Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第百二十二話 挑戦のその先へ

12月22日、甲21号作戦に向けた二日目のシミュレーター訓練が始まった。昨日は橋頭堡の確保どころか第2段階突破すら怪しい結果に終わり、全員が悔しさと課題を抱えている。ブリーフィングルームで青島が冷静に前日の総括を口にした。

 

「昨日の敗因は三点。前衛の突撃が散発的だったこと。中衛と後衛の連携が遅れたこと。そして――白鳥少尉、あなたが早々に脱落したことです」

 

「っ……はい」

 

 真里奈は悔しさで唇を噛みしめた。まだ新人である自覚はある。しかし「白鳥真凜の妹」という名が背中を押しもすれば、足を重くもしていた。

 

 

訓練開始

 

 シミュレーターのゲートが開く。母艦阿賀野から12機が一斉に発進し、波打つ日本海の仮想空間へ。

「全機散開! 前衛は俺と雁部、松本、松原! 中衛は小川を中心に! C小隊は富田がまとめろ!」

涼介の号令が飛ぶ。

 

 最初の敵波、重光線級のレーザーが空を裂いた。

「真里奈、動きが硬いぞ! もっと散らせ!」

「はいっ!」

必死に機体を旋回させるが、動きはぎこちなく、直後に警告音。

《撃墜判定》

「またか……」

ヘッドセットを外した真里奈の手が震える。

 

「真里奈ちゃん、焦りすぎ!」

紗栄が慰めるが、本人は俯いたまま。

 

 

連続失敗と修正

 

 午前中だけで5度の全滅。

「俺の突っ込みに後衛がついてこれねぇ!」

涼介が苛立つ。

「前衛が早すぎるんですよ。俺たちが陣形組む前に突っ込んだら支えられるわけないでしょう」

小川が冷静に返す。

「おうおう、仲良くケンカしてんじゃねぇぞ」

富田が割って入り、雁部も笑う。

「まあ、昨日よりはマシっすよ。ナベさん即死しなかったし」

「うるせぇ!」

笑いが起こるが、重い空気は完全には晴れない。

 

 

 

 午後の訓練。真里奈は先任たちのアドバイスを胸に、涼介の斜め後方に陣取った。

「真里奈、撃て!」

小川の声に反応し、要撃級を正確に撃破する。

「……やった!」

「調子に乗んな! 次来るぞ!」岸本の一喝に、緊張が解けず必死に砲を構え続ける。

 

 次のラウンドでは、紗栄が援護する形で真里奈を導いた。

「右! チビ兄の後ろ狙って!」

「了解!」

仲の良い二人のやり取りに、大友が微笑む。

「いいコンビになってきたじゃない」

 

 

 

 夜、二日目最後の訓練。全員疲労困憊だったが、涼介が声を張る。

「これで終わりにすっぞ!。全員で第4段階まで行くぞ!」

 

 序盤は安定。松松コンビが波状の要撃級を斬り捌き、雁部が堅実に援護。B小隊は小川の指揮で後衛を守り抜き、静と真里奈が射線を繋ぐ。C小隊は富田の砲撃で道を切り開き、大友と前園が堅実に支える。

 

「真里奈、次だ! 撃ち落とせ!」

「はい!」

真里奈の狙撃が命中し、突破口を開く。

 

 第3段階、大野掃討。松原が声を上げる。

「松本、左!」

「はいなー!」

松松コンビの連携が火を吹く。

 

 そして遂に第4段階、突入部隊の降下支援。BETAの群れが押し寄せる中――。

「もう……退かない!」

真里奈が泣きそうな声で叫びながらも引き金を引き続けた。

 

 最終的に数機が撃墜判定を受けたが、システムには「突入成功」の表示。ブリーフィングルームに歓声が広がる。

 

 

訓練後

 

 シミュレーターから出てきた真里奈の目には涙が滲んでいた。

「やっと……最後までいけた」

「おう、やっと一人前って感じだな!」

雁部が笑い、岸本も頷く。

「根性は認めるぜ」

紗栄は泣きながら抱きついた。

「真里奈ちゃん、すごいよ!」

 

 涼介はそんな仲間たちを見回し、大きく息を吐いた。

「これなら最先鋒を任されても恥ずかしくねぇな」

 

 

こうして二日間のシミュレーター訓練を経て、レッドキグナス中隊12人は「最先鋒を担うに足る部隊」として完成度を増した。

特に真里奈の成長は、皆に「次世代の可能性」を感じさせるものだった。

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