Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第百四十話 甲21号作戦 ― 再出撃、戦場に煌く星

第四段階へと移行した戦況の中、サマートライアングル大隊は再び戦線を駆け抜けていた。目標は前線突破を図り、M(マイク)隊とN(ノーベンバー)隊のハイヴ突入を援護すること。しかし、進軍の途中、各小隊のセンサーが異常な反応を捉えた。

 

「ナベさん!……あれを見ろ!バカヤベー!」

雁部の声が上がる。戦場の瓦礫の向こう、無数の戦車級と要撃級に囲まれ、数機の戦術機が必死に防戦していた。指揮系統は崩壊し、通信は断片的にしか繋がっていない。隊長機のシグナルはすでに沈黙していた。

 

「……生き残りか。でも、このままじゃ持たないですね」

小川の冷静な分析が響く。

「くそっ……見捨てられるか!全機、突入だ!」

涼介の怒号とともに、レッドキグナスの機体群が一斉に跳躍ユニットの噴射炎を上げた。

 

 

救出戦開始

 

「紗栄、右の突撃級を抑えろ!仕留めるつもりで頼む!」

「了解っ!チビ兄こそ死なないでよ!」

紗栄の不知火が轟音と共に火を吹き、砲撃が突撃級の側面を粉砕した。

 

「大友さん、カバーお願いします!」

「わかってるわよ、紗栄ちゃん!突っ込みすぎないで!」

突撃砲の火線が紗栄の進路を開き、互いに呼吸を合わせながら前へ進む。

 

「おい!まだ動ける奴はいるか!」

涼介が通信を飛ばすと、かろうじて応答が返ってきた。

《こちら第118大隊残存機……隊長は戦死、残りは……三機……援護願う!》

 

「三機か……全員、残存機を囲んでBETAを引き剥がします!」

小川の指示に従い、各小隊が散開する。

 

 

 

 BETAを押し返しながら、紗栄はふと視界に映る友軍機を見て息を呑む。足を引きずり、辛うじて立っているその姿は、まるで自分たちの未来の影のようだった。

 

「……大友さん、私……」

「紗栄ちゃん……」

「さっきの静少尉たちみたいに……また、みんなが……」

声が震える紗栄に、大友は即座に返す。

 

「大丈夫。紗栄ちゃんは一人じゃない。私が隣にいる。レッドキグナスがいる。……だから前を向きなさい!」

「……はいっ!」

紗栄の返事と同時に、大友の砲撃が戦車級の群れを吹き飛ばし、その隙を突いて紗栄の狙撃が要撃級の感覚器を貫いた。

 

 

救出成功

 

「残存三機、救出圏内へ!」

松原が叫ぶ。すでに松本の不知火がカバーに展開し、雁部が盾となって戦車級を薙ぎ払っていた。

 

「これ以上やらせねぇ!レッドキグナスが来たからには誰一人死なせねぇぞ!」

涼介の怒声に、味方も気力を取り戻したかのように応える。

 

「……助かった、まだ死にたくねぇんだ!ありがてぇ!」

救出された衛士の叫びが無線に混じる。

 

 戦線は乱れたままながらも、孤立していた部隊は無事にレッドキグナスの庇護下へと引き込まれた。

 

 

 

「全員、無事か?」

「問題ないよ!……紗栄ちゃんもね!」

「大友さんが守ってくれたから……!」

紗栄が振り返ると、大友が小さく笑った。

「守ったんじゃないわよ。あんたが自分の力で切り拓いたの。……それを忘れないで」

 

「ありがとな、大友さん……紗栄」

涼介の声が低く響く。戦場において無駄な感傷は許されない。だが、確かに仲間を救えた。その事実だけが、疲弊した彼らをもう一度立ち上がらせる力になった。

 

「……さて、まだ前だ。行くぞ、レッドキグナス!」

「了解!」

 

 戦火の中、サマートライアングル大隊は再び進撃を始める――。

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