~とかそういう思想は特にない。特にないが、[英雄の魂]で追加された神を信仰するちょっとやば気な団体だ。普通に優しいよ?ネクロマンサーという事は隠してるけど、ボランティアとかやってるし。ほぼ慈善で葬儀とか埋葬してくれるし。

 

 ただちょっと…怪しい宗教団体なだけで。ただちょーっと…その、政治的なつながりがあるだけの…やってることはいたって健全なのだ。

 

(実情知ってる私達からすると信用できるけど、事前情報なしならあれほどヤバイ宗教ないよね。ずぶずぶじゃん。政治と)

 

 それね。信者全員が黒ローブ被って、動物の骨を囲って怪しい儀式してんだもん。しかもそれが政治と繋がってるんだぜ?ほぼクロじゃん。

 

(みんな黒だけどね)

 

 犯人的な意味でね?まぁやってること動物霊との交渉なんだけど。死体お譲りできませんかの。

 

(黒ローブ被ってる理由も、みんなシャイだからなのも可愛いよね)

 

 ぱっと見暗黒教団なんだけどね。

 

「この骨の手は俺がちょーっと今から行くところの人達と知り合った時に渡されたものでね。見込みのある人に渡してくれーって感じの奴」

 

「なるほど…紹介状なのね」

 

「そうだね…そうか?」

 

 紹介状が骨の手っていいのか?これがぁ?マジマジと見つめる。うーん、どっからどう見ても人骨。

 

「これ紹介状かぁ…」

 

「……私も言った手前ちょっと不安になってきたわ。一応聞いておくのだけど試験内容はわかるかしら?」

 

「あぁはいはい。動物の骨を一つ持ってくること…だったかな。ただ過程もちゃんと見られるから頑張って正規の方法で手に入れないといけないハズ」

 

「正規の方法…あるの?」

 

「動物霊と交渉できる道具渡されるんだよ。それで動物の死体に近づいて、交渉」

 

「交渉」

 

「成功して持ってくればOK。そのへんすっ飛ばせるのがコレね」

 

 そう、これは面倒な諸手続きをすっ飛ばしてくれるミラクルアイテム…感謝しなさい!

 

「ゲーム的に言えば限界突破を一回済ましてくれるくらいのアイテムだからね」

 

「神of神ね」

 

「もっと神のアイテムあるんだけどね。一日一回ガチャ引き直し」

 

「有償…?」

 

「(ゲットすれば)無償なんだよなぁ…」

 

 やはり城咲さん結構な廃課金ユーザーだな?こちらを見る目が変わる姿を見て共感強まる…。スッと手を出せば固い握手、よしっ、楽しく話せたな!(好感度+1)

 

「じゃ、行きますかぁ」

 

「えぇ、行きましょう」

 

 就職面接れっつごー!

