Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第二十三話 再始動:不知火配備

――長岡基地、補給区画第5ハンガー。

 

京都戦で激震を駆り続けたレッドキグナス中隊の機体は、どれも満身創痍だった。

表面装甲の半分以上が削れ、熱疲労でジャイロが焼け付き、跳躍ユニットは推進剤タンクごと爆発した跡が残っている。修復というより“廃棄前提の保管”に近い姿だった。

 

整備兵の1人が、機体の側でポツリと呟いた。

 

「……ここまで使い倒した激震も珍しいな」

 

その声を聞いた富田は、煙草の火を指で弾いて消すと苦笑いする。

 

「……そりゃ、あんだけ死ぬ思いして戦ったら、鉄の骨も泣くだろ」

 

誰も笑わなかった。

あの地獄を潜り抜けてここまで来た者にしかわからない重みが、機体にまで染みついていた。

 

 

数日後、司令部から中隊へ一報が入った。

 

「レッドキグナス中隊、機体の全面更新を実施する。

次期配備機は――94式戦術機“不知火”とする」

 

――不知火。

 

その名前が基地内に流れた瞬間、各分隊の空気が変わった。

「まさか」「俺たちが?」「不知火ってあの?」――驚きとともに、少しだけ誇りに似た感情が浮かんだ。

 

「……名指しで来たんだ。あの戦いを生き延びたキグナスに、だ」

保科大尉が低く言い切ると、誰もが頷いた。

 

 

そして、初めて不知火を目にしたその日。

機体は白銀に近い輝きを放つ新型フレーム。視覚センサー部には、F-15系統に似た凛々しいラインが走っていた。

激震よりも一回り大きく、それでいてしなやかなシルエット。

 

涼介は無言で機体の足元に立ち、拳を握りしめた。

 

「……真凜大尉なら、何て言うだろうな」

 

「“なに、やっと本気出せるじゃねぇか”……とか言いそうじゃないッスか?」

松原が笑って言い、歩夢は「ホカ大尉もきっと喜ぶと思いますよ」と訳のわからない方向で返す。

保科はそれに頭を抱えながらも、少しだけ口元を緩めていた。

 

 

不知火は前線用のバンガード仕様に改修されており、各分隊のポジションごとの調整も完了していた。

• A分隊はストーム/ストライク特化の白兵型チューン。

• B分隊はインターセプター・スイーパー仕様。索敵・迎撃を重視したカスタム。

• C分隊はラッシュ・ブラスト・インパクト系を中心とした火力支援型に。

 

整備兵から「お前らが次の中隊を引っ張るんだぞ」と言われ、涼介たちは無言で敬礼を返すしかなかった。

 

 

不知火への換装は、単なる機体更新ではなかった。

 

それは、**「希望への接続」**であり、

――そして、死んでいった仲間たちの遺志を継ぐ“次の戦場”への準備だった。

 

かつてボロボロの激震で戦場に立ち続けた彼らは、今や帝国軍の「生きた戦訓」となっていた。

そして、不知火と共に再び最前線へと戻る。

 

「行くぞ――不知火、レッドキグナス。今度こそ、誰も死なせない」

 

涼介のその言葉に、誰もが頷いた。

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