私が光となれたなら   作:メイア・カルテシア

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夏はやっぱりアイス食べたいよね


今こうして

「ここが……」

陽はその建物を見てそう呟く。

「ああ……話の通りの場所と見た目……」

魔理沙は聞いた話を思い出しながら確認をする。

 

「ここが人形屋敷(・・・・)で間違いねぇな……」

 

 

 

今回、私と魔理沙ちゃんが来ることになったのは、巷で人形屋敷と呼ばれている森の中の一軒家。

 

ここは最近、人里の人間──特に若者の間で噂になっている、所謂心霊スポット。

若者を中心に、ここに肝試しに来たり、噂が本当かを確かめに来る人が後を絶たないというのだが……

実際にここに来て行方不明になった人もいるため、私と魔理沙ちゃんで調査をすることになった次第だ。

 

「行くぞ、陽」

「うん」

覚悟を決め、私たちは人形屋敷の中へと踏み入れた。

 

 

----------------

 

 

「魔理沙ちゃん……」

「ああ、わかってる」

陽と魔理沙は周囲を警戒する。

 

 

人形屋敷に入ったはいいものの、踏み入れてからすぐに、私は……いや、私たちは異様な気配を感じていた。

 

 

人形屋敷の中は聞いていた通りの光景。

誰も住んで居らず、部屋の中には大量の人形がびっしりと並んでいる。

これだけでも十分異様ではあるが、私たちが感じたのはそれではない。

 

 

多い(・・)な……」

魔理沙は思わずそう呟く。

 

私たちが感じた異様な気配──

それは、この家中にいるおびただしい数の霊から感じたものだった。

 

 

「分担するか……」

魔理沙の提案に陽は頷く。

「じゃあ、陽はこの部屋を頼む」

「魔理沙ちゃんは……?」

一応確認のために聞く。

「私は他の部屋をやる」

 

 

「そう……わかった」

そうして、魔理沙が部屋から出ていき、この部屋に陽一人となった。

 

 

────────

 

 

それは魔理沙が部屋から出てすぐのことだった。

 

カタッ、という音がこの部屋の中で鳴った。

しかしながら、その音の発生源は陽ではない。

 

 

「……」

その音を出した者の正体はすぐにわかった。

 

 

先程までその姿を見せなかった霊たちが一斉に姿を現したのだった。

そして、その中には部屋にある人形に取り憑いている者もいた。

 

(すごい量……)

改めて実際に見ると、やはりその数は相当なものだった。

それは、部屋の中があっという間に霊で埋め尽くされてしまうほど──

 

陽は構える。

 

そして──

 

 

──『炎狐(えんこ)

 

 

陽は火を纏い、戦闘準備を終える。

 

 

 

 

 

時の流れというものは早いものだ。

妖夢ちゃんと出会い、蟲と戦ったあの日から時は過ぎ─

気づけば魔理沙ちゃんと出会ってから数ヶ月が過ぎていた。

あの日以降も人助けを続け、私の記憶は順調に戻っていった。

 

 

 

陽は周囲を燃やして霊を一掃する。

 

 

 

あ、そうそう。

この、火を纏う『炎狐』。

この技、私が昔使っていた技だったの。

蟲との戦いで私がそれに近いことをしたお陰か、その数日後にその記憶が戻ってきた。

どうせならあの時に戻ってほしかったのだけど……

まあ、蟲には勝てたことだし……いいか……

 

 

飛び交っている霊を一気に燃やし、人形に取り憑いている霊には火球を当てて焼き尽くす。

この部屋に居た霊もだいぶ減ってきた。

 

焼けた人形が床に落ち、焦げた臭いが漂ってはいるが……

清掃に来た訳じゃないし……

まあ、とにかく霊を倒すことに集中しよう。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「ふぅ……」

こんなところかな……

 

この部屋の霊を倒し始めてから早数分──

この部屋に居た霊は全て倒し終えた。

 

 

魔理沙ちゃんは大丈夫かな……?