 

~~~~~~~~~~

 

 学園の近くの茂みを抜け、普通に学園外に行く。え?いいのかって?いいわけないだろ。でもしょうがないじゃん…外にあるんだもん…。

 そして、たどり着くは市役所と教会を合体させたような場所…。白い外壁と整然と並んだ受付、おおよそネクロマンサーの根城には見えないソコで、受付の黒ローブの人に話して、数字が書かれた紙を受け取ること1時間弱…

 

「ねぇ」

 

「はーい、城咲さん」

 

 ぼーっとおとなしく待っていると話しかけられる。あまりおっきな声出さないようにね?

 

「あぁうん。此処…役所?」

 

「半分…役所だねぇ」

 

 そう、此処はネクロマンサーの根城である『魂の夜明け』の拠点であり、市役所と教会が悪魔合体してるとかいう大層ヤバめな建物だ。

 

「宗教と公的機関が複合されていいものなの?」

 

「うんとねぇ…」

 

 ダメですよ、当たり前じゃん、そら駄目よ。

 

(こーれは名句ですわ)

 

 だろ~?ま、そういうことですわ。冷静に考えてもアウト過ぎる。政教分離はどうした。俺は静かに考えてからすっと、端的に言葉を口にした。

 

「ダメだね」

 

「あぁ、ダメなんだ」

 

 安心したようにホッとする城咲さん。そりゃね?当たり前よ。大丈夫、君の常識はさび付いてなんかないよ。問題なのはこの社会だ。引いてはこの目の前に広がる光景ということになる。

 

 そうこうしてると、受付の黒ローブ(あのさぁ。流してるけど受付が黒ローブなのは突っ込まないの?)突っ込めないでしょ。これに?こんなナチュラルに外壁の白とローブの黒で見事なコントラストを描いてるのに?コントラってるのに?

 

(知らないよコントラってるのは)

 

 いやまぁ適当こいただけだけどさぁ。案内された会議室には一人のシスターが座っていた。顔見知りだ。俺が会釈すると城咲さんも遅れて会釈する。

 

「どもども、シスター莇生。今日はちょっと紹介したい人が居ましてね」

 

「まぁ…婚礼ですか?」

 

就職です

 

(ンだぁこのアマァ!?テメェのその乳噛み千切ってやろうか!?あァン!?)

 ステイステイ。狂犬かて。

 目の前におわすは黒のシスター服を身にまとってさえ『うぉ…でっっっっっっっっっ』となる恵体の女性…もといシスター莇生さんだ。

 下々を睥睨する視線、全身黒いという怪しさ、恵まれた身体からあふれる異様な雰囲気…身長193cm、体重は不明のだいなまいとぼでー。おっぱいデカいと思ったそこの男子諸君、シスターに懺悔なさい。まぁ高身長で目立たないけど普通にデカイもの持ってんだよね。ちな彼氏持ち(脳破壊アタック)

 

「改めて、ようこそ…魂の夜明けへ。霧島様。日頃よりお世話になっております」

 

「いえいえ、こちらこそ大変お世話になっております」

 

 丁寧なお辞儀にて出迎える姿はまさしく聖職者そのものだが…

 おい!神に仕える奴が恋人作ってえぇんか!?となるが、残念シスターが信仰してる神はそこらへん肝要だし、なんなら彼氏は彼女に全部吸われたんかってくらい低身長のショタだ。ちなみに同級生だ。オネショタという業の深いカップルである。まぁそれはそれとして同人人気は強かった。

 

(彼氏持ちだからまだいいが…次不用意な発言したらその乳はっ倒すからな…)

 

 その乳に対するエグい嫉妬なんだよ。お前って前世じゃどちらかと言えばある側の人間だったろ。よくひんぬー煽りしてたし。

 

(今はほっちゃんを魅了するすべての乳に憎悪するようになったから)

 

 その俺への執着心なんなん?嬉しいっちゃ嬉しいけど複雑になるんだよ。前世知ってる分。

 

(だってぇ!前世ライバルとか居なかったし、結婚願望とか特になかったけど30歳とかになったらなし崩しゴールすんだろなみたいな感じあったじゃーん!でも今違うじゃーん!)

 

 あ、ったか?いや…あー…なんか。言ってたわ。言ってた言ってた。飲みの時言ってた。貰い手いなかったら貰ってやる的な奴ね。あーはいはい。アレかぁ。

 

(え、嘘。忘れてたん?)

 

