私が光となれたなら   作:メイア・カルテシア

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大雑把簡易説明
世界観─
この世界は複数の世界が混ざってできた世界
そのため、普通の世界と違う部分や普通の世界には無いものなどがある。


精霊

「妖怪じゃない?どういうことだ?」

巫女は目の前の彼女にそう聞く。

 

『どちらかと言うと、霊かしら?』

「霊?」

巫女は地面に寝っ転がっている縄で縛られたそれをじっと見る。

 

 

「確かに……妖怪、って感じじゃ……ないな」

しかし、巫女が言ったその言葉には、自信があるようにはあまり感じられなかった。

『怨霊や神霊というよりも、精霊(・・)かしら?』

顔を隠した彼女はホワイトボードに書いた文字を巫女に見せ、会話をしている。

 

 

『気配が感じ取りづらいけど』

 

 

「精霊……?それにしてはこいつ……」

『言いたいことはわかるわ』

 

 

『はっきりとはわからないけれど』

『ここのものとはそもそもの構造が違うようにも思えるわ』

「構造が?」

巫女はその言葉が引っ掛かったようだ。

 

『ええ、幻想郷に存在する精霊とは構造が少し違う』

「……ってことは、つまり」

『この子は()から来たのでしょうね』

 

二人は私の方を見る。

さすがにそんなに見られたら恥ずかしいな……

 

「……その言いぐさからして、お前じゃないのか?」

巫女は容疑者として考えていた人物に対して一応の確認をする。

『ええ、私は何もしてないわ』

彼女は自分は違うということを強調するように頷いている。

 

「だったらますます怪しいじゃないか……」

巫女は更なる面倒事の気配を感じて、少し項垂れる。

 

あれ?なんだか雲行きが怪しいような……

 

「……」

ホワイトボードを持つ彼女は少し考える。

その後、ボードに素早く文字を書き、巫女に見せる。

 

『まあ、そうね』

「……はぁ」

巫女はため息をついて彼女を睨んでいる。

 

 

何を書いているのかは私からは見えないが、巫女さんの顔からあまりいいことは書いていないだろうということは伺える。

 

 

「怪しいし、とりあえず何かわかるまではこのままか…」

巫女は仕方ない、と思い至ったのかそう言った。

 

『頑張って!!』

それに対し、彼女は何を思ったのか、そう書かれたボードを見せてくる。

「他人事みたいに……」

巫女は呆れたように言った。

 

 

巫女さんは屈んで私の口を塞いでいた縄を取った。

「?」

少し怖いけど、ゆっくりと巫女さんの方を向く。

 

「……」

巫女さんはまだ私のことを警戒しているということが顔から察せれた。というより、顔からにじみ出ている。

 

「お前、名前は?」

巫女さんは突然そう聞いてきた。

 

いや、そういうのは自分から名乗るものだって言いたいけど、それを言ったらタダじゃすまないだろうからやめておく。

 

「よ、陽」

「陽?」

 

「『(よう)』……です」

機嫌を損ねてはいけないし、一応敬語で話した方がいいだろうということで、遅れ気味だったかもしれないが『です』を付けて敬語にする。

 

 

「……魔理沙」

「?」

「博麗魔理沙だ。敬語はなくていい」

巫女──魔理沙は端的にそう告げた。

 

 

「は、はい」

しかし、互いの名前を知ったところで別に距離が縮まる訳でもなく、その圧に萎縮する。

 

「で、お前は何だ?」

「そ、それはどういう……」

恐る恐る聞き返す。

 

 

「……どこから来た?何で神社の中に居た?まさか、異変の関係者じゃないよな?」

魔理沙さんは矢継ぎ早に聞いてくる。

「いや、その……私も何であんなところに居たのかは分からなくて……目が覚めたら、あの場所に居て……」

怖いよ……怖いよ魔理沙ちゃ……さん。

絶賛生殺与奪の権を握られてるから下手なこと言えないよ……

そして、何でそんなにピリついているの?

 

 

『駄目よ魔理沙。怖がっているじゃない』

「あのなぁ、お前現状分かってるよな?だったら─」

『分かっているわ。だからこそ、こういう時は冷静になりましょう?』

「……はぁ」

嗜めてくれてるのかな?それだったら嬉しいのだけど……

 

 

「……お前は異変の関係者か?」

魔理沙は横目で陽を見ながら、そう聞く。

「……その、異変って何なの?」

 

 

魔理沙は少し考えた後に、再度質問する。

「……お前、ここに来る前はどこに居た?」

「ここに……」

そう聞かれ、陽はあの場所で目が覚める前のことを思い出す。

 

 

「私は……」

 

えーっと、確か……

 

 

どこか、人のいた……

 

 

そうだ……

 

 

「──()に居た」

「村?」

 

「うん、どこか……小さな村……」

「そこで、何してたんだ?」

 

 

 

「……所謂──守り神(・・・)みたいなものかな?」

「守り神……?」

 

 

 

「私の居た村の住民たちを、災害や疫病から守る。それが私の役割」

 

 

うん、そうだ。

それが私の役割。

 

……あれ?

 

 

私、こんなところに居ていいのかな?

 

 

 

陽の顔が暗くなっていく。

「──だから……だから……」

戻らないと……

 

「……?おい、大丈夫か?」

 

そうだ、みんな待ってる……

「戻らないと……」

「も、戻る?もと居た村か?」

魔理沙は聞き返すが、反応がない。

 

「……はやく、戻らないと……」

こんなところに居ては駄目だ。

 

陽は何か大切なことでも思い出したのか、必死に身をよじって縄をほどこうとしている。

 

 

「紫、あいつはどうしたんだ?」

突如様子の変わった陽に魔理沙は困惑する。

『さあ?元々いた場所へ帰ろうとしているのかしら?』

「捕らえた方がいいか?」

 

 

『いえ、少し様子を見守りましょう』

一体何を企んでいるのだろうか、と思いながらも魔理沙は紫に言われたように見守ることにした。

 

 

「はやく……みんな……」

帰らないと……みんなが……

 

必死で身をよじっても縄がほどけそうな気配はない。

身をよじったことで幾らか前には進んだが、縄がほどけないとそれも意味はない。

 

 

早く……帰らないと……

 

 

その時だった。

「──っ!」

魔理沙と紫はそれを目撃する。

 

 

それは、陽の体を拘束していた縄がほどける光景だった。




大雑把簡易説明
魔理沙─
この世界での博麗の巫女
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