Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達 作:NageT
「前方に大規模反応! 数……師団規模!」
葵の声がコマンドポストから響いた。
「クソッ、またかよ!」
雁部が毒づき、機体を前へ出す。
砂塵を巻き上げて現れたのは、無数の戦車級と突撃級。さらに要撃級が壁のように並び、その背後には光線級と要塞級の姿さえ混じっている。
数は軽く千を超え、赤黒い波となって大地を埋め尽くす。
「ここを抜かれたら南下する本隊が持たねぇ! 俺らで止めるぞ!」
涼介の怒号に、ブルーイーグルスとイエローライラも通信を開いた。
「任せぇ! こっちはもう8機しか残っとらんけどな!」
江上大尉の声には疲労と気迫が入り混じっている。
「イエローライラも7機だ……だがまだやれる!」
高橋大尉が吠える。
「いいかテメェら! ここが勝負所だ! サマートライアングル大隊の意地を見せんぞ!」
涼介の檄に、全機の返答が重なる。
「了解ッ!!」
⸻
三隊共闘 ― 地獄の乱戦
「来るぞぉぉぉ!!」
富田の咆哮と共に、赤い津波のような戦車級の群れが突っ込んでくる。
「松松コンビ、左翼を任せる!」
「了解!」
松原と松本が息を合わせ、連携の刀閃で突撃級を斬り払う。
「真里奈、下がるな! 俺の後ろで撃ちまくれ!」
小川の冷徹な指示に、真里奈は必死に従い突撃砲を撃ち続ける。
一方、ブルーイーグルス中隊の兵が叫ぶ。
「江上さん! 右から要撃級ッ!」
「くそっ、避けろ!」
だが間に合わず、不知火が巨大な腕に叩き潰された。
「うわぁぁぁ!!」
断末魔が通信に木霊する。
「クソッ……! ブルーイーグルス1機喪失!」
江上の怒声が響く。
続けざまに、別の機体もレーザーで焼き切られる。
「ブルーイーグルス残り6……!」
葵の冷静な報告が胸を抉る。
⸻
「高橋さん、右後方に抜けた戦車級群れが行くぞ!」
「わかってる! 松田、回り込め!」
だが、イエローライラの1機が要撃級に捕まった。
「いやだ、助け――あぁ!」
叫びは途中で潰え、機体ごと握り潰された。
「イエローライラ1機喪失!」
怒声混じりに報告する高橋。
「……クソッ……もう後がねぇぞ!」
⸻
キグナスの突破口
「なら俺らがやる! A小隊、要塞級をやんぞ!俺に続け!」
涼介が壱型丙の長刀を抜き、戦車級の群れへと突っ込む。
「ナベさん突っ込みすぎ! 援護行きます!」
雁部が叫び、背後から36mmを撃ち込み突撃級の首を吹き飛ばす。
「松本、右斬れぇ!」
「はいなっ!」
彼女の機体が鮮烈な弧を描き、真っ二つになった突撃級が崩れ落ちる。
「まだまだぁぁ!!」
富田の砲撃が雨のように降り注ぎ、戦車級をまとめて吹き飛ばす。
⸻
共闘の果てに
怒涛の斬撃、砲撃、銃撃。
それでもBETAの群れは尽きない。だが、三隊が歯を食いしばって戦線を維持し続け、徐々に数を削っていった。
「残弾ギリギリです!」
「気合いで持たせろォ!」
最後の要塞級を斬り伏せたのは涼介だった。
「これで……終わりだぁぁぁ!!」
長刀の閃光に切り裂かれ、巨体が倒れ込む。
周囲に広がるのは黒煙と、無数の屍骸。
ブルーイーグルスは6機、イエローライラは6機へと数を減らした。だが――生き残った。
⸻
意地
「……なんとか、持ち堪えたな」
高橋が荒い息をつきながら呟く。
「江上さん……まだ生きてるか?」
涼介が呼びかける。
「当たり前や! まだくたばれるかい!」
江上の豪快な声に、仲間の胸に再び火が灯る。
「サマートライアングル大隊……まだ戦える!」
誰かがそう呟いた。
三隊の残存機は合わせて23。
決して多くはない。だが確かに、地獄を押し返した。