この話から初めて読む人は雰囲気で察してもらうところが多くなるかもしれないので先に謝っておきます。ごめんなさい。
チュンチュン、と雀の鳴き声が聞こえる。
サッサッ、と箒を掃く音が聞こえる。
「ん……んん……」
重い目蓋をゆっくりと開き、ぼやける視界で周りを見る。
暗い。
隙間からほんの僅かに光が入って来ているものの、それでも暗い。
周りにあるのは木でできた壁に床、所々に御札が貼ってあり、祭壇らしきものもある。
少し気味が悪い。
広くも狭くもないそんな空間の真ん中にポツンと一人。
夢でも見ているのだろうか?
だとしたらあまり好きな夢じゃないな……
重力を感じる体を起こし、ふと、上を見上げる。
そこにあるのは知らない天井。
今までこんなところ見たこともないのに……
夢というのは不思議なものだ。
床を触る。
少し、白く見える床を撫でるように触ると、案の定指にホコリがついた。
夢ならば、もう少し綺麗な床にしてほしい。
それよりも──
「ケホッ、ケホッ……」
ホコリっぽい……それも全体的に……
長い間換気されてないんじゃないかと思うほどに……
目に見えてホコリが舞っている。
嫌な場所だ……
夢なのに、こんな思いをしないといけないのか……
立ち上がると、私が寝っ転がっていた場所に私型の跡ができている。
きっと背中にはホコリが大量についているんだろう……
軽く背中と頭を払う。
「ケホッ……」
ここでやったら余計ホコリが舞うだけだった。
私はこの空間に入ってくる光の入り口を探した。
そこが出入口になっていると願って……
(ん……?)
少し探すと、それらしきところを見つけた。
下から光が漏れているその壁を触り、開けられるところがないかを探す。
「──!」
あった。ここに手をかけられる場所がある。
引き戸になっているのだろうか?
私はその戸を引いた。
しかし、その扉は開かなかった。
すごく重いのか、すごく固いのか……
もう一度、私は力を入れて引いた。
「ん…んん……」
固い……すごく固い……
びくともしない扉を引き続け、開くのを待つ。
すると、ギィィ、と低く鈍い音を立てながら、扉が少し動いた。
私はさらに力を入れて、扉を引く。
固かった扉は徐々に開き始め、開いた隙間から外の光が入ってきた。
(もう少し……)
ゆっくりと開く扉を引き続けていると、急に扉が一気に動き、バーンッという大きな音を立てて開かれた。
私は急に動いたせいで、バランスを崩し、尻餅をついた。
「いたた……」
痛い……なんでこんな目に……
夢は痛みを感じないものじゃないの?
私は立ち上がってホコリを払い、開いた扉から外を見る。
すると、目を丸くして固まっている巫女服の少女と目が合った。
◆◇◆◇
「ふぅ……」
巫女さんはホコリを払うように手を叩いて、一仕事終えた感を出す。
私は縄でぐるぐる巻きにされて、捕まっています。
「──で、」
巫女さんは片足を私に乗せ、手に持つ何かを構えて、私に話しかける。
「どっから入って来た?」
私はビクビク震えながら巫女さんの方を見る。
巫女さんというのは、もっとおしとやかで心優しい人ではないのだろうか?
こんないきなり殴ってきて、縄で縛って、片足を乗せてくるような人ではないはずだよね?
ち、違うよね?
「…だんまりか……」
いや、口も縛っているんですよ……
喋れないんだって……
「んー、んー」
私は喋れないことをアピールするために、今出せる精一杯の声をあげる。
「……」
巫女さんは私の顔をジーッと見る。
気づいたかな?
「──発言権があると思ったのか?」
終わった──
「どちらにせよ、一度ボコす。それはもう決めたからな」
勘弁してよ……
ジト目で私を見つめる巫女さんは手に持つ何かに力を溜めているのか、光が収束していっている。
もうダメなのだろうか……?
ここで死ぬのだろうか……?
もうわかってるよ、夢じゃないって……
殴られた時すごく痛かったもん。
私は目を瞑り、死を待つことしかできなかった。
「──蠕?▲縺ヲ」
その時、不思議な声が聞こえた。
何を言っているのかわからない、言語と言えるのかも怪しい言葉だった。
私は恐る恐る目を開ける。
そこには巫女さんと、空中から生えている腕があった。
腕は扇子?か何かを持っていて、畳んでいるそれで巫女さんの持っているものを私とは違う方向に向けさせている。
助かった?
う、腕に助けられた?
「──⁉」
私が困惑していると、腕が空中に引っ込んだ。
「──紫」
巫女さんはそう呟いた。
紫?
さっきの腕の名前だろうか?
そんなことを思っていると、コツッと靴の音が聞こえてきた。
「?」
私は体をゴロンと回転させて、音した方を見る。
そこに居たのは顔を隠した不思議な女性。
若干の不気味さを持つ彼女は腕を横に伸ばす。
「──!」
すると、空間が裂けたように開いたではないか。
彼女はガサゴソと何かを探すようにその裂け目を漁っている。
一体何を取り出すのだろうか?そんなことを思っていると、彼女はそれを見つけたようだ。
スッ、と腕を引き取り出したのは──
小さなホワイトボードとペンだった。
え?
私は困惑した。
それで一体何をするのだろうか?
この状況をお題として、おもしろ回答でもするつもり?
彼女はキュ、キュ、と手に持つホワイトボードに何かを書いていく。
書き終わった彼女はホワイトボードをこちらへ見せる。
『その子誰?』
ホワイトボードにはそう書かれていた。
どういう状況なのだろうかと困惑していると、それに対して巫女さんが答えた。
「知らん、気づいたら入り込んでいた」
「野良の
『入り込んでいた?』
「ああ、朝、掃除してたらこいつが突然神社の中から出てきた」
二人は会話をしている。
それなりにスムーズに会話をしているものの、やはりボードに文字を書くために一瞬会話が途切れているのがもどかしい。
それにしてもこの体勢も疲れた。
少し上を向いていよう。
「お前はどう思う?」
『異変に関係してるか?』
「ああ」
疲れてボーッと空を眺めていると、突然顔を隠した彼女が視界に現れた。
一瞬ビクッとしたが、特に何かされるでもなく、ただ観察しているというような雰囲気だった。
「何かわかったか?」
『さあ?』
『でも、一つだけあるわ』
『この子、妖怪じゃないと思うわ』
なぜ本編の方で出さなかったのかだって?
……どこに差し込めばいいのかわからなかったからです。
こちらの小説を見て、気に入っていただければ是非本編の方もどうぞ。
追記 次話に超簡易的な世界観等の説明を追加しました。
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