 

 

一人でその他の部屋を担当していると思う魔理沙を心配する気持ちもあるが、まあ魔理沙なら大丈夫だろうと思うところも陽にはあった。

陽は一息つき、この部屋を後にしようとする。

 

まだかかりそうだったら手伝おう、と思いながら部屋の扉を開けて出ようとした時だった。

 

 

 

 

 

陽の頭の横にある壁に勢いよく御札が刺さった。

「あ、あ……」

それに対し陽は何も言葉を発せれなかった。

 

「あ、悪い」

そう謝りながら魔理沙がこちらに来た。

 

「う、うん……大丈夫……だよ……」

少し目に涙を浮かべて陽は答えた。

 

 

「……」

陽は魔理沙の来た方を見る。

そこにあったのは壁や床中に御札が刺さっている光景。

 

手伝いはいらなそうだね……

 

その光景から陽は手伝いはいらないだろうことを察した。

「そっちは終わったの?」

一応陽はそう聞く。

 

「ああ、終わったぜ……後はアイツだけだ」

魔理沙はそう言いながら指を差す。

「……えっ?」

 

魔理沙の指差した方向を見ると、そこには宙に浮く人形が居た。

他の人形と同じ……いや、装飾とかが他の人形よりも良いものを着けている。

 

 

先程と同じようにして人形を倒そうと、手に火球を作り始めた時──

「──っ」

顔の横を何かが通りすぎた。

それを感じた直後、頬から血が垂れる。

 

自身の背後を横目で見ると、そこには血の付いたガラスの破片が落ちていた。

 

人形の方を見ると、その周りには壁に掛けられていた額縁や廊下にあった小物入れのような家具などが浮いている。

 

チェストのような家具から引き出しを抜き取り、抜き取った引き出しをこちらへ投げ飛ばしてきた。

 

こちらへと飛んでくる引き出しを魔理沙が弾き飛ばし、即座に御札を人形へ飛ばす。

人形は御札を家具で防ぎ、額縁を壁に叩きつけて、割れたガラスをお返しとばかりにこちらへ飛ばしてくる。

 

それを陽は火球を飛ばして爆発させることで防いだ。

それと同時に、爆発によって生まれた煙がこの場を覆っていく。

 

 

魔理沙は煙で視界が遮られている隙に人形へ御札を飛ばす。

しかし人形はそれを当たる寸前で防ぐ。

 

 

 

 

次の瞬間、人形の目の前には陽がいた。

 

 

人形が許した一瞬の隙に、陽は人形へと接近していたのだった。

陽は移動しながら手に溜めていた火を人形に向ける。

人形はそれを防ごうとするが、人形がその攻撃を防ぐよりも早く、火が人形を飲み込んだ。

 

さらに追い討ちをかけるように、魔理沙が新たに飛ばした御札が人形の体を貫いた。

 

 

 

その攻撃がトドメとなったのか、人形は電池の無くなったおもちゃのように、それ以上動くことはなかった。

 

 

 

 

「扉開けるぞー?」

「うん」

魔理沙が玄関扉を開けると、煙は扉に吸い込まれるように外へと出ていき家の中の視界が晴れていく。

 

「倒せたか?」

魔理沙は陽にそう聞くと──

「バッチリ」と陽はウインクして答えた。

 

 

「そうか、じゃ……帰るか」

「──うん」

 

 

 

 

 

「それにしても、さっきのはいいコンビネーションだったんじゃない?」

「……お前にしてはよかったんじゃないか?」

「──にしては⁉」

 

 

 

 

 

────────

 

 

私の記憶はみんなのお陰でこの数ヶ月でかなり戻った。

 

思い出したものには、いい思い出も、悪い思い出もあった。

朝起きたら泣いてた時もあったし、すごくいい夢を見たような気分の時もあった。

 

 

 

私には記憶を無くした理由がわかったような気がする。

 

 

きっと、私がこうして新しい道を歩けるようにするためなんだろう。

過去に囚われずに、新しい出会いがあるように……

 

だからこうして、今──魔理沙ちゃんとも仲良くなれた気がするし、いろんな人を助けられている。

私が一から──過去なんて関係なく築けた今がある。

一歩踏み出せた、新しい自分に成れた気がする。

 

 

それに、ここに来てから新しいことも知った。

妖怪にもいい人だっている。

まあ、この幻想郷は大変なことも多いけど……きっと、いつか分かり合うことだってできるはず……

 

 

なんにせよ、私がやることは変わらない。

『人を助ける』

今はそれだけでいいだろう。

みんなを笑顔にできたら、それだけでいいだろう。

 

 

 

人助けをしたら魔理沙ちゃんの仕事は減るのかな……?

それだったらいいな……

 

 

いつか魔理沙ちゃんとゆっくりお茶したり、日向ぼっこでもできたらいいな……




陽も大分記憶を取り戻してきたような感じがしますね。
感想、コメント等お待ちしてます。
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