 そりゃ酒の席の言葉ほど信じられるもんないでしょ。

 

(それはそう。でも今世はその言葉を鬼の首モーニングスターくらい振り回すからヨロ)

 

 やめろよ。鬼さん可哀そうだろ。しかも鬼のモーニングスター言ったら別の奴になるじゃん。死に戻りのね。いや、今関係ねぇわ。今世ライバルいたぁ?

 

(いるよニブチン!あ待って。良い。良いわ。そのままの君で居て。あとほっちゃんほらデカパイお嬢様好きじゃん?)

 

 あぁ、まぁね。見た目もそうだし中身も好きだよ。普通に惚れるよ。バイタリティがすげぇし。

 

 デカパイお嬢様というのはインソムニアにて登場する光の悪役令嬢だ。闇の悪役令嬢も存在する。多分、制作側がよくある改心するタイプの悪役令嬢と、徹頭徹尾変わらない悪役令嬢両方出したかったんだろうなって感じのキャラ造形だ。闇の悪役令嬢さんも人気がある。大体女版デ〇オ様と思ってくれていい。カリスマがあって、学園を支配してやらんと野心マシマシの仲間には優しいタイプ。アレ…そう考えると普通に良くないか?

 

(ダメダメ。やってることが、コトよ)

 

 ハッ、そうだった。危ない危ない。危うく取り込まれるところだった。

 闇の悪役令嬢さんはやることなすことがちゃんと悪なのでそのカリスマに目を潰されると大変なことになる。再生能力持った奴に躊躇いなく爆弾持たせるなよ。テロ行為だぞ。

 とまぁそれとは反対の光の悪役令嬢もといデカパイお嬢様は、庶民が考える優しいポンコツお嬢様を思い浮かべれば大体それだ。嫌がらせも可愛いものだし、結構な頻度でドジする。なんなら、最終的に没落するのだが、すぐさまバイト戦士になってバイトリーダーこなすくらいバイタリティが高い。ラーメン屋バイトスチルは必見だぞ。

 

(高カロリー爆弾を賄いで平らげる狂気スチル好きだけどさぁ…)

 

 全盛ラーメンかっ喰らう奴ね。マジ好き。可愛いが過ぎるもん。いっぱい食べる君が好き。

 

(クソッ、可愛さ全盛しやがって…!私許せねぇよ…!)

 

「ねぇ」

 

 それがいいんだろ?それと違ってお前はさぁ…

 

「ねぇってば」

 

「あ、はいはい。すんません。ちょっと上の空になってやした。なんでござんしょ?」

 

(なして三下?)

 

 いいだろ三下。三下すこってけ。

 

「この人が…就職面接の人?」

 

「そうだね。見た目のインパクトすごいし、シスターが?って思うだろうけど普通にネクロマンサーだよ」

 

「はい。わたくしシスター莇生は、当教団のシスターであると同時に教団における人事・事務を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします」

 

「よろしくお願いいたします。……神を信仰する人達がネクロマンサーでいいの?」

 

「えぇ。神は御許しになられています。それに、わたくし共は“同意”の上で行っておりますのでそんじゃそこらの野良ネクロマンサーとは違うのですよ」

 

「野良ねくろまんさー」

 

 ふっと頭に浮かんだのは草むらの中から威嚇してくる黒ローブだ。段ボールに入ってる。野良…

 

(多分組合に所属しない個人ネクロとかのことなんじゃない?)

 

「あー、個人営業って組合側とかからすると嫌ですよねぇ」

 

「本当に…そうなのですよ…!おわかりいただけますか霧島様…!」

 

 あ、なんかすごい共感の嵐だ。ふと出た言葉でこんな共感されるなら相当苦労してんだろうな。

 

「わたくし共としても個人営業を否定できる立場ではありませんが、個人だからと好き勝手に動かれてしまうと全体の評価に影響してしまうので…ただでさえネクロマンサーという職業は白い目で見られやすい故に、デリケートに接しなくてはいけません。組織としてのしがらみ等もあって嫌がるのはわかりますが、だからといって……」

 

「あ、はいはい。莇生さん。そのあたりにしときましょ。就職就職」

 

「あ、申し訳ありません…!少々資料を取ってまいりますのでお待ちください」

 

 そうして離席したのを見送り…

 

「(ねぇ)」

 

「(はい、なんでござんしょ)」

 

