Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第百三十四話 甲21号作戦 ―サマートライアングル大隊共闘

「前方に大規模反応! 数……師団規模!」

葵の声がコマンドポストから響いた。

 

「クソッ、またかよ!」

雁部が毒づき、機体を前へ出す。

 

 砂塵を巻き上げて現れたのは、無数の戦車級と突撃級。さらに要撃級が壁のように並び、その背後には光線級と要塞級の姿さえ混じっている。

 数は軽く千を超え、赤黒い波となって大地を埋め尽くす。

 

「ここを抜かれたら南下する本隊が持たねぇ! 俺らで止めるぞ!」

涼介の怒号に、ブルーイーグルスとイエローライラも通信を開いた。

 

「任せぇ! こっちはもう8機しか残っとらんけどな!」

江上大尉の声には疲労と気迫が入り混じっている。

 

「イエローライラも7機だ……だがまだやれる!」

高橋大尉が吠える。

 

「いいかテメェら! ここが勝負所だ! サマートライアングル大隊の意地を見せんぞ!」

涼介の檄に、全機の返答が重なる。

「了解ッ!!」

 

 

三隊共闘 ― 地獄の乱戦

 

「来るぞぉぉぉ!!」

富田の咆哮と共に、赤い津波のような戦車級の群れが突っ込んでくる。

 

「松松コンビ、左翼を任せる!」

「了解!」

松原と松本が息を合わせ、連携の刀閃で突撃級を斬り払う。

 

「真里奈、下がるな! 俺の後ろで撃ちまくれ!」

小川の冷徹な指示に、真里奈は必死に従い突撃砲を撃ち続ける。

 

 一方、ブルーイーグルス中隊の兵が叫ぶ。

「江上さん! 右から要撃級ッ!」

「くそっ、避けろ!」

 

 だが間に合わず、不知火が巨大な腕に叩き潰された。

「うわぁぁぁ!!」

断末魔が通信に木霊する。

 

「クソッ……! ブルーイーグルス1機喪失!」

江上の怒声が響く。

 

 続けざまに、別の機体もレーザーで焼き切られる。

「ブルーイーグルス残り6……!」

葵の冷静な報告が胸を抉る。

 

 

「高橋さん、右後方に抜けた戦車級群れが行くぞ!」

「わかってる! 松田、回り込め!」

 

 だが、イエローライラの1機が要撃級に捕まった。

「いやだ、助け――あぁ!」

叫びは途中で潰え、機体ごと握り潰された。

 

「イエローライラ1機喪失!」

怒声混じりに報告する高橋。

 

「……クソッ……もう後がねぇぞ!」

 

 

キグナスの突破口

 

「なら俺らがやる! A小隊、要塞級をやんぞ!俺に続け!」

涼介が壱型丙の長刀を抜き、戦車級の群れへと突っ込む。

 

「ナベさん突っ込みすぎ! 援護行きます!」

雁部が叫び、背後から36mmを撃ち込み突撃級の首を吹き飛ばす。

 

「松本、右斬れぇ!」

「はいなっ!」

彼女の機体が鮮烈な弧を描き、真っ二つになった突撃級が崩れ落ちる。

 

「まだまだぁぁ!!」

富田の砲撃が雨のように降り注ぎ、戦車級をまとめて吹き飛ばす。

 

 

共闘の果てに

 

 怒涛の斬撃、砲撃、銃撃。

 それでもBETAの群れは尽きない。だが、三隊が歯を食いしばって戦線を維持し続け、徐々に数を削っていった。

 

「残弾ギリギリです!」

「気合いで持たせろォ!」

 

 最後の要塞級を斬り伏せたのは涼介だった。

「これで……終わりだぁぁぁ!!」

長刀の閃光に切り裂かれ、巨体が倒れ込む。

 

 周囲に広がるのは黒煙と、無数の屍骸。

 ブルーイーグルスは6機、イエローライラは6機へと数を減らした。だが――生き残った。

 

 

意地

 

「……なんとか、持ち堪えたな」

高橋が荒い息をつきながら呟く。

 

「江上さん……まだ生きてるか?」

涼介が呼びかける。

 

「当たり前や! まだくたばれるかい!」

江上の豪快な声に、仲間の胸に再び火が灯る。

 

「サマートライアングル大隊……まだ戦える!」

誰かがそう呟いた。

 

 三隊の残存機は合わせて23。

決して多くはない。だが確かに、地獄を押し返した。

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