Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第二十五話 実機習熟訓練 — 新生レッドキグナス中隊

長岡基地の朝はまだ少し肌寒かったが、格納庫には緊張感が漂っていた。新型戦術機「不知火」の配備に伴う実機習熟訓練が始まる。A小隊からC小隊まで、それぞれの隊員が自分の機体へと乗り込む。

 

 

鍋島涼介(A小隊隊長)はキャビン内で操作系統をチェックしながら、同僚の声が聞こえてくるのを聞いた。

 

「涼介中尉、これ跳躍ユニットの推進剤、どれくらいで消費するんですか?」と松原少尉がやや不安そうに訊く。

 

「慎重に使え。無駄に吐き出すな。推進剤切れたらただの箱だ」と涼介は落ち着いて答える。

 

横から、天然の歩夢が「あれ?推進剤ってどうやって補充するんだっけ?確か…あれ?んー、何かで詰め替えるんだよね?ふふ」とぽんやりした声。

 

高梨少尉が横目で「歩夢、マニュアル読み返せってば。何回言わせるの」と小声で呆れつつも優しくフォロー。

 

「ご、ごめんなさい…でも操縦感覚はバッチリよ!」と笑う歩夢に、涼介は少し苦笑いで溜め息をこぼす。

 

 

保科大尉(B小隊隊長兼中隊長)は隣の格納庫で、機体の武装系統を点検していた。滝本少尉が「大尉、あの奇襲突破のコツ、もっと教えてくださいよ!」と目を輝かせる。

 

「足元ばかり見てないで、敵の動きをしっかり見ろ。状況判断が何より大事だ、涼介みたいな事になるな!視野を広く持て!」と冷静に返す保科。

 

岸本少尉も「体動かして覚えるしかねぇな。実戦じゃ考えてる暇なんかねぇ」と体育会系らしく笑いながら拳を握る。

 

有村少尉は少し離れて冷静に装備をチェックし、「連携が全て。個人プレーは命取りだ」と呟く。

 

 

富田中尉(C小隊隊長)も機体の重装甲を前に深呼吸する。

 

「よし、西脇、前園、花村、俺たち後衛はここで隊を支える。しっかりついてこい」と声をかける。

 

西脇少尉は緊張しつつも「隊長の背中を見て、絶対に守り抜きます」と固い決意。

 

前園少尉は「突撃のタイミング、逃がさない」と短く答え、花村少尉は「どんな相手でもぶつかってやる」と力強く拳を握った。

 

 

しばらくして、涼介は基地の片隅でポケットから煙草を取り出した。兄貴分の保科から貰った一本をキッカケに真似をして吸い始めたのだった。

 

「ふぅ、気合い入れなきゃ」と小さく笑い、煙草に火をつけの煙をゆっくりと吐き出した。

 

松原が「中尉、吸いすぎはダメですよ!」と笑いながら突っ込む。

 

「分かってるわ。これも緊張をほぐす手段ってやつだ」と涼介。

 

 

やがて訓練開始の号令がかかり、レッドキグナス中隊は一斉に跳躍ユニットを使い実弾射撃の訓練に入る。

 

「おい、歩夢!無茶すんなよ!作戦通りだ!」涼介が叫ぶと、「うん、分かってる!でもいける気がするの!」と彼女の無邪気な声が返る。

 

「高梨、後ろからフォロー頼む!」と涼介。

 

「了解よ。勝負はここからよ」と高梨は冷静に狙撃態勢に入った。

 

 

訓練の合間には隊員同士での冗談や励まし合いが飛び交う。

 

滝本が「おい、岸本!お前の突撃力は本物か?」と挑発。

 

岸本は「おう、誰にも負けねぇ!」と返しながら笑う。

 

有村はそんな二人を見て苦笑しつつ、「お前ら、やるときはやれよ」と声をかける。

 

 

緊張と笑い声が混じるなか、確かな連携と機体の性能を感じ取り、隊員たちは着実に「不知火」の扱いを習熟していく。

 

涼介は煙草の煙を目で追いながら、心の中で「これで皆を守る。兄貴にも、真凜大尉にも負けない」と誓った。

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