「(この施設もそうだし今の話聞いてると思うのだけど、思ったよりネクロマンサーって公的なお仕事なの?)」

 

「(半分そうで半分違うね。ちょっと政教分離云々のデリケートなところをつつくことになるけど聞きたい?)」

 

「(あ、ごめんなさい。遠慮するわ)」

 

 そうだよなぁ…!聞きたくないよなぁ…!ネクロマンサーがなんで半公的施設みたいな場所をやってるのかとか、こういうのって地下でやってるんじゃないのとか、紹介状代わりの骨の手とからしいもの渡してきたクセにガチガチなのかとか、ネクロマンサーに個人営業とかあるのかとかなぁ…!

 

(聞いたって楽しくないというか、ガチガチの政治的、歴史的なアレコレっていうまぁ興味ある人は好きな感じの設定ばっかだよね)

 

 それな。普通に面白いけどね。でも暗黒教団が(政治的な意味で)暗黒教団なのは制作おかしいと思う。なんでそこ捻った?

 

(普通にしたくなかったんでしょ…)

 

 捻るにしたって捻り方ってもんがあるでしょうに…。

 さて、そうこうしてると資料を手に戻ってきたシスター莇生。てかここ普通に会社の会議室みたいなとこなんだよな。そこに恵体のシスターと学生二名っていう絵面の強さよ。それは言いとして…こっからが本番だ。

 

「えぇ、それでは改めてご用件をお伺いいたします」

 

「はい。私、城咲 凛はネクロマンサーになる…就職するために来ました」

 

「えぇ、ありがとうございます。霧島様は紹介者ということで」

 

「ですね。骨の手を渡しました」

 

「なるほど、紹介者としての取り決めは…」

 

「もちろん理解しています」

 

 紹介者…つまり骨の手を渡した相手がなんらかのミスや問題を起こした時に一緒に責任おっ被るのが役目でもあるのだ。そこらへんは重々承知よ。

 

(アレ?それって責任取る……ッて…コトッ…!?)

 

 誤解を招くような事言うんじゃねぇ!責任は責任でも真面目な奴だよ!

 

「それでは城咲様。ネクロマンサーについての概要と簡単な質疑応答をさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします」

 

「はい。よろしくお願いいたします」

 

 というわけでネクロマンサーがどういった職業なのか、何をするのか、報酬や休日、就業規則を含めて…ってあー…

 

「莇生さん莇生さん。ダンジョンの方の就職です」

 

「あ、あー…なるほど。失礼いたしました」

 

「違うの?」

 

「違うというかガチの就職面接やってたって感じ。ダンジョン潜るならあんなガチガチじゃないよ」

 

「失礼いたしました。ダンジョンの方であれば大分省かせていただきます。紹介状をお持ちですし。重要な二点だけをお伝えしますね」

 

「よろしくお願いします」

 

「ネクロマンサーで気を付けなければならないことは亡骸を大切にすることでございます。ダンジョンでの運用の場合、敵となる魔物の骨を使用しますが、最初は他者の亡骸から力を借りることになります。同意なき使用はご法度ですのでお気を付けください。また、亡骸を無理やり使用しているネクロマンサーが居た場合、報告義務が発生します。よろしくお願いいたします。同意なき使用と報告義務、この二点がダンジョンでのネクロマンサーが気を付けるべき点となります。」

 

「はい、わかりました」

 

「ではこちらの方にサインをお願いします。血判も」

 

「血判…?」

 

 いや、ごめん城咲さん。やらなきゃいけない奴だから安心して。血判ってので大丈夫?ってなるのはわかるけど。疑心暗鬼の目で見られるが大事なことなのでやってくださいな。その疑いもわかるよ。政教分離が出来ていないグレー施設の契約ほど怪しいモンはないってわかるけど…!大丈夫。献金とかないから。御布施は~…あるけどちゃんとメリットあるやつだから。具体的に言うと信仰ツリーの効果上昇。

 

(やべぇ契約書じゃん)

 

 こら。ちゃんと公的な契約書だよ。呪いみたいなのあるけど

 

(やべぇ契約書じゃん)

 

 …まぁね。

 

