Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第百十四話 模擬戦 ― 静 vs 涼介

シミュレーター室の大型スクリーンに、新たな対戦カードが映し出された。

池田静少尉 vs 鍋島涼介大尉。

 

ざわめく中隊員たち。

「おおっと、新入りがいきなり大将首狙いか!」

雁部が口笛を吹き、富田が「さすが鍋島の同期だっけね」と笑う。

 

静は集中しながら睨み返す。

「ま、見てなよ! あたしは昔からこういう女なんだよ!」

 

その姿に涼介は口角を上げた。

「いきなり大将首狙いとはな……だがいいぜ。挑戦は歓迎する」

 

「その余裕顔が気に食わねぇ! 昔ボコボコにされてたこと、思い出させてやんよ!」

拳を鳴らしながら挑発する静。

 

「なら証明してみろ……今の俺にな!」

 

カウントダウンが始まり、二人の機体が雪原フィールドに転送された。

 

 

開戦

 

スタートと同時に静の不知火が突撃砲を連射する。

「喰らえ! 最初から全力で行く!」

 

涼介の壱型丙は瞬時に跳躍ユニットを噴かし、弾丸を軽やかにかわす。

「相変わらず勢いはあるな……だが単調だ!」

 

「何っ――!」

静の機体が懐に踏み込まれ、長刀が閃く。ギリギリでシールドを展開し弾き返すが、衝撃で体勢が崩れる。

 

「っくそ! 昔のあんたはここまで考えて動けなかったろ!」

「悪いな、もう“昔の俺”じゃねぇんだよ!」

 

涼介の不知火壱型丙は圧倒的な機動で翻弄する。

その姿に観戦していた小川が呟いた。

「……鍋島大尉、本気出してるな」

 

 

静の反撃

 

「ちょっと舐めてたかもな……でも、負けてやる気はねぇ!」

 

静は突撃砲を捨て、長刀を抜く。

「涼介! 勝負だぁっ!」

 

二機の不知火が雪煙を巻き上げながら激突する。

長刀と長刀が火花を散らし、観戦している仲間たちは思わず息を呑んだ。

 

「いい動きするじゃねぇか!」

「同期なんだから当然だ!」

 

互いに一歩も引かず打ち合いが続く。静の一撃は重く力強い。だが涼介の壱型丙は鋭く、正確に隙を突いていく。

 

「っく……追い詰められてるのは……あたしか!」

 

 

「静! ここからが本番だ!」

涼介が咆哮と共に跳躍。雪原をえぐる推進炎と共に匍匐飛行で突撃、急接近して斬撃を叩き込む。

 

「うおおおおおっ!」

静は必死に迎撃するが、壱型丙の一撃に押し負け、機体が吹き飛ぶ。

 

「ぐっ……まだだ!」

体勢を立て直す静。だが涼介の機体はすでに背後を取っていた。

 

「……勝負ありだ、静」

長刀の刃が首元に突きつけられる。システム音声が「勝者、鍋島涼介大尉」と告げた。

 

 

終了後

 

「……ははっ……やっぱ強くなってるね、涼介!」

シミュレーターを降りた静は額の汗を拭い、悔しそうに笑う。

 

涼介も笑みを浮かべ、彼女の肩を叩いた。

「いい勝負だった。お前が本気で来なきゃ、俺もここまで動けなかった」

 

「負け越してた私に勝ったんだ、ちょっとは胸張っていいんじゃない?」

「当然だろ、中隊長だからな」

 

その言葉に仲間たちから笑いが起こり、拍手が鳴り響いた。

 

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