Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達 作:NageT
灰色の空が広がる長岡基地に、数機の戦術機が帰還してきた。
整備棟へ滑り込むように降着した不知火の機体群は、どれも激しい戦闘の痕を残している。手足を失った機体、塗装が剥げ、装甲が歪んだままの胴体。だが、それでも“帰ってきた”。
――滝本翼、高梨志織、西脇美月、花村彰吾。
レッドキグナス中隊の4名が戦死。特に高梨の死は、A小隊とレッドキグナス全体に大きな衝撃を与えた。
涼介は、黙って格納庫の壁に背を預け煙草を加えてていた。煤けた戦術機の影を前に、ひときわ疲れたような目で、整備兵たちの働きを見つめていた。
そこにやってきたのは、保科と富田だった。
「……報告、終わったぞ。司令部は一応の作戦成功と、今後の戦線縮小を検討してるらしい」
保科は、重い口調で言った。隼人の戦術機も同じく傷だらけだったが、その表情には指揮官としての気概が残っていた。
「作戦の成功?なんも残ってねぇじゃねぇかよ!それに西関東まで押し上げたのに……ここでまた戻るのかよ!」
涼介は納得いかなそうに声を荒げる
富田も、傷のついた右腕を軽く振りながら、煙草に火をつけ横に並んで腰を下ろす。
涼介はしばらく沈黙して煙草の煙を吐いていたが、ぽつりと呟いた。
「……俺は、アイツらを死なせちまった」
その言葉に、保科が顔を向けた。
「違う。お前が生かした奴もいる。あの戦場で、全滅しなかったことが奇跡なんだ」
「……わかってる。わかってるけど……高梨は、松原を庇って……」
その名を聞いた富田が、重く息を吐いた。
「松原、まだ医務棟にいるっけ。回復はしてるが、精神的には……きついだろうな。自分が原因で、高梨が死んだと思ってる」
誰もが言葉を失った。
――その時だった。
「……すみません」
振り返ると、軍服の襟元を乱したまま、松原が立っていた。
どこかやつれた表情。まだ左腕には固定具がついていたが、それでも彼の目にはかつてなかったような、強い意志の光が宿っていた。
「僕は……守られた命を無駄にしたくありません。高梨少尉が、僕に託した“命”を――今度は僕が、誰かを守れるようにならなきゃいけない。そうじゃなきゃ……死ねないんです」
涼介は、しばし黙ってその言葉を受け止めた。
「お前、無理に立とうとするな。今はまだ――」
「無理にでも立ちます。……そうしないと、高梨少尉に合わせる顔がありません」
その言葉に、保科がわずかに口元を緩める。
「……なら、次はお前が守ってやれ。だがお前が死ぬことは許さない、誰かを守る為に死ぬな。守るために強くなるなら――俺たちはいくらでも背中を押してやる」
松原はうなずいた。その目に、再び失いたくない仲間の姿が映っていた。
その姿を見て、涼介も少しだけ背を伸ばした。
「……なら、次の訓練、付き合えよ。まずは身体を戻せ。それから一緒に、もう一度前に進む」
「……はい」
隊舎の外では、雨が降り始めていた。
静かに打ちつけるその音の中、レッドキグナスの小隊長たちは、改めてこの部隊の「形」を取り戻そうとしていた。
戦友の死と、それに重ねた想い。
それでも、彼らは生きる。前に進む。
――再び、BETAと向き合うその日まで。
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