 そんなしちめんどくせぇお役所仕事的な面接が終わり、晴れて城咲さんはネクロマンサーになることができた。

 用が済めば退散しなければ…。なんせ、普通に学校ある日なもんでね?え、それに関してとやかく言われないのかって?だってシスター莇生、学生に手出してるやばい奴だぜ?ねぇ…?

 

 どうせシスター莇生は後々関わることもあろう。ついでとばかりに信仰を貰って、戻り際で説明することにした。

 ステータスはこうだ。

 

――――――――――

ステータス

名前:城咲 凛

性別:女

年齢:16

種族:ヒューマン

ジョブ:ネクロマンサーレベル1

属性:ニュートラル・イビル

 

HP:70/70

MP:66/66

ST:38/38

 

 

能力値

筋力:31

敏捷:34

耐久力:35

知性:73

精神:52

 

 

信仰

死の神タナトス 信仰ポイント0(0)

 

スキル スキルポイント1(0)

『死霊術Ⅰ』死体を強化することができる。死体を使役した時に基礎ステータスが「術者の基礎ステータス10%」加算される

 

『骨の矢Ⅰ』武器カテゴリ:杖で使用可。「(武器ダメージ)×100%」の遠距離攻撃を行う。クールタイム:10秒

 

『サモン・スケルトンⅠ』武器カテゴリ:杖で使用可。触媒:骨を使用し、スケルトンを「3体」召喚する。クールタイム:60秒

 

武器

なし

 

 

防具

なし

 

 

――――――――――

 

「お、信仰とスキルが生えたね。信仰はレベル5にならないとあんま意味ないからあとで良いかな」

 

「わかった。スキルって…なんとなく理解できるけどなに取ればいいのかしら?」

 

「そうだねぇ…。え、あー…待って。俺ってもしかしてジョブの説明したけどスキルの説明してなかった?」

 

「確か…?」

 

「ごーめん!普通に忘れてた!えっとね!スキルはジョブ就くと生える奴で、原則的にレベル1上がるごとに1ポイント。スキルツリーがあるからそっから色々取ってく感じだね。ネクロマンサーのスキルツリーはこれ」

 

――――――――――

 

スキルツリー スキルポイント1

 

死霊術Ⅰ

├魂縛──怨霊──死霊王

│├恨み骨髄┘   │

││└死者の沈黙  │

│└────残虐な宴┤

├粉骨───葬送人 │

│├溢れ出る恨み  │

│└クリメイション─┘

├収穫祭───復活祭

│└ディストーション

├結魂の儀式

│└這い寄る死─デッドライン

└冷害

 

骨の矢Ⅰ

│├骨槍─骨弾─骨雨

│├骨斧─巨人砕き─死砕き

│└穿骨─穿嵐─穿山

└ブラッドメイデン─ブラッドジェイル

 ├ブラッドパドル─ブラッドスワンプ

 └ブラッドブライト─ブラッディメアリー

 

サモン・スケルトンⅠ─サモン・スケルトンナイト─サモン・スケルトンジェネラル

├サモン・ブラッドビースト─サモン・ブラッドキメラ─サモン・ブラッドドラゴン

├サモン・ゾンビパペット─サモン・ゾンビゴーレム─サモン・フランケンシュタイン

└死者の洗礼─死人の招き─拡散する死

 

――――――――――

 

「すごく…こう…心躍るわね」

 

「でしょ~?」

 

 オッ 心に刺さったかぁ~?いやぁ、そうだよね。そうだよね。城咲さんこっち側だもんね!へへっ。やっぱゲーマーたるものこういうスキルツリー見るだけで嬉しくなっちゃうよね。

 

「ちなみに、今ローマ数字のⅠってある奴は最初から取得済みの奴ね。こっからどんどこレベルを上げてスキルレベルを上げるなり、新しいスキルを獲得するなりするわけ」

 

「貴方のスキルにはそれとは別にカスタム?というのがあったと思うのだけど」

 

「それはスキルレベルがⅢとⅤの時に獲得できる拡張要素かな。パッシブ…つまり常時効果を発揮するタイプの効果が付くよ」

 

「なるほど…。有識者に聞くわ。どれを振ればいい?」

 

「そうだね…、まずネクロはビルドがあるって話したよね?で、数の力で押し切る死霊王ビルド、数を揃えて多段ダメージを与える死体損壊ビルド、ダメージを与えて回復する収穫祭ビルド、特殊も特殊ブラメアビルド。大体この4つが有名かな」

 

