Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第二十七話 佐渡陥落失われた故郷

長岡基地――午後18時34分。

 

オペレーターが叫んだ。

「佐渡防衛線、崩壊!全通信断絶!……佐渡、陥落しました!!」

 

その瞬間、指揮所の空気が凍った。

誰もが言葉を失い、ただ呆然とモニターに表示された“LINK LOST”の赤い文字を見つめていた。

 

「――っざけんな……っ!」

 

涼介の怒声が基地に響き渡った。

彼は待機していた不知火から降り駆け出し、指揮室のドアを乱暴に開けて飛び込んでくると、モニターを睨みつけ、奥歯を噛みしめる。

 

「どういうことだよ!?なんでだ、なんでこんな……ッ!!」

涼介の拳が壁に叩きつけられ、鈍い音が室内に響いた。

 

「佐渡は……俺たちの故郷だぞ……っ。妹が……紗栄が……向こうにいるんだ……っ!!」

 

目を血走らせながら、涼介は基地司令に詰め寄ろうとする。

「今からでも向かわせろ!!不知火で飛ばせ!間に合うかもしれねぇんだぞ!!」

 

「中尉、落ち着け!」

憲兵が制止に入ろうとしたその時、保科が静かに、だが有無を言わせぬ声で言った。

 

「やめろ、涼介。」

 

「離せよ!!兄貴ァ!!」

振り払おうとする涼介の肩を、保科は力強く掴んだ。

 

「気持ちは分かる。……俺だって、飛び出したい気持ちは山ほどある。今すぐ不知火で、佐渡に行って全部ぶっ壊したい……」

 

保科の声が震えていた。

 

「でも、俺たちは“中隊”なんだよ。俺たちが勝手に動いたら、それこそ部隊が潰れる。生き残った隊員たちが路頭に迷うんだ。」

 

「それでも……っ!紗栄が、まだ向こうにいるかもしれねぇんだぞ……!っくそぉ……!」

涼介は膝をつき、両手で頭を抱えた。

 

「守るって……誓ったんだよ……!俺が、あいつの兄貴として……!真凜大尉みたいに、命かけてでも……っ」

 

保科は黙ってその背に手を置く。

「……俺の親父もお袋も、佐渡だ。多分、もう……」

 

涼介が顔を上げた。

保科の表情は、いつになく険しかった。

 

「それでも俺たちは、ここで踏みとどまるしかない。今、行けば死ぬだけだ。……奪われたもんは返ってこないなら、生き延びて、みんなの分まで生きて俺らと同じ思いするやつ1人でも減らしてやろうぜ!」

 

涼介の目に、堪えきれない涙があふれた。

「くそっ……なんで、なんで……俺たちばっか、こんな思いしなきゃなんねぇんだよ……!」

 

保科も拳を握りしめ、唇を噛んだ。

「……俺たちは衛士だ。……いつか必ず、佐渡を奪い返す。その時まで、生きろ。歯を食いしばってでも、生きろ」

 

涼介は震えながら立ち上がった。

その目には怒りと絶望、そして――決意の光が宿っていた。

 

「――ああ。俺は……絶対に、佐渡に帰る。BETAなんざ、全員ぶっ殺してでも……な」

 

誰もが沈黙する中、涼介と保科の決意だけが静かに、しかし鋭くその場を貫いていた。

 

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