Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達 作:NageT
12月21日早朝。白い雪が静かに降り積もる中、レッドキグナス中隊の面々はブリーフィングルームに集まっていた。
前夜に発令された甲21号作戦――その詳細がついに彼らに伝えられるのだ。
部屋の前方に立つのは青島葵中尉。冷静な表情で資料をまとめ、淡々とした声で口を開いた。
「これより甲21号作戦におけるレッドキグナス中隊の任務を伝達します。まず作戦概要ですが、目標は佐渡島に存在するフェイズ4ハイヴ、甲21号目標の完全無力化です」
モニターに投影された佐渡島の地図。その赤いマークは、彼らにとって故郷であり、奪還すべき戦場でもある。
息を呑む音が静かに重なる。
「我がレッドキグナス中隊はウィスキー部隊に編成され、最先鋒として橋頭堡確保のために真野湾方面へ上陸します。帝国連合艦隊の戦術機母艦《阿賀野》から発進し、敵陣の只中へ突入、先行部隊としての役割を担います」
その一言に、室内がざわついた。
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最先鋒の重み
「最先鋒……つまり真っ先に敵の群れに突っ込むって事だよな」岸本が腕を組み、唸る。
「誉れだが……死ぬ確率も一番高いな……」前園が低く呟く。
「……いよいよ、俺たちの番が来たって事だっけね」富田は笑みを浮かべつつも、拳を強く握りしめていた。
松本と松原は顔を見合わせ、どこか不安そうに唇を噛んでいる。
真里奈はまっすぐモニターを見つめていたが、その小さな肩はわずかに震えていた。
そんな空気を切り裂いたのは涼介の声だった。
「おいおい、なんだよお前ら。暗ぇ顔すんなよ」
彼は立ち上がり、モニターを指さした。
「俺の故郷に帰るんだぜ? テメェら、案内してやっからしっかり付いてこいよ!」
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掛け合いの応酬
唐突な涼介の明るさに、中隊の面々は思わず笑いを漏らした。
「大尉、あんた方向音痴でしょう? 案内するって、どこに連れて行くつもりなんです?」小川が皮肉を飛ばす。
「ははっ、チビ兄より私の方が佐渡の道詳しいよ」紗栄が胸を張って笑う。
「なら案内は紗栄ちゃんに任せた方が安心だなぁ」大友も微笑みながら加わる。
「おいおい! 俺の立場がねぇじゃねぇか!」涼介が肩を竦めると、雁部が煙草を咥える仕草をしてにやりと笑う。
「安心しろよナベさん、迷子になっても俺ら全員で探してやるからよ!」
「うるせぇよ!雁部!、そういう問題じゃねぇんだよ!」
松本が「ふふっ」と吹き出し、松原も苦笑いを浮かべる。
重苦しかった空気が一気に軽くなり、皆の表情から硬さが消えていった。
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決意の声
しかし、涼介はそこで表情を引き締めた。
「いいか、テメェら。最先鋒は死と隣り合わせだ。だが、俺は誰一人死なせねぇ。絶対に死ぬなこれは命令だ!死んだやつは俺がブッ殺す!」
その言葉に全員が背筋を伸ばす。
「了解!」
声が揃い、ブリーフィングルームの壁が震えるほどの響きとなった。
青島も小さく頷いた。
「……全員の覚悟、確認しました。佐渡奪還はあなた方にとって故郷を取り戻す戦いでもあります。必ず生き残り、勝利を掴んでください」
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訓練への号令
涼介は再びモニターに目を向け、声を張った。
「これより30分後、シュミレーターにて発進から第4段階までのシミュレーション訓練を行う! 全員完全装備でシュミレータールームに集合! 解散!」
「了解!」
再び声が重なり、全員が力強く立ち上がる。
彼らはブリーフィングルームを後にしながら、それぞれに思いを胸に抱いていた。
佐渡奪還――それは涼介と紗栄にとって、幼き日の記憶を取り戻す戦いであり、全員にとっては人類の未来を切り開く大一番だった。
そして、彼らは知っている。
この戦いは、生きて帰れる保証などどこにもない。
だからこそ、今は笑っていようと。
仲間と共に肩を並べ、前を向いて歩み出すために。