Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第百三十五話 甲21号作戦 ―補給と再編

「こちら補給班!レッドキグナス中隊、順次ラインに入れ!」

 

阿賀野から投下された補給コンテナが、戦場跡の瓦礫の中にずらりと並んでいた。まだ煙の立ち込める旧市街の外れ、帝国軍工兵が辛うじて確保した小さな一角が即席の補給拠点になっている。地面には砲撃の衝撃でできたクレーターが広がり、遠くでは依然として断続的な爆音が響いていた。

 

「松原、弾倉交換急げ!次の戦場まで時間ねぇぞ!」

「了解です!……っと、推進剤残量30%以下……補給お願いします!」

機体から降りることは許されない。整備兵たちが命綱を抱えて不知火の装甲に取り付き、弾薬と推進剤を迅速に交換していく。機体内部では、衛士たちが額の汗を拭いながら、計器の数値を睨んでいた。

 

「まだ全機動けるな……だがブルーイーグルスもイエローライラも数を減らしすぎだ。」

涼介は壱型丙のコクピットで、静かにモニターを見つめる。戦況報告が重く響いた。

 

 

再編成の決定

 

補給の合間、通信回線で江上大尉の声が入った。

「鍋島、再編や。うちのブルーイーグルスは残り6名。損耗激しすぎて小隊としてしか回らん。1人をイエローライラに回して、池田をそっちのB小隊に回す。嫁の静少尉もおるし、ちょうどええやろ。」

 

「江上さん……助かる。だが本当にいいのか?」

「選り好みしてる余裕はないわ。お前んとこは新兵も抱えてる。池田なら経験ある、うまく回してくれるやろ。」

 

続いて高橋大尉の声が混じる。

「イエローライラは残り6名だ。ブルーイーグルスから1人もらって7名を分けて2小隊にする。左右に分けてお前らを挟む形になるな。」

 

「了解だ……助かるぜ。」

涼介は短く応えた。

 

こうしてサマートライアングル大隊は再編された。中央に12機のレッドキグナス、その両翼に2個小隊となったイエローライラ、後方に残るブルーイーグルス。即席の布陣ではあったが、互いの信頼で結ばれた連携陣形だ。

 

 

江上から真里奈へ

 

補給が終わり、全機のエネルギーランプが青に変わる。出撃前、江上がふと通信を飛ばした。

「……白鳥少尉。お前やな、白鳥大尉の妹っちゅうのは。」

 

「は、はい!白鳥真里奈少尉です!」

緊張で声が上ずる真里奈に、江上はしばし沈黙してから言った。

 

「お前の姉さんには世話になった。俺がまだ未熟な頃、何度も助けられた。あの人は厳しかったけど……戦場で背中を預けられる、最高の隊長やったわ。」

 

「……姉を、ご存知だったんですね。」

「けどな、真里奈。お前は姉さんやない。白鳥真凜にはなれん。お前は“白鳥真里奈”として、この隊で生きていけ。姉さんの影を追うんやなく、自分の色を見つけろ。そうせな、戦場はお前を呑み込むぞ。」

 

真里奈は胸が熱くなり、短く答えた。

「……はい、大尉。肝に銘じます!」

 

そのやり取りに涼介が小さく笑みを浮かべた。

 

 

再出撃へ

 

全ての補給が完了すると、葵から淡々とした声が流れる。

「各隊、補給完了を確認。再編成布陣を維持したまま再出撃してください。」

 

「レッドキグナス中隊、行くぞ!」

涼介の掛け声に11機の不知火が跳躍ユニットに火を入れる。

 

発進直前、涼介が小さく通信を繋いだ。

「……江上さん、ありがとな。真里奈のこと。」

「気にすんな。俺も元はキグナスや。白鳥大尉に世話になった分、妹に返しただけや。」

 

短いやり取りの後、レッドキグナスは飛び立った。

その両翼を支えるのはイエローライラ2小隊、後ろに控えるのは小さくなったブルーイーグルス。

 

「サマートライアングル大隊、再出撃!」

三つの中隊の雄叫びが、佐渡の空に木霊した。

 

再び地獄の戦場へ――。

 

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