「死体損壊ビルド…気になるわね」

 

「だよね。ずっと言ってたし。死体損壊ビルドは装備も含めて必要な物はあるけど、スキルで取っとかないといけないのは『恨み骨髄』『粉骨』『復活祭』『死者の洗礼派生』と適当なアンデッド。まずはこれ等を取ってもらわないと始まらないね」

 

「それぞれの説明お願いしても?」

 

「OK。まずは『恨み骨髄』効果はシンプルで、死体がやられた際に周囲の敵にダメージを与える」

 

 効果説明としてはこうなる。

 

『恨み骨髄Ⅰ』死体のHPが0以下になったとき「10%」の確率で発動。周囲の敵に「30%」のダメージを与える

 

「最初は低レベルだからしょっぱいけど育てるとカスタム含めて強くなるね。これが核になる。次に『粉骨』。効果は一部の攻撃を受けたアンデッドが確率で同種類のアンデッドを呼び出すというもの」

 

『粉骨Ⅰ』死体が打撃・衝撃による攻撃を受けた時「5%」の確率で発動。HPが「20%」の状態の同種死体を生み出す

 

「どんどん行くね。次は『復活祭』これもシンプル。死体がやられたときに確率で復活する」

 

『復活祭Ⅰ』死体がやられた時「2%」の確率で発動。HPが「10%」の状態で復活する

 

「最後に『死者の洗礼派生』これはアクティブ系のスキルで、俺で言うところの『盗賊の連撃』だね。効果は死体を爆発させる」

 

『死者の洗礼Ⅰ』武器カテゴリ:杖で使用可。死体一つを犠牲に「(武器ダメージ/3+死体の基礎攻撃力+死体の残存HP)×50%」のダメージを与える。属性:呪い クールタイム:45秒

 

「これらを組み合わせると大層面白いことになる。まず、死体を『死者の洗礼Ⅰ』で爆発させる。爆発させると、『粉骨』の効果でアンデッドが増殖する。増殖したアンデッドが敵にやられたり、再度『死者の洗礼Ⅰ』を喰らう。すると『恨み骨髄Ⅰ』と『復活祭』が発動してランダムで復活しながら周囲にダメージを与える。死体の連続爆破による多段攻撃を行うえげつないビルド。そのやり方から死体損壊ビルドとして言われている。」

 

「えげつなさすぎじゃない…?」

 

「でもベストだから…」

 

 確かにやり方終わってるんだよな…。あぁあと

 

「学校で言ってた『バールのようなもの』はアレ、打撃なのよ。武器のカテゴリ的にね。しかもノックバック付き。どういうことか…わかるんじゃない?」

 

「……もしかして、『死体の洗礼』以外で死体を増やすために自分からアンデッドを殴る為のもの…?」

 

「イグザクトリー!察しがいいねぇ!ノックバックがあるってことは敵に向けて飛ばしやすいってことでもあるから『死者の洗礼』のクールタイムの間は死体ホームランダービーが始まるぜ!」

 

「最悪ね…死体損壊ビルド…恐ろしい…恐ろしいけどすごい効率的…」

 

「そりゃ先人達の積み重ねてきた叡智の結晶だからねぇ」

 

 積み重ねてきた結果、死体を損壊し始めるところに行きついたのはとても業の深いものなんだが…

 

「ん?でもネクロマンサーって死体の持ち主に交渉しなくちゃいけないのよね?それで死体を損壊しちゃダメじゃない?」

 

「……気づいてしまったか。この問題に」

 

 そう、ゲームの時ならいざ知らず、此処は現実。ちゃんと死体にも意識がある為に交渉は困難を極めるだろう。誰が好き好んで爆弾になりたいというか。そういう問題だ。

 

 だから、城咲さんにはネクロマンサーになることが始まりではない。好きに使ってもいいという死体を見つけてから始まりなのだ。そう…

 

「城咲さん、貴女の最初の仕事は、爆弾になってもいいというドMの死体を見つける事です」

 

 城咲さんの目から、ハイライトが消えた。




 そりゃあ(現実に考えると自分の死体を触媒に操られて増やさせられて爆弾にされる奇特な死体なんてドMしかいないんだから)そう(いう人を探すしかない)よ
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