Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達 作:NageT
■安藤 克彦
――笑って撃って、笑って死んだ砲撃支援
レッドキグナス中隊C小隊所属、砲撃支援担当「インパクトガード」。
年齢18歳。常に崩れない笑顔と天然パーマが特徴の青年であり、C小隊の空気を良くも悪くも柔らかくしていたムードメーカーである。
砲撃支援というポジションは、単なる後方火力ではない。前衛と後衛の隙間、すなわち“死角の火力穴”を埋める位置取りと判断力が求められる役割であり、瞬時の観測と射線管理が生命線となる。安藤はその点において優秀で、戦場全体を俯瞰しながらも軽口を叩けるほどの精神的余裕を持っていた。
誰にでも気さくに話しかけ、初対面でも距離を詰める。だが話が長い。とにかく長い。
作戦前ブリーフィングでも整備中でも食堂でも、気付けば安藤が喋り、周囲が聞き役になっている光景が出来上がっていた。
そんな彼の“相方”となったのが芹澤尚之である。
安藤がボケ、芹澤が即座にツッコむ――この構図はC小隊の日常風景であり、緊張の続く実戦部隊においては貴重な精神安定剤でもあった。
しかし京都防衛戦。
その笑顔が崩れる瞬間が訪れる。
市街地砲撃支援任務中、前衛の退路確保のため火力集中を継続。
光線級の照射リスクを承知で射撃を止めなかった。
「まだ下がれへんやろ?任せとき!」
最後まで笑ったまま。
次の瞬間、レーザーが機体を貫いた。
安藤克彦は――
笑顔のまま戦死した。
C小隊では後に、彼のいた射撃位置を「 Aライン」と呼ぶ者もいたとかいないとか。
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■芹澤 尚之
――真面目過ぎたツッコミ役の制圧支援
C小隊所属、制圧支援「ブラストガード」。
19歳。安藤の相棒にして、C小隊の理性側ブレーキ役。
性格は極めて真面目。
任務・規律・手順を重視し、どんな状況でも冷静に判断しようとする。
……だが安藤がいると話は別だった。
「今それ言う必要あります?」
「いやツッコまんでええから撃てや!」
このやり取りが戦闘中でも発生するため、周囲からは半ば漫才扱いされていた。
しかし実際には、この掛け合いが双方の状況確認になっており、結果的に連携精度を高めていたのも事実である。
制圧支援の役割は、敵の行動範囲を“縛る”こと。
前衛が突入しやすい空間を作り、後衛を守る火力網を敷く。
芹澤はその射撃管理能力に優れ、安藤の砲撃と組み合わせることでC小隊の火力面を支えていた。
京都防衛戦では市街地制圧任務に投入。
安藤の砲撃に合わせ制圧射撃を展開し、敵群の進路を封鎖。
だが――突撃機の突撃を交わしきれず背部兵装ラックに被弾。
跳躍ユニットの推進剤に誘爆し爆散
機体はバラバラになり沼地に沈んだ。
通信には最後までノイズ混じりの悲鳴が残ったという。
真面目過ぎた男は、最後まで自分の仕事をして戦死した。
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■滝沢 優吾
――無口で不器用な筋肉の盾
C小隊所属、打撃支援「ラッシュガード」。
20歳。隊内最年長にして、肉体的威圧感は随一。
言葉数は少なく、必要最低限しか喋らない。
初対面では怖がられることも多いが、実際は後輩思いで面倒見が良い。
特に鍋島涼介に対しては筋力トレーニングをよく指導しており、
「前衛は脚だ」
「握力は命」
と短い言葉で叩き込んでいた。
ラッシュガードは近接戦闘補助と前衛援護を担う危険な役割。
敵の突破を物理的に止め、前衛の隙を埋める“殴る盾”とも言える存在である。
滝沢はその役割を体現した衛士だった。
被弾を恐れず、間合いに入り、押し返す。
京都防衛戦では市街地白兵支援に投入。
前衛の退却路確保のため、単機で敵群に突入。
通信は終始短い。
「ここ抑える」
「早く抜けろ」
最後は多重被弾。
機体損壊率限界を超過。
それでも退かなかった。
結果、光線級の照射と同時に敵突撃級の体当たりを受け――戦死。
彼の防いだ数十秒が、後続の生還を生んだと記録されている。
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総括 ― 京都で散ったC小隊の“支え”
安藤の砲撃、芹澤の制圧、滝沢の打撃支援。
この3名は決して主役ではない。
だが――
前衛が突撃できたのは、
退路が確保されたのは、
戦線が数分持ちこたえたのは、
彼ら支援衛士がいたからに他ならない。
C小隊とは、
前に出る者だけでなく、
“前に出させる者”で成立していた部隊である。
そして京都防衛戦。
その全てがそこで失われた。
安藤克彦
芹澤尚之
滝沢優吾